575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

色は匂へど     鳥野

2007年03月09日 | Weblog
やっぱり日本人は色好み。色のつく単語、成句、慣用句のなんと多いことか。
色悪、色々し、色う、色際、色は思案の外、色を失う、・・・容姿、趣き、愛情の表現も色。階級や権力までも色で決めました。

色についての細目が制定されたのは、延喜式が最初ということですが、その頃から、色に情緒をもたせた「襲ね」の嗜みが始まります。

自然の風物を、匂いを、思いを、装束や、料紙、調度などに託して、教養を競いあいました。
あたかも、俳句における季語のよう。四季の区別に加えて、さらに、二十四節、七十二候もとなれば、教養も感性も生半可ではありません。

 驚いたのは「氷の襲ね」。無色透明の氷を現すのに、 表白(生絹)裏白(練絹)。この色使いから、氷を読み取り、”なんと冷たいお人”ということになったのでしょうか。


        白炎をひいて流氷帰りけり  石原八束

        薔薇色の暈して日あり浮き氷  鈴木花蓑
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日脚伸ぶ    麗

2007年03月08日 | Weblog
日没が遅くなりました。
夕食の支度にとりかかるのが遅くなったような。
そんな「日脚伸ぶ」の句が新聞の投稿句に載っていました。

    女客ばかりの茶房日脚伸ぶ   (佐藤かずえ)

う~ん。納得。おしゃべりに火がついた様子が目に浮かびます。
名古屋駅のミッドランドもオープンして大賑わい。ブランドが揃い欲望の象徴。でも話の種に行ってみたい。
そこで一句。

    勝ち組のビルそびえ立つ日脚伸ぶ  麗
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飛込の途中たましい遅れけり 中原道夫

2007年03月07日 | Weblog

面白い句です。でも、嘘だと思っていました。
でもでも、この通りでした。
飛込みではありません。
衝突事故でした。
「あっ、ブツカル!」とハンドルを握り締める一瞬。
体が、先に、勝手に前へ進んでいく。
体とたましいがずれている!と感じました。

人間の意識は、即時に現実の変化についてはいけません。
本当は、いつも少し遅れているのです。
ただ、パターン認識が出来上がっているので、
同じような出来事には、即時に対応が出来ているようです。
しかし新しい現実はそうはいきません。
世の中の新しい出来事も、まず「ヘンだな」という感じがあって、
知的な探求が始まり、モノゴトの変化として認識されるわけです。

この句は人間の本質のひとつをみごとに表現していると思いました。
飛込みの選手は、練習のおかげで、体とたましいが一体となっているはずです。

     

ああ、危なかった!命と引き換えの認識でした。  遅足

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○○桜クイズ            愚足

2007年03月06日 | Weblog
 困った時のクイズ頼み、久しぶりにクイズでお楽しみください。

 下の句の「○○ざくら」には、どんな桜が似合いでしょうか?選んでください。

 ① ○○櫻ひたすら散って己消す     津田清子
 ② ○○ざくら檜の香して風呂沸きぬ   大野林火
 ③ ○○ざくら星のあをさをとどめけり  田中 保
 ④ ○○櫻須磨に父母住み古りぬ     五十嵐哲也
 ⑤ ○○桜散りそめて刻をとどまらず   松井利彦
 
    遅 ・ 大 ・ 朝 ・ 夕 ・ 山       
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吾子帰れ好きな沈丁香り来る     草女

2007年03月05日 | Weblog
 夜間や間もなく雨が降るような時、一段と香る沈丁花。
 ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属の植物。広く知られた花で沢山の品種がある。
 が、中国から室町時代に渡来したと言われている。その時雄花しか渡来しなかったそうで、結実は極めて稀だとされている。
 昨年六月に東京の小石川植物園(東京大学理学部付属植物園)へ行ってジンチョウゲの赤い実(直径1㎝の球形)を見たときにはひどく驚いたものである。
 香り高い木の金木犀も同じように中国からもたらされた雄木で結実しない。
 ジンチョウゲ科の樹の多くは低木であるが、樹皮の繊維が強いという特徴のものが多い。ミツマタ、ガンピは紙の原料にされている。余談ではあるが、ミツマタは栽培できるが、ガンピは出来ない。雁皮紙が高価な理由がここにある。
 同じ仲間にオニシバリ(別名ナツボウズ)という一メートル以下の低木がある。
 細い茎(本当は幹)はその繊維が強靭でオニでもしばれそう、と言うことからの名前である。実際にネパールではロープとして今も山羊をつなぐのに使われている。オニシバリは西日本に自生しているが簡単には出会えない。
 で、我が家のジンチョウゲを手折ってみた。これを折って引きちぎる事は男性の彼にも出来なかった。
 「香りばかりじゃないのよ」と花はささやく。

※写真は沈丁花の実です。  
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「水菜」       愚足

2007年03月04日 | Weblog
 ミズナが「水菜」と呼ばれるなったのは昔京都の九条周辺で畦に水を引いて栽培したことからそう呼ばれるようになったという。霜に会ってこそさらに美味しくなる冬が本来の旬であるが、現在ではハウス栽培で年中出荷されている。
 ビタミンも豊富で調理すれば一度にたくさん食べられる。鍋、煮物、汁のみ、漬物と用途も万能である。
 関東では「京菜」とも呼ばれ、株から多数の茎葉が出るので「千筋菜」、葉の縁に切れ込みがあるので「柊菜」とも呼ばれる。
                      以上 俳句の魚菜図鑑より

 私にとってミズナは、「なっぱ」と小さい頃から呼んでいた懐かしのやさいです。母が、いつもチャブダイに乗せてくれていて、通り過ぎる度に手で摘んでいました。
 茹でてしょうゆと鰹と味の素、何よりあのシャキシャキとした歯ざわり、音をたてて食べた物です。
 年取ってからスーパーでミズナの漬物に出会うと反射的に籠に入れたくなります。 でも最近は音も出ないし、歯の隙間にひっかかって苦労しています。
 でもやめられません。

  水菜採る畦の十字に朝日満ち     飯田龍太
  春雪の忽ち溶けぬ水菜畑       鈴鹿野風呂


「おまけのレシピ」  キッコーマン御料理レシピより

  水菜 1わ

■ 油揚げ 1枚
■ ちりめんじゃこ 大さじ4
■ (A) しょうがドレッシング
・しょうが(しぼり汁) 1片分
・酢 大さじ2
・ごま油 大さじ1
・酒 小さじ2
・キッコーマン特選丸大豆しょうゆ 小さじ2
・砂糖 小さじ1
・塩 少々

1. 水菜は根元を切ってから3cm長さに切り、冷水にとってパリッとさせて水けをきる。
2. 油揚げは熱湯をかけて油抜きをし、油をひかないフライパンでこんがりと焼き、3cm幅に切ってから細切りにする。
3. ちりめんじゃこは、油をひかないフライパンでから炒りする。
4. (A)を合わせて、しょうがドレッシングを作る。
5. 器に(1)~(3)を盛り合わせ、(4)をかける

料理・渡辺有子 料理コーディネート・中島久枝 撮影・三浦康史(クラッカースタジオ)

            
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バッハ居てタイヤが廻る春の路  朱露

2007年03月03日 | Weblog

埃払ってバッハ「フルートソナタ」聴く。
春先の掃除で欠伸して出て来たバッハ様。
日本のていたらくを呪い(私)車中響く。
フルート・呪い・チェンバロ・罵詈讒謗。


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2足のボロ草鞋は無理と心得申し候       鳥野

2007年03月02日 | Weblog
2月の句会を欠席して、失礼しました。拙句についてのご批評を聞きたかったのにと、残念です。

  夕光に梅のひとはな際立てり

席上、夕光に”ゆうかげ”とルビを振ったことに、抵抗があったと伺いました。
光をかげと表現するのは当然と、疑いもしなかったけど、やはり俳句と短歌は違うのでしょうか。

短歌用語辞典(司代隆三・飯塚書店)には、「かげ・・・光、影」とあり、さらに「あさかげ・・・朝影、朝光}の項もあって、それぞれ秀歌も挙げられています。

いま一つ、ゆうかげにの「に」について。

この句、まだ春には早い日、暮れなずむ薄明かりの中に、姿よく咲いていた梅の一輪を見て詠んだものです。
花はちらほら、蕾であったり、半開きであったり。そのひと花のたたずまいだけが、夕光のなかに際立っていました。
色は言わずともの白、助詞は「に」のほかには、考えられませんでした。

助詞の「に」、これが大した曲者で、広辞苑だけでも、10数種、その分類も頭痛モノです。
勉強不足の点は、どうかご指摘ください。

 自作を説明したり、弁解したりするのは、お恥ずかしい限りです。

 
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俳句で自己紹介    麗

2007年03月01日 | Weblog
年末にNHK「ようこそ先輩」という番組で金子兜太さんが母校の
小学生に自分の大切なもの
を俳句で紹介するというおもしろい企画がありました。

先週ご紹介した片山由美子の「俳句を読むということ」という本の中にも
大学の講義で俳句で自己紹介をさせているというくだりがありました。

たとえば
  「2時間半かけて毎日通っている」
  「母親にこの頃似てると言われます」

など575のリズムからはじまり
そこに季語を入れるとできあがり。

   きょうだいは妹ひとり○○○○○
   バス停へ毎朝走る○○○○○

など。なんだか楽しそうですね。そこで私も
   「関西弁ぬけず名古屋の20年」
これでは季語がないので
   「関西弁ぬけず名古屋の春来る」
こんなところでしょうか?皆さんも考えてみてください。

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