注釈。未曾有のコロナ禍。世界は過渡期を迎えてい
るのかもしれません。早朝、微かな物音で目覚めま
した。病葉<わくらば>の散り落ちる音でしょうか。
心が揺れ動きます。
病葉<わくらば>は夏の季語。青葉の生い茂る季節
に病害虫などで朽ち落ちゆく葉のことです。コロナ
禍にざわめく心を詠んだ時事句のつもりだったので
すが稚拙な表現のため凡句となりました。
実は、この句の発想のスタートは万葉集「この里は
継ぎて霜や置く 夏の野に 我が見し草は もみちたり
けり」<万葉集 巻19-4268> この歌の題詞「黄葉せ
る沢蘭一株」は世界最古の植物ウイルスの記録とい
われています。この万葉集に詠まれたヒヨドリバナ
のウイルスについては英科学誌ネイチャーに掲載。
ちなみに、名前は「ジェミニウイルス」との由。
「病葉落つ 輪廻をひとつ 終えし夜に」<石田波郷>
構成と写真<殿>