575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

吾子帰れ好きな沈丁香り来る     草女

2007年03月05日 | Weblog
 夜間や間もなく雨が降るような時、一段と香る沈丁花。
 ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属の植物。広く知られた花で沢山の品種がある。
 が、中国から室町時代に渡来したと言われている。その時雄花しか渡来しなかったそうで、結実は極めて稀だとされている。
 昨年六月に東京の小石川植物園(東京大学理学部付属植物園)へ行ってジンチョウゲの赤い実(直径1㎝の球形)を見たときにはひどく驚いたものである。
 香り高い木の金木犀も同じように中国からもたらされた雄木で結実しない。
 ジンチョウゲ科の樹の多くは低木であるが、樹皮の繊維が強いという特徴のものが多い。ミツマタ、ガンピは紙の原料にされている。余談ではあるが、ミツマタは栽培できるが、ガンピは出来ない。雁皮紙が高価な理由がここにある。
 同じ仲間にオニシバリ(別名ナツボウズ)という一メートル以下の低木がある。
 細い茎(本当は幹)はその繊維が強靭でオニでもしばれそう、と言うことからの名前である。実際にネパールではロープとして今も山羊をつなぐのに使われている。オニシバリは西日本に自生しているが簡単には出会えない。
 で、我が家のジンチョウゲを手折ってみた。これを折って引きちぎる事は男性の彼にも出来なかった。
 「香りばかりじゃないのよ」と花はささやく。

※写真は沈丁花の実です。  
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする