575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

キョンキョンの名を得てヤンバルクイナかな   遅足

2016年05月16日 | Weblog
沖縄本島の北部は、ヤンバル(山原)と呼ばれています。
ヤンバルクイナは、このヤンバルの森に棲むクイナで、羽が退化して飛べません。
普通のクイナは渡り鳥ですが、ヤンバルは、よほど居心地がよかったのですね。
定住し、飛ばなくてもやっていけるライフ・スタイルを身につけたのでしょう。
進歩でしょうか?退化でしょうか?
年々、数を減らして、今は国の天然記念物として保護を受けています。

生態展示施設があると聞き、行ってみました。
畑のなかにあった卵を孵化させて育てたので人を怖れないとか。
このクイナは、まるまる太っています。
野生のものは、もっと痩せており、太り過ぎないように注意している、
と若い女性の飼育員さん。

名前は鳴き声にちなんで、キョンキョン。
ガラス越しに近づいてきました。奥さんがさしだすと・・・突こうとします。
大きなみみずと思ったのでしょうか?

野生のクイナの中には道路に出て事故に遭うものも・・・
帰りの道路には、注意を呼びかける看板が目につきました。

          

クイナは夏の季語。
昔から和歌や俳句に詠まれてきました。

  水鶏啼くと人のいへばや佐屋泊  芭蕉

佐屋は名古屋近郊の町です。東海道の脇街道に宿場でした。

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琉球の歌     遅足

2016年05月15日 | Weblog
 親のきく畑 あざやかに咲いた まんかいの花に 父の笑顔

児童生徒の部で琉歌大賞となった作品です。
琉歌とは、沖縄独自の歌。
8・8・8・6の30音からなっています。

私の泊ったホテルのある恩納村は、三歌人の一人、
恩納ナビー(女性)の生誕地。18世紀の人です。

 恩納岳(うんなだき)あがた 里(さとう)が生(ん)まれ島(じま)

 もりも(むゐん)おしのけて こがたなさな 

8・8・8・6のリズムが心地よい調べを生みだしています。
意味は、恩納岳の向うは私の恋人の故郷。
山もおしのけて 恋人の村をこちらへ引き寄せたい。
恋人の役人の息子が、隣村に帰ってしまった時に詠んだもの。
上句の16音で情景を、下句の14音で思いを述べるのが原則だそうです。

この歌を読んだ時、思い出したのが、万葉集。
狭野弟上娘子(さののおとがみおとめ)の歌。

 君が行く道の長手を繰りたたね焼き滅ぼさむ天あめの火もがも

あなたが行く長い道を、くるくると手繰り寄せるようにして、
焼き尽くしてくれる天の火がほしい。
そうすれば、あなたは都に留まるしかないだろうから。

おおらかで激しい恋の歌ですね。どこか与謝野晶子に通ずるものを感じます。

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鰹切る女の胸に琉歌あり   遅足

2016年05月14日 | Weblog
沖縄旅行の続報です。先月の末、北部にある本部町に訪れました。
この町は、カツオの水揚げ港として有名。
目的は「政良さしみ店」の「カツオの味噌和え」
お昼ご飯に、とレンタカーで、お店のある本部町の市場に。

写真は市場の外観です。
おばあさんたちが自分のつくった野菜を売っている他は、
洋品店などが、細々と営業を続けているといった感じ。
ようやく探し当てた「政良さしみ店」
ガラス戸越しに覘いても、誰もいません。
お隣に声をかけると呼んできてあげるとのこと。

やがて女の人がやって、注文を受けるとお米を炊きはじめました。
待つこと小半時、テーブルにカツオの味噌和えと魚汁とご飯が並びました。
美味しいカツオでした。多くて食べきれませんでした。

店内には、短歌らしきものと、その作者の似顔絵を描いた張り紙が一杯。
その中に「政良作」としてこんな歌が。

 さしみ屋をやめて事務員になれと かわいいカマドさんはないて言った

作者の政良とは、店主の渡久地政良(とぐち・せいりょう)さん。
「カマドさん」は奥さんの名だそうです。
どうも奥さんは、さしみ店を続けることに泣いて反対されたようです。
(あとで知ることになりますが、この歌は琉歌という沖縄独自の歌でした)

              

この市場は、先日のNHKの番組「鶴瓶の家族に乾杯」でも紹介されていました。
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竹の子の鍋傾けてあぁIH   智恵

2016年05月13日 | Weblog
季語は竹の子。
孟宗竹、淡竹(はちく)などの種類があり、初夏を代表する味です。
掘りたてを、ぬかを溶いた湯で下茹でして「えぐみ」をとります。

IHは新しいクッキングヒーター。
火を使わない、電気を熱源とするコンロです。
題詠の「火」も使われていませんね。
「傾けて」とはどういう意味でしょうか。
IHは鍋を傾けると熱が弱くなってしまうそうです。

昔の電熱器やホットプレートなどとは全く違い、
磁力線のはたらきで鍋そのものを熱する仕組み。
火事が起きにくく老人にも重宝とか。
でも、初めて使った時は戸惑いました。      遅足



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水族館に行ってきました    麗

2016年05月12日 | Weblog
日差しがまぶしい!!
今日は紫外線に気をつけて過ごしましょう。

さて、GW最終日、久しぶりに名古屋港水族館に出かけました。
現在、名古屋港水族館には三頭のシャチがいます。
お母さんのステラ、3歳のりん、そして孫のアース。なぜか孫のアースの方が7歳で年上。りんちゃんはアースの年下のおばさんにあたるそうです。

シャチのトレーニングの様子やイルカのパフォーマンス。トレーナーとの息もぴったりで観客に向かって健気に尾びれを振ったり、高くジャンプしたり、陸にあがって身体を反ったり。本当にその頭のよさには頭が下がります。(変な表現ですね)

笛を吹いてパフォーマンスが上手にできるとえさをもらえる。それを理解してイルカたちはどんどん高度な技を習得していくそうです。

名古屋港水族館のいいところは、名古屋港の海風を浴びながら開放感あふれる屋外でパフォーマンスを見学できるし、室内では大きなプールで水中の様子を観察できるところ。青いプールの中を気持ち良さそうに泳ぐイルカたちの姿は見ていて飽きません。癒しの空間になっています。
青いプールと青い空。そこをつなぐイルカやシャチたち。躍動感あふれる水族館です。
願わくばイルカやシャチたちが水族館の生活を楽しんでくれていると嬉しいです。


         青き空目指してシャチのジャンプかな

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5月句会近づく     遅足

2016年05月11日 | Weblog
5月句会が近づいてきました。
今回の題詠は「蛇」です。

ある夏の日、庭の木蓮の木に青大将を見つけました。
お腹の真ん中がプックリと膨れています。鳩の雛をのみ込んだようです。
じっと目をつぶっていましたが、ゆっくりと地上へ。
降りると、あっという間に雑草のなかに姿を消していきました。
もう何年も前のことです。以後、蛇を見ることはありません。

蛇は、なんとなく気持ちが悪く、子供の頃からキライでした。
日頃、意識しないようにしている蛇ですが、題詠となると考えざるを得ません。
潜在意識に隠されていた思わぬ気持に気付かされるのかも・・・

  高山寺ちひさき蛇にあひにけり    細川加賀

こんな蛇ならいいけれど。大きな青大将でした。

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火炙りの刑場の跡黒揚羽    狗子

2016年05月10日 | Weblog
なんだか、想いを残す魂が戻ってきたかのような、と智恵さん。

江戸時代、放火犯は火炙りの刑に。
あの八百屋お七も火炙りになっています。

大火事で焼け出さたお七一家は寺に避難、ここで寺小姓と恋仲に。
店が建て直され、一家は寺を引き払いますが・・・
恋心は募るばかり。
もう一度火事になれば、恋人に逢える、と自宅に放火。
小火(ぼや)で済みましたが、お七は放火の罪に。
鈴ヶ森刑場で火あぶりの刑に処せられています。

蝶は死者のたましいと考えられていたとか。
黒揚羽は、八百屋お七の化身ではなさそうですね。誰だろう?

            

写真はカキツバタだと思います。
私にはカキツバタとアヤメの違いがよく分かりませんが・・・

                      遅足


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朝寝してやかん火にかけ極上の日    すみ

2016年05月09日 | Weblog
日頃、家族のために早く起きて朝食の準備に忙しいお母さん。
午前3時半に起きて娘の弁当をつくるお母さんもいるとか。
一度、思いっきり朝寝をしてみたい。
そんな主婦の願いの叶った極上の日!
やかんを火にかけて、自分のために朝食の準備を。

都都逸で朝寝を詠ったのが、長州藩の志士・高杉晋作。

  三千世界の烏を殺し、主と朝寝がしてみたい

朝早くから喧しい「カラス」を殺して、貴方とゆっくり朝寝がしたい。
遊女と馴染み客と朝方の睦言の情景を唄ったもの。
それに比べて主婦の朝寝はつつましいものですね。

退職すると朝寝は思いのままです。
しかし早く目が覚めてしまいます。

            

今日は一日、雨のようです。
晴天の昨日、平和公園の自然観察会に。
写真はショウブの花です。
アヤメやカキツバタと違って地味な花ですね。  遅足

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広島に種火恥ずかし春ゆらぐ   結宇

2016年05月08日 | Weblog
広島といえば平和記念公園にある平和の灯。
昭和39年の8月1日に点火されました。
核兵器の廃絶を願うシンボルとなっています。

中七の「恥ずかし」をどう読むべきでしょうか?
被爆国であり、原発事故という大惨事を引き起こしたにもかかわらず
もう原発を再稼働させている現在の日本人のあり方。
そんな姿は恥ずかしいのでは・・・春も揺らいでいるようです
と、すみさんは読みました。素晴らしい読みです。

なお疑問が残ります。なぜ「種火」なのでしょうか?

平和の灯の種火として使われたのは、
全国の12の宗派から寄せられた「宗教の火」、
溶鉱炉などの工場地帯から届けられた「産業の火」でした。

これとは別に原爆で燃え上がった広島市内に入り、
くすぶっていた火を懐炉に移して持ち帰った人がいました。
福岡県八女市星野村の男性で、叔父さんの消息を求めて
被爆直後の広島に入り、燻っていた火を懐炉に移して持ち帰りました。
この火はその後「平和の火」として村が引継ぎ、
いまでは八女市が引き継いでいるそうです。

こうした事情も句の背景にあるのでしょうか。

          

オバマさんがヒロシマを訪問するか、どうか。
アメリカ国内で賛否両論が・・・・
原爆の投下は正しい。アメリカは謝罪する必要はない、という意見。
平和を祈念する建物。当初はイサム・ノグチの設計案でした。
しかしアメリカ人の設計では・・・という声があり採用されませんでした。
現代人がナショナリズムの磁力から逃れるのは難しいようです。

写真は散歩の途中に見つけたカタバミです。
園芸種なのかも知れません。           遅足



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空に向け火炎を放つブナ若葉   能登

2016年05月07日 | Weblog
ブナの若葉の勢いが、火炎とあらわされたので、ビックリ。
いただきました、と智恵さん。
ブナの木の形は、空にむかって炎を掲げているようでピッタリ
と、晴代さんも。

ブナ林といえば白神山地ですが、白山にもりっぱなブナ林があります。
一人では抱えきれないような太い幹のブナの大樹が一杯でした。

ブナ林の春は、木の芽や山菜が採れます。
保水力が大きく、夏、比較的雨の少ない日本海側は
ブナ林が貯えた水が、作物や山野の植物を守ってきました。
紅葉し落葉する秋には、たくさんのキノコが・・・。
日本人にとってブナは暮しに欠かせない存在でした。

一時、材木としての価値の低いブナは軽視されましたが、
今は、観光資源としての価値も見直され大切にされています。

           

志賀高原にブナ平と呼ばれるスキー場があります。
若い頃スキーを楽しんだ斜面、ブナの林だったのでしょうね。

                       遅足

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競演の火照り残して桜蕊  郁子

2016年05月06日 | Weblog
花色をとどめている蕊に注目、なかなかできない、と能登さん。

花の目的は虫を呼んで、花粉を運んでもらうこと。
色を競い、香りを競うのも自分の遺伝子を残すため。
それを競演と詠みました。
宝塚の舞台もイメージされているのかもしれません。

恋の季節が終わり、役割を果たした蕊は散っていきます。
その蕊に火照りの色が残っているという発見。
能登さんのご指摘のように、なかなか出来るものではありません。

そういえば、散るのは雄蕊ですね。     遅足


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みどりのトンネル    麗

2016年05月05日 | Weblog
GWいかがお過ごしですか?
お気に入りの桜のトンネルが新緑の季節を迎え、みどりのトンネルになっていました。
昨日のみどりの日の毎日新聞が緑色の紙面になっていました。
まさにみどり一色。万緑の季節ですね。

そんな中、小さなみどりを見てきました。ミニ盆栽展です。
以前にも小さな世界として紹介したことがありますが、知人がミニ盆栽にのめり込み、すでに80鉢も増えたそうです。
挿し芽の技術もすっかり習得され、盆栽台まで手作りするという入れ込みよう。いい先生に出会い、めきめきと腕を上げられました。毎日水やりを欠かさず大切に育てておられます。
私にもお裾分けして下さった小さな鉢のさつきもしっかり根付いて生き生きとしてきました。

小さな世界で壮大な自然の営みを表現する。俳句とどこか通じるものがありそうです。

      万緑やミニ盆栽も緑なり   麗
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春灯や戦火逃れし蓄音機   亜子

2016年05月04日 | Weblog
春の灯は、ちょっと潤んでいます。
全体が淡い空気のなかに存在するようです。
そこに空襲をまぬがれた古い蓄音機が・・・

作者のお父様は、音楽がお好きだったとのこと。
本格的な空襲が始まる前に、家財道具を疎開させました。
その後、B29の空襲で家は焼けてしまいました。
疎開させてあった蓄音機は無事でした。

戦後、この蓄音機で、お父様は好きなベートーベンを
お聴きになっていたそうです。
この春灯は、空襲のなくなった静かな夜の文字通り明るい灯ですね。

戦争中、「新世界」はアメリカの音楽ということで、
戸を閉めた切った部屋で秘かに聴きました、と静荷さん。

          

戦争を身近なものにしようという安倍さん。
まあ、その気持ちは分からなくはないですが、
しかし、平和が一番大切ですね。
平和を基礎においた政治こそ国民が求めているもの。

                遅足


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七輪の青火に光る穴子かな   立雄

2016年05月03日 | Weblog
チリチリと耳に美味しい音がしてます、と智恵さん。
青火にやられました。穴子もおいしそう、と麗子さん。

作者の子供時代の思い出だそうです。
瀬戸内海の夏の味、穴子。

  竿先の鈴闇に鳴る穴子釣   松本幹雄

昼間は岩の間に潜み、夜、餌を求めて出て来るそうです。
七輪の火が青く燃え、穴子が光っている、
と、詠んだところが素晴らしい句です。

          

我が家でも、七輪で秋刀魚焼いた記憶があります。
三種の神器の普及とともに姿を消したようですね。

                   遅足

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「困った時の風頼み」等

2016年05月01日 | Weblog
遅速さんから”この欄に投稿してほしい”と言われ、皆さんの俳句力向上に少しでもお役に立てば・・・と、お受けしました。
私の俳句歴は定年退職後からで、もう14~5年になりますが、トンネルを一つ抜ければまたトンネルと、どこまで行っても闇の中で、手探りをしながらもがき続けているのが現状です。

さて、今から5年前の平成23年7月、長野県小諸市で開かれた「こもろ日盛り俳句祭」に、私の大学時代からの親友、湯口昌彦氏に誘われて参加しました。湯口氏はこれからもたびたび登場させますが、今売り出しの井上弘美さんの主催する「汀」の初代編集長で、私を”悪の道・俳句”に引っ張り込んだヤツで、私に俳句の手ほどきをしてくれた先生です。

「俳句祭」では、著名な先生の講演やシンポジウムのほか、句会や吟行、はたまた列車貸切の俳句会などもありました。私は山のお寺の吟行に参加し、崖に蛇の抜け殻の皮がぶら下がっていたので、
  「くちなわの皮は懸崖仏座す」
と詠みました。

この句について湯口氏は”1句の中に句材が「くちなわ」「懸崖」「仏」と3つもあり煩わしい。井上先生は材料は2つと厳しく言われている”と言い
  「くちなわの皮は懸崖そよぎをり」と添削し、さらに
  「くちなわの皮懸崖の風とあり」と添削してくれました。

湯口氏曰く、”風は無色透明で、どんな句にの状況にも寄り添ってくれる。句材を減らして後が困った時などは風に頼め”と教えてくれました。
皆さんも一度試してみてください。(等)


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