575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

5月句会の投句が集まりました。     遅足

2013年05月15日 | Weblog
庭の花も椿、桜から牡丹を経て、今では薔薇、さつきへと。
そういえば蜜柑の花も・・・まもなく紫陽花の季節ですね。
今が一年で一番清々しい初夏、若葉の季節です。
様々な若葉の句が集まりました。


題詠「若葉」

①綿毛持つ少年の頬若葉風
②どこまでも若葉あふれる東山
③垣若葉とぎれとぎれにバイエルが
④おしゃべりがすぎる若葉を風はやす
⑤濃淡の色あり楽し若葉かな
⑥空を曲げ若葉に消ゆるティーショット
⑦濃淡のゆらぎ集めて楠若葉
⑧目には若葉若者には小(ち)さき画面
⑨三山をのせて大地の若葉かな
⑩京若葉して静かさを取り戻す
⑪ぶな若葉しずくの中に宇宙あり
⑫千年の木に千回の若葉かな
⑬若葉風ピーターパンの通り抜け

 
自由題  

①真白なりなんじゃもんじゃのあるを知る
②今一度来ませうぐいすわが宿に
③この国の希望絶望蟻の道
④老ひてなほ菖蒲湯の香に酔ひにける
⑤初鰹薬味の下で出番待つ
⑥母の日の高くつく子の家事代行
⑦丸々と廃炉跡地のクローバー
⑧サンダルのつま先眩しテラス席
⑨車止めすとんと五月座ります
⑩てふてふや遺書に書くべきこと持たず
⑪閖上の海で泣いてるカーネーション
⑫仕舞湯の菖蒲は細くなりにけり
⑬すきま風肌身染み入る夫婦旅

どの若葉に風が集まるのでしょうね?   
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寂しき器  鳥野

2013年05月13日 | Weblog
高齢故にと、運転免許証を返納してからもう幾年月。
もっぱら地下鉄の愛用者です。

その地下鉄の車内の様子が最近すっかり変わりました。
嘗て、携帯電話が登場したころは、車内マナーもそれ
なりに行き届き、違反して使用する人は遠慮勝ちでし
た。

今でも、マナーモードにする、優先席近くでは電源を
切る、などの呼びかけはあるものの、どこ吹く風。
とりわけ通学、通勤の時間帯は、若者それぞれが、
それぞれの機種を掲げて、操作に夢中です。

ずらりと、座席を占領して、みんな全くの無言。

 ・ ひたすらに端末操作する人ら 寂しさ運び
   地下鉄の行く
              鳥野




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生涯にどれほどの距離かたつむり   増成栗人

2013年05月13日 | Weblog
かたつむりは一日にどのくらいの距離を歩むのでしょうか?
また、寿命は、どのくらいなのでしょう?
人間から見たら、一生、懸命に歩いても、長いとは言いにくいでしょうね。

私は、この句は自身のことを詠んだ句と思いました。
ところが、作者は、64歳で急逝した妻への相聞の句と書いています。
それを聞くと、妻への愛情と、悔恨の気持ちが伝わってきます。
一緒に過ごした時間の短さを嘆いているようです。

俳句はわずか17文字。
文脈が違うと、一句は全く異なった顔を見せるんですね。  遅足

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遺壁(いへき)の寒さ腕失せ首失せなほ天使   加藤楸邨

2013年05月12日 | Weblog
加藤楸邨の一○○句を読む(石寒太)を読んでいたら、この句に。
575のリズムから遠く離れた句です。

石さんは、本のなかでこう書いています。

長崎の浦上天主堂の壊れた壁を詠んだ句。
原爆によって破壊された壁、そこにあった天使は、
腕も消え、首もなくなったが、なお天使として立っている。
意味は明瞭ですが、ごつごつした句です。

後に、楸邨自身、この句についてこう述べています。
「いま読み返してみると、ずい分気負いたっているように見える。
しかし、それを恥ずかしく思ってはいけないのだと思う。
何か俳句では背負いきれないような出来事にぶつかった時、
避けて通ることは、俳句を無気力にしてしまう。
その結果は俳句を詠むのに都合のよいことだけに
俳句を限ってしまうことになる。
そのあげく、おそろしいのは、俳句になるものしか見なくなるのだ。
私はときには俳句が傷だらけになってしまうような詠み方も
敢えてしてゆくほかないと思っている」。

10年以上、俳句を楽しんでいます。
ついつい俳句になるものしか素材に選んでいない。
そんな自分に気づかされてハッとしました。

             

今日は母の日です。

   母の日のきれいな風が吹いてくる    遅足








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托鉢の心乱れて春惜しむ    狗子

2013年05月11日 | Weblog
若い修行僧。いくら心を無に、と修業しても煩悩は消えません。
煩悩のままに生きることが、即、無に。
そう思うには、やはり年齢が必要でしょうか?

この僧は尼さんでは?という意見もありました。
これにはビックリ。
尼さんとすると、恋の句になりそうです。

男女、年齢を問わず、春はこころ乱れるもののようですね。

  二つ三つかみそりの傷ほの紅(あか)き
             われはしずかな破戒僧なり  坂井修一

               

昨日から雨。庭の木々も今朝は頭を垂れています。
梅の木には実が一杯。去年、少なかったので、今年は生り年。
奥さんは梅ジャムをつくると張り切っています。
花はミカンと柚子。白く馨しい香が・・・

もうすぐキライな蚊が現れます。
春から初夏までのほんのしばしの楽園の季節もまもなく終りです。

                       遅足



                
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喝采の花降りしきり春惜しむ     郁子

2013年05月10日 | Weblog
喝采の花。この句のキーワードのようです。
爛漫の桜が降りしきる様子。
客席から湧き上がる喝采の声。
2つの意味が込められているようです。

作者によれば、「義経千本桜」の場面だそうです。
御園座の最後の公演で演じられたもの。
多くのファンに親しまれてきた御園座ですね。
再建へというニュースもありました。
一日も早い再建を望んでいます。

花といえば、昨日、奥さんが植物園に薔薇を見に。
まだ少し早かったようです。
我が家の庭も、ナニワイバラや躑躅も終って、緑の季節に。
小さな庭にも四季は確実に廻ってきます。

   母の名はひらがな三つ柿若葉   遅足

明日は雨が降ってくれるそうです。木や草も一息つけそう。


コメント (3)
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若葉あふれる   麗

2013年05月09日 | Weblog
今日は真夏日の予想です。急激な温度の差にあたふたしています。
昨日は若葉あふれる東山植物園に行ってきました。
何もかも青葉若葉です。
俳句が作れるかと思いきやあまりの新緑のエネルギーがまぶしすぎて何も生まれず。。

毎日NHK連続ドラマの「あまちゃん」にすっかり魅了されている私。きらきらした瞳がかわいくて台詞も面白い。毎朝笑っています。

      あまちゃんの笑顔に若葉まぶしけり  麗
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5月句会が近づいてきました。 遅足

2013年05月08日 | Weblog
今回の題詠は「若葉」です。

新緑、青葉などと同じ意味ですが、初夏の樹木の瑞々しいさを言います。
木によって色合いが微妙に違い、柿若葉、椎若葉、樟若葉などとも。
また、若葉風、若葉雨、若葉寒なども季語です。

  町いまが一番きれい若葉風  黒川悦子

今、まさに若葉の季節。気持ちのよい風も。
散歩に最適な季節のひとつです。

  幻の椅子ひとつ置く柿若葉  遅足

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薩摩切子に冷酒を  鳥野

2013年05月07日 | Weblog
5月5日は立夏。いよいよ夏、季語も変わります。
夏ならではの透明感、ガラス製品が大好きなワタ
シは、季節到来と思ったのに、歳時記にそのガラ
スの項目が見当たりません。
その代わりに基本季語として「ギャマン」が。傍
題に「切子」「ビードロ」「カットグラス」とあ
りました。

解説によれば、ギャマンとはダイヤモンドのこと。
それを用いて細工した物を指すのだそうです。

とにかくガラスは季語になく、その細工物でなけれ
ばと言うわけ。ならば、あの薩摩切子を。

 ・ 空のいろ映す切子に注ぐ地酒  鳥野


  
                   
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女学生袴をつけて春惜しむ    すみ

2013年05月06日 | Weblog
卒業式の風景ですね。
何時の頃からか、学校のセレモニーに袴姿が出現しました。
明治の新しい女性たちが身につけた袴姿の復活でしょうか?
平成の御世に袴姿とは!と思ったものです。
(女性の袴着用は平安時代にもあったそうですが・・・)

この句では、中七、下五と動詞が使われています。
俳句のなかに、動詞を生かすのはなかなか難しいと言われています。
この句の場合はどうでしょうか?
句会では、つけて、という動詞を変えて

   女学生袴姿に春惜しむ

としては、という意見もありました。

みなさんはどう思われますか?    遅足
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舞い落ちて流れるもよし春惜しむ   能登

2013年05月05日 | Weblog
中七の、流れるもよし、が潔くて良いですね、と立雄さん。

桜の花でしょうか、風に舞い落ちて・・・水の上に。
流れに身を任せてどこまでも・・・
桜は実を結び、役目の終った花びらは散ってゆく。
私たちの世代は、実よりも花びらに自己を投影してしまいます。

ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。
淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたる例なし。

方丈記の冒頭です。
春惜しむ、という季語が、作者のこころを映し出しているようです。

                        遅足



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春惜しむ裸婦の傾き直しつつ     晴代

2013年05月04日 | Weblog
陽光に泰西名画も浮かれました。早速の修正、と鳥野さん。
春の展覧会の最終日。ふと、見ると裸婦が傾いています。
傾きを直して・・・展覧会も終りです、と立雄さん。

裸婦の絵がどこにあるのか?
なにも言わないことで読者の想像力を刺激します。
美容院で見た裸婦でしたと、作者。

裸婦は、絵を出て自由に遊びたかったのでしょうか?
しかしホンモノの裸婦が絵から出てきたらビックリです。
春ならではの出来事。

                    遅足
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招き上げ独り声色(コワイロ)春惜しむ    結宇

2013年05月03日 | Weblog
招き上げを見て、帰り道かな?
独り言のようにコワイロを真似ているといった図です。 
そんな風にして、御園座の歴史を思い出していましたと、作者。


まねき上げは、京都・南座や名古屋・御園座などで、
顔見世興行、公演の前に行われる行事です。
出演する歌舞伎役者の名を書いた、ヒノキ看板を上に掲げます。
二枚目、三枚目という言い方は、このから来ているそうです。

声色は、歌舞伎役者の口真似をする芸。
江戸時代、幇間(ほうかん)が、宴席を楽しませる芸のひとつ。
また、芝居小屋の呼びこみで、その日演じられる芝居のさわりを
人気役者の声をまねて聞かせることも行われていたそうです。

名古屋の御園座、早く復活して欲しいですね。 遅足


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春惜しむミニ懐石の老夫婦    麗子

2013年05月02日 | Weblog
同様な経験のある小生としては、身にしみます、と結宇さん。
懐石料理を楽しむ老夫婦。料理も春の素材がふんだんに、と立雄さん。

実体験は、

  女子会のミニ懐石に春惜しむ

だったそうです。
それでは俳句にならないと・・・、と作者。

いや、女子会も面白いですよ、と亜子さん。
ミニ懐石の意味するところが、違ってきますね。 遅足

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降りそそぐひかりあつめて春惜しむ    えみ

2013年05月01日 | Weblog
全身に春の光を浴びているのでしょうか。
モノに光があたって反射する。
その反射する光を見て、モノのカタチが目に見える。
モノを見ることは光をみているとも。
身の回りのモノからの光をも集めて・・・
すべてのモノを愛しく思う春。

俳句の場合は、具体的なモノを一つ詠みこむと
イメージがはっきりしてきます。

   降りそそぐ光を○○に(あつめて)春惜しむ

あつめて、を省略して、○○を具体的なモノにすると・・・
どうでしょうか?
                     遅足

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