575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

橡の実を熊に残して拾ひけり   茨木和生

2011年11月27日 | Weblog
季語の地球科学。
日本列島は世界でも珍しいくらいメリハリのある四季に
恵まれた地域だそうです。
それは地球の歴史に深く関わっているとか。

こんな講演のタイトルに惹かれて、先日、
名古屋大学の豊田講堂へお話を聞きにいってきました。
お話をして下さったのは、尾池和夫さん。
元京都大学総長。俳人でもあります。
難しいお話もあって、どこまで理解できたのか?
心もとないですが、記憶に残っていることを書いてみます。

①まず大切なのが月の存在。

四季が生まれるのは、地軸が23.4度、傾いているためですが、
この地軸を安定させているのが月の存在。
月がないと、軸がゆれて不安定となり、四季は生まれないそうです。

②プレートの移動。

大陸が移動して現在の日本列島が生まれましたが、
この移動で列島は、四季の生まれる緯度に誕生。
また、この時、さまざまな地層が重なり、
その多様性が多様な自然を作り出す、文字通り土台だそうです。

③日本海の存在。

日本列島と同時に日本海ができました。太平洋と日本海に挟まれた列島。
冬の雪は日本海の水蒸気がもたらすもの。かくして冬も水は豊か。
太平洋側、日本海側、それぞれの四季をつくり出しました。

こうした奇跡的な条件が重なってメリハリのある四季が生まれ、
そこに定住した日本人は季語という文化を生み出して行ったそうです。

              

しかし、良いことばかりではありません。こうした条件は地震と密接不可分。
活断層が砂漠にオアシスをつくったように、日本列島では平野をつくり、
その平野に都市をつくっている現代人。
地震から逃れることは出来ないそうです。

遠い将来、人類は滅亡することは避けられないそうです。
その時に、人類は美しい化石を残すことが大切だそうです。
それまでは生態系を壊さずに、平和に、控えめに生きていく。

  橡の実を熊に残して拾ひけり   茨木和生

尾池さんは、この句が一番好きだと言ってお話を終えられました。

                     (遅足)



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鳥居より一礼のみの神の留守   晴代

2011年11月27日 | Weblog
神様はお留守の様子、ではそこそこに。現世万事がご利益と一礼。
とぼけた句だという声。
一方、こんな読み方も。
神様はお留守と知った時の微妙な気持ち。留守の方にも敬意を。
神との付かず離れずの関係を詠んだ句だと思います。

作者・いつもはお賽銭をあげ、二礼二拍。
   だが・・・ちょっと省エネして。

(確かに日本人は神様と付かず離れずにお付き合いしているようですね。
ヨーロッパの神とは違う感じがします。
そういえば京都に行って、孫の入学試験のお祈りをしましたが・・・遅足)


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山眠るあくまで低く人囲う     朱露

2011年11月27日 | Weblog
    山は笑えば「春」で眠れば「冬」。
    十一月半ばの八時だが皆寝ている。
    しばらく考えていて日曜日と知る。
    十数年働いていないと「私眠る」。

              


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