蓑<みの> カヤやスゲで編んだ日本の雨具。
庵<あん> 僧尼の住む粗末な小屋。
時は室町。ある武人が狩りをしていると村
雨が降ってまいります。武人は雨具を借り
ようと粗末な小屋に立ち寄ります。すると
若い女が出てきて「お恥ずかしゅうござい
ます」と一言。差し出された盆の上には山
吹の枝が一本。武人は意味がわかりません。
ある家来が「七重八重 花は咲けども 山吹
の実のひとつだに なきぞ悲しき」という古
歌があり「実の」とは「蓑」<みの>のこと
で「お貸しする蓑もない」という意味だと
伝えます。武人は自らの無学を恥じ研鑚を
積み和歌の達人となります。ちなみに古歌
は後拾遺和歌抄に収められていて作者は兼
明親王。武人とは太田道灌のことで、落語
の演目「道灌」として有名。この「道灌」
「ななへやへ はなはさけども 山ぶきの みの
ひとつだに なきぞあやしき」を「ナナヘヤ
ヘ、ハナハサケドモ、ヤマブシノ、ミソヒ
トダルト、ナベトカマシキ」とする口上が
見せ場となります。
落語「道灌」<14分間>は下記サイトよりご
鑑賞いただけます。
https://www.youtube.com/watch?v=PkUmQS4cNIs
写真と文<殿>