575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

「雨に濡れ 卯の花白し 庭の隅」 <等> 「卯の花や パン売る驢馬の 遠ざかる」 <亜子>

2020年05月30日 | Weblog


実は、5月の題詠の選句は一句のみ。惜しみつつ
選べなかった句と意味がわからなかった二つの句
を考察してみます。

*「雨に濡れ 卯の花白し 庭の隅」 <等>

しっとり雨に濡れた卯の花の白さ。脳裏に情景が
精緻に描き出されます。作者は下五「庭の隅」で
ひっそり卯の花が咲いていると伝えたかったので
しょうか。また、庭の隅の暗闇で浮かび上がる卯
の花の白さを強調したかったのかもしれません。

「雨に濡れ 白鮮やかに 花空木」<殿>



*「卯の花や パン売る驢馬の 遠ざかる」<亜子>

「パンを売る驢馬」不思議な中七です。学生たちに
尋ねても知りません。ネットで調べ納得。昭和初期
に驢馬や荷車を牽かせたキッチンカーの元祖とのこ
と。特に、戦後「パン売りのロバさん」という曲が
レコード化され、パンの移動販売車が流したのでC
Mソングの元祖といえるかもしれません。しかしク
ルマ社会となり、驢馬に牽かせる荷車での移動販売
は困難となり終焉を迎えたようです。事情を理解し
あらためて詠んでみると、ノスタルジー溢れるいい
句ですね。きっと、街角に愛らしいメロディが流れ
たのでしょう。

「卯の花や パン牽く驢馬の 調べ絶え」<殿>

文と写真<殿>
コメント (1)
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