575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

原爆忌     遅足

2007年08月06日 | Weblog
8時からNHKの広島からの中継を見ました。
大げさに言えば、ヒロシマは、不死鳥のように蘇った
という感じがしました。
久間さんの「仕方ない」発言など、
ヒロシマを圧殺してしまおう、という勢力が
日本列島を覆ってきた時期がありましたが、
それを跳ね返し、蘇ったという気がしました。

誰もが、ヒロシマを殺す側に、
いつの間にか立っているのでは?
という気もします。

  ずぶぬれの氷の器原爆忌

という句の診断で、荻原先生は
「よく出来た句だが、類型的。
21世紀には21世紀の原爆忌の句が必要」と。

原爆忌を忘れないようにという気持ちのなかにも
原爆忌を殺してしまう働きがあるのか?
と、思わずにはいられませんでした。

よく言われますが、俳句も、その人の生き方に
深く関わってくるということですね。



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キャンディの味         愚足

2007年08月05日 | Weblog
 終戦といえば、キャンディの味である。
 進駐軍の司令部として接収され鉄条網の中はカンナ等の夏の花々が咲きそろいグリーンの芝生の眩い別天地であった。
 常に飢えていた小学生の私たちは、歩哨の黒人兵がご機嫌な時に放ってくれる、ガムとキャンディが欲しくて禁を破って鉄柵に近づいていった。
 「ギブミー キャンディ」それは唯一通じた英語である。
 中学生の真似をして口々に叫んだ。
 黒人の若い兵士は、白い歯に真っ赤な唇を剥き出して私たちを脅したり、歌ったりして、上機嫌であった。
 そして、フィナーレがガムとキャンデイのばら撒きだ。私たちは先を争って公園の草むらや木立の中に潜り込んで戦利品を探した。

 やっと手に入れた「キャンディ」は夢の味であった。
 幸運な友達は三つも見つけて家に持ち帰った。
 私は、持ち帰ると父に叱られるので、母に舐めさせたいと思ったが、家に帰り着くまでに公園の片隅でチビチビと舐め終わった。
 そして、蝉たちの声と暑さにやっと気が付いた。
 
  蝉時雨キャンディの味進駐軍      愚
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真鶴の夏「望郷」のペペ・ル・モコ   朱露

2007年08月04日 | Weblog

     戦後すぐ熱海で観たジャン・ギャバン。
     手錠のままナイフで自殺するギャング。
     懐かしいパリと女のために絶望する男。
     哀れなペペよりもっと可哀想な筈の僕。

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戦争コワ-イ    鳥野

2007年08月03日 | Weblog
短歌の総合誌”短歌研究”8月号が「読みつがれるべき戦争歌」と題する特集を組んでいます。
現代の著名な歌人14人が、それぞれ心に残る戦争詠5首をあげて、感想や解説をつけるという企画です。

ノンフィクション作家・梯久美子氏の寄稿もあり、若手歌人13人の戦争詠も加えて、全46ページ。かなり力が入っています。

参院選で小沢氏が勝利しようとも、きな臭さの去らない情勢。「戦争は絶対イヤ!!」とあの手この手で発言し続けることこそが、大切なのでは。

   ・ このくにの空を飛ぶとき悲しめよ南にむかふ雨夜かりがね  斉藤茂吉

   ・ ズロースもつけず黒焦の人は女か乳房たらし泣きわめき行く 正田篠枝

   ・ 一分ときめてぬか俯す黙祷の「終り」といえばみな終るなり  竹山広

   ・ 今もどこかで戦争に死ぬ若者が居て教室に空席二列  佐佐木幸綱

季語にも終戦日、原爆忌などがあり、、平和への希求が現れています。
   
   ・ 月にまだ血のごときいろ終戦日  登四郎

   ・ 原爆忌の夕空「血池の上澄み」ぞ  香西照雄

   ・ 核のろうための残生広島忌  金箱戈止夫 

   ・ 夢に出て水乞う子らや原爆忌  大橋淳一


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蝉時雨国を憂いて死ぬのかな   朱露

2007年08月02日 | Weblog


     自分が国民であるという凄まじい矛盾。 
     分りやすく言えば日本人の自分が嫌だ。
     じゃ、何人ならご満足なのかね、君は。
     四十前に死ぬ縄文人。血液型はBです。

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昭和の歌   麗

2007年08月02日 | Weblog
作詞家の阿久悠さんが70歳で亡くなったとのこと。
改めて代表曲を見てみると私の世代では一連のピンクレディーの曲に始まり
「宇宙戦艦ヤマト」も「勝手にしやがれ」も「舟歌」も
「もしもピアノが弾けたなら」も大ヒットしたいい曲ばかり。

平成に入ってから歌い継がれていけそうな、みんなが知っている曲が少ないのは
ラップ調の韻を踏んだ言葉やカタカナ英語ばかりで歌詞に魅力がないせいかも。
メロディーより心にしみるのはやっぱり歌詞ですよね。

いい歌詞にめぐり会いたい今日この頃。阿久さんのご冥福をお祈りします。
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金亀子って?   遅足

2007年08月01日 | Weblog
今日から八月。
今年の夏は、まだ熱帯夜がなく少し過ごしやすいです。

夏といえば、昆虫採集。
クワガタとカブトムシが本命でした。
しかし、街の子には、そう簡単には手に入りません。
そこでよく捕まえていたのがコガネムシ。

捕まえると、すぐ糞をするのでちょっと閉口しましたが、
ゴガネムシには、大きく分けると糞を食べるヤツと、
葉を食用とするヤツがいるそうです。
夜に家の灯をめがけて飛んでくるのは葉を食べる方で、
これが俳句の素材に。

    


 金亀子擲つ闇の深さかな 虚子

最初にこの句に接した時、まず、「金亀子」って何?
どう読むの?
と、思いました。
あのコガネムシのこととは思えませんでした。

 ぶんぶんをその来し闇に投げいなす 安住敦

 かなぶんの昼は葡萄の葉に眠る   金子兜太

        

俳句の世界では、優遇されているコガネムシですが、害虫。
成虫は、野菜や庭木、果樹などの葉を食べ、
幼虫も、根を食べネキリムシと呼ばれ、駆除されています。

どうして金亀子と書くんでしょうね?



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