575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

空は画用紙      愚足

2007年03月19日 | Weblog
 四月の句会のお題は「空」である。                                    夏石蕃矢によれば、天と地の間に広がる曖昧で宙ぶらりんの空間を空という。「アメ・アマ・天が天界をさし神の国という意味を込めたのに対し、何も内に含まない部分の意」(岩波古語辞典)だからこの単純で広大な空間は眺める人の心の奥底に潜む物を投影しやすいスクリーンになりうるのだという。

 さて、空という空間は切り取る時には注意を要する。入れるのか入れないのか。
大きく取り込むのか、僅かにして効果を上げるのかとても難しい。
 子供に絵を描かせると空への関心によって子供の性格や心理状態まで窺うことが出来るという。

  窄き門嘆きの空は花満ちぬ         川端茅舎
  空はさびしよ家あらばけ烟をあげよ    荻原井泉水
  便所より青空見えて啄木忌         寺山修司
  ボロ市や空一枚を使いけり         大木あまり
春の空ふらっと出たい鳶の舞          堀江靖孝 (写真に掲載)
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575の会 3月句会の結果です。  

2007年03月19日 | Weblog
 
題詠「桜」「花」

①桜満ち隙間に覗く碧さかな(龍次)愚・麗・郁・晴・立
②枝仰ぐ花待つ人の暖かさ(麗子)朱・立
③屋形船ゆるり行き交ふ花の雨(亜子)鳥・能・立
④頼朝の桜の下に埋めてくれ(朱露)龍・遅
⑤現し世に月下の桜ほの白く(郁子)
⑥百年は生者に長し桜餅(遅足)朱・静・愚・龍・亜
⑦ひたすらにおん身大切花の冷え(静荷)鳥・愚・郁・能・晴・遅
⑧花の雲眼下は保津の下り舟(立雄)鳥・郁・龍・遅
⑨思ひこめし鐘の震へや花の寺(愚足)静・麗・能・晴・亜
⑩花ひらのひらひらひらと空に消ゆ(能登)朱・静・麗・亜

     

自由題「大切なもの」

①春昼やいつも隠れている眼鏡(亜子)鳥・静・愚・郁・晴
②老梅の拗ねたる枝をそって撫で(立雄)能・龍・遅・亜
③無人駅出でて一輌春を行く(龍次)鳥・静・愚・麗・能・遅・立
④面伏せの雛に似たる女将かな(静荷)鳥・朱・龍
⑤一年のあっといふ間や雛の箱(愚足)静・龍・晴・立
⑥パソコンが壊れ読む読む町田康(朱露)
⑦礎は人の言葉の贈り物(麗子)朱・郁・亜
⑧わけもなくおかしかったりかなしい日(郁子)麗・
⑨母の恋妻の恋ありかしわ餅(遅足)朱・麗・能・晴・立・亜
⑩いぬふぐり母の鍬先土香る(能登)愚・郁・遅

おまけ
鈍行にゆられ答えをださぬ時間(郁子)

   

次回は4月18日(水)午後6時~
題詠は「空」です。

あわてものの遅足のことです。間違いがあったらご連絡を。

     


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海苔           愚足

2007年03月18日 | Weblog
 晩秋の浅海に海苔篊(ひび)をたててノリの胞子を付着させたノリは成長し一月から三月始めにかけて摘み取られる。寒風のなかでノリ舟に乗っての作業はとても過酷である。
 ノリの養殖は江戸時代の頃から江戸沿岸で盛んで、浅草海苔の名で全国に知られていた。現在では東京湾の汚染によって伊勢湾、瀬戸内海、有明湾などの養殖が盛んである。
 海苔は平安時代から珍重され宮廷貴族の高級食材であったと言う。
 
 私などは朝食に、海苔(焼き海苔でも佃煮でもいい)沢庵が無いと落ち着かない。あと生卵でもあれば十分である。だから、朝食だけは自立亭主である。

 さて、海苔は春の季語で、海苔掻く・海苔粗朶・海苔採り・海苔舟・海苔干す・海苔篊などバリエーションも色々だ。

 海苔の句ではなんといっても芭蕉の
     「衰や歯に喰あてし海苔の砂」
 に止めをさすようだ。

  海苔掻きは他は見ず岩を見て去りぬ     渡辺水巴
  海苔あぶる手もとの袖も美しき       瀧井孝作
  海苔買ふや追はるる如く都去る       吉岡禅寺洞
 も好きだ。

※写真は、広重の名所江戸百景「南品川鮫州海岸」
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朝倉川ゴミが見上げる花見かな   朱露

2007年03月18日 | Weblog


    我が朝倉川の土手の桜が咲いた。
    川までの傾斜はゴミの花が満開。
    ゴミは人の一形態に他ならない。
    即ちゴミが花見をしている風情。

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コトバの関節をはずす   遅足

2007年03月17日 | Weblog
柔道の技に関節技があります。
相手の関節をはずしてしまうものです。
コトバの関節をはずすとは、どういうことなのか?

 ぼくは その時いつも
 ぼ と く になってしまうのである
 ぼ
 が坐って
 く
 が立って
 二人で口を開けて月を見ていたことがある

藤富保男の「ふと」という詩の一節です。
ぼく、を、「ぼ」と「く」に分けてしまうなんで離れ業は
考えたこともありませんでした。
ことばの関節をはずすとは、こういうコトなんですね。

     


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本歌取りとパクリ      鳥野

2007年03月16日 | Weblog
演歌歌手と作詞家のバトルが賑やかです。盗作か、改悪か、著作権の侵害か、の判断はさておき、モノ書き界にもよくある話です。

意図的に盗み取りしたものか、お手本にして似せたのか、つまり、盗用と本歌取り。

本歌取りは作歌の一つの手法であって、「新古今集」などで藤原定家らが盛んに用いています。
”本歌よりも内容豊かに、より美しく”仕上げなければなりません。

俳句にもパクリはあるようですが、やっぱり元の句を越えるのが約束でしょうね。

短歌の師がよく言っていました。
「”すでに似た歌がある”と指摘されたくないなら、もっと早く生まれればよかったね」

  崖(きりぎし)ゆ海へと発ちし黄の蝶はもう還らずや菜の花離(か)れて

「安西冬衛を連想しますね」 それはないでしょ、カッテニシャガレです。
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お詫びとお願い  遅足

2007年03月15日 | Weblog
まことに申し訳ありません。
遅足のコンピューター(機械ではありません)が故障しました。
大切な能登さんの句を忘れていました。

    

改めて選句をしたいと思います。
お手数ですが、もう一度、お願いします。
まったく恥ずかしい次第ですが、よろしくお願いします。

    

各3句づつです。

題詠「桜」「花」
①桜満ち隙間に覗く碧さかな
②枝仰ぐ花待つ人の暖かさ
③屋形船ゆるり行き交ふ花の雨
④頼朝の桜の下に埋めてくれ
⑤現し世に月下の桜ほの白く
⑥百年は生者にながし桜餅
⑦ひたすらにおん身大切花の冷え
⑧花の雲眼下は保津の下り舟
⑨思ひこめし鐘の震へや花の寺
⑩花ひらのひらひらひらと空に消ゆ

  
自由題「大切なもの」
①春昼やいつも隠れている眼鏡
②老梅の拗ねたる枝をそって撫で
③無人駅出でて一輌春を行く
④面伏せの雛に似たる女将かな
⑤一年(ひととせ)のあっといふ間や雛の箱
⑥パソコンが壊れ読む読む町田康
⑦礎は人の言葉の贈り物
⑧わけもなくおかしかったりかなしい日
⑨母の恋妻の恋ありかしわ餅
⑩いぬふぐり母の鍬先土香る

   

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初恋を思い出した! 麗

2007年03月15日 | Weblog
    わけもなくおかしかったりかなしい日 

郁子さんの大切なもの。「何気ない一日」に○を入れさせて頂きました。 
人生は一日一日の積み重ね。小さなことに喜び、訳もなく泣いたり。
さっきまで泣いていたのにふとしたことで笑えたり。。。
いろんな感情が交錯して毎日が過ぎていきます。

中学2年の時同じクラスだった男の子。
悲しいときはすぐ立ち直れるように、嬉しいときは浮かれすぎないようにと言ってくれた彼は今どこで何をしているのでしょうか?あれが私の初恋だった気がします。郁子さんの句からなぜか淡い思い出がよみがえりました。
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3月句会の句が揃いました。

2007年03月14日 | Weblog
    
題詠「桜」または「花」

①桜満ち隙間に覗く碧さかな
②枝仰ぐ花待つ人の暖かさ
③屋形船ゆるり行き交ふ花の雨
④頼朝の桜の下に埋めてくれ
⑤現し世に月下の桜ほの白く
⑥百年は生者にながし桜餅
⑦ひたすらにおん身大切花の冷え
⑧花の雲眼下は保津の下り舟
⑨思ひこめし鐘の震へや花の寺


自由題(大切なもの)

①春昼やいつも隠れている眼鏡
②老梅の拗ねたる枝をそっと撫ぜ
③無人駅出でて一輌春を行く
④面伏せの雛に似たる女将かな
⑤一年(ひととせ)のあっといふ間や雛の箱
⑥パソコンが壊れ読む読む町田康
⑦礎は人の言葉の贈り物
⑧わけもなくおかしかったりかなしい日
⑨母の恋妻の恋ありかしわ餅


番外

鈍行にゆられ答えをださぬ時間(郁子)
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山路きて何やらゆかしすみれ草        芭蕉

2007年03月13日 | Weblog
 殆どの人がすみれを見て心を和ませ、春だという気持ちになる。
 けれど、この植物ゆかしいだけではない。なかなかの代物なのだ。まず、やたらと種が多い。日本には100種以上としている本もある。江戸時代まではスミレといえばスミレと言う感じで、ほとんど分類される事はなかったが、今では少しでも花の色や葉や茎の毛の量が違えば、それを変種や品種として区別し学名を与える傾向にある。「これなにすみれ?」の質問に即答できる事はほとんど無い。
 シハイスミレ(紫背菫)とマキノスミレ(牧野菫)を例にとる。前者が西日本、後者が東日本に分布するが、ここ中部地方には混在する。どちらも葉の裏側が紫色を帯び花の色は淡紅紫色から濃紅紫色である。肉眼で判る違いは葉の広げ方がシハイスミレは斜め上向き、マキノスミレは垂直に近いということだけ。だから、その二種が並んでいない限り見分けるのは大変難しい。
 次にスミレが凄いのは、繁殖の仕方である。花は後ろが突き出したような形になっている。この部分は「距」と呼ばれ蜜の入れ物である。この長い筒状の容器の蜜を飲むことの出来るハナバチの仲間のみが花粉の媒介者である。ハナバチは春のみ活動する。花が終わりハナバチが来なくなり人々も見向きもしなくなる夏から秋の間スミレは実を結び続ける。つぼみのままで花を咲かせない「閉鎖花」を作る。この閉鎖花の中で自家受粉し種子を多産する。種子には「エライオーム」というゼリー状の物質が付着していてこれが蟻の大好物なのだ。蟻はエライオームを餌にするためせっせと巣に運び込み、食べ終わると蟻にとってゴミ同然の種子を巣の外に運び出し捨てる。
 野の花のイメージの強いスミレがコンクリートの割れ目にそっと生えて花を咲かせるのは蟻に種子を播いてもらっているからである。
「何やらゆかし」と感じさせるスミレは巧妙に子孫を増やすたくましい存在なのだ。
                            草女
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自分の声はどこで聞くのか?  遅足

2007年03月13日 | Weblog

他人の声は耳で聞いています。
自分の声はどこで聞いているのか?
耳と喉。
では他人に自分の声は、どう聞こえているのか?
きっと、私が聞いている自分の声と違っていますね。

私の声をどう聞こえているのか?
それが分かるのが句会の評でしょうか?



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遊びの句        愚足

2007年03月12日 | Weblog
 俳句の著作でも知られている作家結城昌冶さんが「俳句は下手でかまわない」のなかで楽しい「遊びの句」を紹介してくれています。その中の数句を。

   一二三四五六七八桜貝        竹冷
   一句二句三句四句五句枯野の句  万太郎
   初雪や一二三四五六人        一茶
   十三四五六七夜月ナカリケリ    子規
   一重二重三重四重に山夕涼や   林火
お粗末ながら私も
   七五三一句捻りし一の宮       愚足

                       
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浅蜊     遅足

2007年03月11日 | Weblog

春らしくなって来ると思い出すのが潮干狩。
子供が小学生の頃、親子で、知多半島によく潮干狩りに出かけました。
まだ、風も潮も冷たいなか、子供たちは一心に浅蜊を掘っています。
私も、負けじと、頑張ったものです。
バケツ半分も採れれば大漁です。
一晩、包丁を入れたボールのなかで、砂を吐かせた浅蜊は
お味噌汁の具となる運命でした。

  浅蜊に水いっぱい張って熟睡す 菖蒲あや

浅蜊。ハマグリ科の二枚貝、蛤より小さい、と辞書にあります。
小学校3年生まで豊橋に住んでいましたが、
当時の三河湾は、本当に水がきれいで、蛤が採れました。
渥美半島に住む縄文人は、貝を沢山に採って日干しにし、
山のものと交換していたといいます。
浅蜊を串刺しにして、日干しにしたものを、
最近まで、知多半島でつくっていました。
桑名のしぐれ蛤などは、縄文時代からの伝統産業でしょうか?

  浅蜊剥くことして日々を疑わず 遠藤梧逸

ああ、浅蜊の酒蒸しも食べたい!
一度、潮干狩りに行こうかな?

                

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3月句会近づく。投句のお願い。  

2007年03月11日 | Weblog








3月の句会は14日です。
一週間早くなっています。
題詠は「桜」または「花」
ここ数日、冬の逆戻り。
ちょっとまだ早かったようです。

また自由題は、自分の大切なものを詠みこむ
という不自由題です。

締め切りは12日、一杯(13日午前9時)までです。
よろしくお願いします。


追伸  川柳の時実新子さんが亡くなられました。
    代表作に

      子を寝かせやっと私の私なり

      凶暴な愛が欲しいの煙突の

      人の世に許されざるは美しき

          (中日新聞より)

     ご冥福をお祈りします。  遅足




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つちふるや息生臭し我が張飛   朱露

2007年03月10日 | Weblog

張飛字は翼徳。劉備・関羽と義兄弟の末弟。
直情径行瞬間湯沸かし、三国志随一の豪傑。
私と正反対の男なので、弟のように可愛い。
黄砂降るこの頃、3世紀初めの義弟を偲ぶ。

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