575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

母の死    遅足

2009年11月04日 | Weblog
死が近づいた母。
80歳になったおじさんがお別れに。
「姉さん」と呼びかける。
「元気にならないとアカンよ」
母の目蓋がかすかに動く。
耳はしっかりしているらしい。
おじさんも、あとは声にならない。

最後に2つのことを母に言おうと決めていた。
その時が来たようだ。
耳元に口を近づける。

「カアサン。ウンデクレテ、アリガトウ・・・」
閉じたままの目蓋が動く。しかし開かない。
口がガクガクと動く・・・
何か言おうとしているらしいが、声にはならない。

反抗期の頃、母を泣かせた。
「産んでくれとは頼まなかった」と言って・・・

もうひとつは、言う機会がないままに、母は逝った。
しかし、その顔を見て、言う必要はなかったと分かった。
92歳だった。


   月光の奥へ奥へと母帰る


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薬飲み血圧計る冬の朝    朱露

2009年11月04日 | Weblog


       降圧剤を飲んですぐ計っても無駄だ。
       と分かってはいるが習慣は恐ろしい。
       ジャック・ヒギンズ鷲は舞い降りた。
       また読んで出だしの凄さにまた驚く。

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