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花卯木 かおりの中に 志村けん <狗子>
5月の句会では「夏は来ぬ」という唱歌を踏まえ多くの方
が句を詠んでいます。私の知らない唱歌。そして、ウツギ
の花は無臭です。では、なぜ「夏は来ぬ」は無臭のウツギ
を「匂う垣根に」としたのでしょうか。この曲は初めての
オリンピックがアテネで開催された明治29年に発表されて
います。当時の唱歌は和歌の流れを汲み古語をベースにし
ています。万葉集における「におう」は「美しい」という
意味。つまり「夏は来ぬ」の真意は「垣根のウツギは美し
く咲き乱れる」が正しい解釈のようです。かく言う私も大
失敗をしています。
「卯の花の 降りくる香り また空へ」<殿>
原句に視点を移します。作者は花の香りで亡き芸人を思い
出したのでしょうか。素顔の彼は寡黙な努力家だったと伺
っています。ここからはあくまで私感。この句の問題点は
彼が亡くなったことを記してないことではないでしょうか。
「香りきえゆき」「香り散り去る」とすれば暗に意は伝え
られます。ここでは、香りではなく彼の残像が消えゆくさ
まを詠み、追悼句とさせていただきます。合掌。
「卯の花や 霞<かすみ>ゆく笑み 志村けん」<殿>
文と構成<殿>