575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

対角線 切るや燕<ツバクロ> 胸白し <竹葉>

2020年05月09日 | Weblog


対角線 切るや燕<ツバクロ> 胸白し <竹葉>

ヒトの視界は横に長い楕円だそうです。
しかし絵を描くときは視界を四角形に
切り取ります。ツバメが構図を袈裟懸
けに断ち切ったのでしょうか。疾走感
が句に漲っている印象。下五の「胸白
し」。色彩の余韻も心地よいですね。
破調を避け詠んでみます。

「胸白き ツバメ一閃 対角線」<殿>

芭蕉は弟子の向井去来に「句調はずん
ば舌頭に千転せよ」と説いています。
つまり、俳句は文字ではなく音の響き
が大切。しかし、支考という弟子には
「文字で書く句の姿の映りを重視せよ」
と真逆の指南をしています。去来へは
聴覚。支考へは視覚。これは芭蕉の俳
句に対する変遷なのでしょうか。それ
とも弟子の排風に応じた指南なのでし
ょうか。芭蕉という俳聖への歩みより。
俳句の深淵を覗き見る感。
文と写真<殿>
コメント
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