575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

金沢の旅① 銭屋五兵衛     遅足

2011年11月10日 | Weblog
先日、金沢に行ってきました。
海に近い金石(かないわ)町を訪ねてみました。
昔は宮腰と呼ばれた港町。
観光客の姿もなく、ひっそりとした佇まい。
銭屋五兵衛記念館があり、覘いてみました。

銭屋五兵衛は、宮腰生れ、幕末に廻船問屋として大活躍した人。
代々、両替商を営んできたことから屋号は銭屋。
北前船を使って、海に乗り出したのは、人生の後半、
質流れになった船を手に入れたことからでした。
この仕事、儲けは大きいが、経験や運がないと成功しないことから
地元では、銭屋さんは大丈夫か?と危ぶむ声も聞かれたそうです。
しかし持ち前の才覚と発揮、ついに大海運業者となった人物。

  ふる雨をふもとに見るや夕紅葉  亀巣

当時の豪商は文化人でもあり、亀巣という俳号を持って
俳諧も楽しんでいたそうです。
財政難に苦しんでいた加賀藩にも、たびたび御用金を調達、
藩の上層部と結びついた政商でもあります・・・

  這ひのぼる齢たのしや古希清水  亀巣

古希に苔をかけた言葉遊びの一句にも心意気が読み取れませんか。

しかし晩年に取り組んだ河北潟干拓事業で躓きます。
魚を食べた漁民が死んだ事件をきっかけに罪を問われて入獄。
親密な関係にあった藩の上層部が失脚したことも背景にあり、
獄中で80歳の生涯を終えました。

(写真は銭屋五兵衛のお墓。本龍寺にあります。)

遅足の蛇足です。
この地に生まれ、第二の銭屋五兵衛を目指した
人物に安宅弥吉がいます。あの安宅産業の創始者。
安宅産業も倒産して、すでに存在しません。
弥吉のお墓は、銭屋五兵衛の隣にあり、
静かに冬の日を浴びて並んでいました。




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我が友は冬の辛夷と缶ビール    朱露

2011年11月10日 | Weblog
    
   モクレン科の落葉樹で目の前に聳える。
   どうすればこれをコブシと読めるのか。
   二階の南窓の前に居る一番近い生き物。
   缶ビールは単なる枕言葉に過ぎません。

              


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