死が近づいた母。
80歳になったおじさんがお別れに。
「姉さん」と呼びかける。
「元気にならないとアカンよ」
母の目蓋がかすかに動く。
耳はしっかりしているらしい。
おじさんも、あとは声にならない。
最後に2つのことを母に言おうと決めていた。
その時が来たようだ。
耳元に口を近づける。
「カアサン。ウンデクレテ、アリガトウ・・・」
閉じたままの目蓋が動く。しかし開かない。
口がガクガクと動く・・・
何か言おうとしているらしいが、声にはならない。
反抗期の頃、母を泣かせた。
「産んでくれとは頼まなかった」と言って・・・
もうひとつは、言う機会がないままに、母は逝った。
しかし、その顔を見て、言う必要はなかったと分かった。
92歳だった。
月光の奥へ奥へと母帰る
80歳になったおじさんがお別れに。
「姉さん」と呼びかける。
「元気にならないとアカンよ」
母の目蓋がかすかに動く。
耳はしっかりしているらしい。
おじさんも、あとは声にならない。
最後に2つのことを母に言おうと決めていた。
その時が来たようだ。
耳元に口を近づける。
「カアサン。ウンデクレテ、アリガトウ・・・」
閉じたままの目蓋が動く。しかし開かない。
口がガクガクと動く・・・
何か言おうとしているらしいが、声にはならない。
反抗期の頃、母を泣かせた。
「産んでくれとは頼まなかった」と言って・・・
もうひとつは、言う機会がないままに、母は逝った。
しかし、その顔を見て、言う必要はなかったと分かった。
92歳だった。
月光の奥へ奥へと母帰る