どくだみの白い花が墓場の灯火のようだ。と
解釈。どくだみの生薬を愛用して亡くなった
方の魂の残光かもしれません。十薬を灯りと
する句は多く散見。しかし墓場としたことで
句に緊張感が漲ります。鬼火とは、蛍やどく
だみのことなのかもしれません。
「魂の 寂光淡き 之布岐<しぶき>かな」<殿>
寂光<じゃっこう> 安らかで静かな光
之布岐<しぶき> 蕺草<どくだみ>の別名
どくだみを十薬とするのは、解熱、解読、切
り傷、食欲不振など10の効果があるとからと
いわれています。実は、どくだみは雄しべと
雌しべ包む十字形の葉。私も含め、これを花
と勘違いしている方も多いようです。
「どくだみや 真昼の闇に 白十字」<茅舎>
どくだみは、強靭な生命力を持ち、増えるため
持て余す場合も多いようです。ところで、この
拙文で思い出したのが富安風生。友人の曽祖父
になります。実は、曽祖父の句について友人に
尋ねたことがあります。しかし庭にどくだみは
なかったとの答え。どくだみは刈り取られたの
でしょうか、それとも風生の想像でしょうか。
答えは句から推し量るしかなさそうです。
「さからはず 十薬をさへ 茂らしむ」<風生>
文と写真<殿>