日本男道記

ある日本男子の生き様

味噌蔵

2009年01月18日 | 私の好きな落語
【まくら】
吝嗇屋吝兵衛(しわいやけちべえ)という味噌問屋の主人は、ケチで有名。周囲から結婚するように勧められるが、女房なんて金を使うばかりだからと断るばかり。ところが女房をもらわなければ付き合いはこれきりと言われ、しぶしぶもらうことに。ある冬の寒い日寒いからと添い寝をしたことから子供が出来て大騒ぎ。金がかからないようにと里に返してお産をさせると、無事出産したという知らせが届いたので、小僧の定吉を連れて出かけることにした。ところが心配なのは火事のこと。もし蔵に火が点いた時には、商売物の味噌を蔵に塗りこめば、火事が済んだあとには、それをおかずにすることができるといった伝言を番頭に残して出かけてしまった。旦那が出かけたと聞いた店の者は大喜びで、食べ物や酒をあつらえて宴会をしたいと番頭に申し出る。そこで旦那の留守をいいことに、店の者は頼みたいものを頼み、酒盛りをはじめたが、そこへ旦那が帰ってきてしまった…。

【あらすじ】
人は2種類に分けられます。浪費家とケチと。
浪費家は、おおむね人間が間抜けにできているものですが、だからと言ってケチな人がしっかりしているかというと、そういうわけでもないようでして、そそっかしいケチな人もおられます。
道端に下駄の片っ方が落ちているのを見つけて、焚き付けぐらいにはなるだろうと、家にもって帰ろうと思ったのですが、さすがに片方の下駄をぶら下げて家まで帰るのは、ちょっとみっともありません。何かいい方法はないかと考えた末、足で蹴飛ばしながら家の前まで持ってまいりました。もう一蹴りで家の中というところで、足元が狂って、窓ガラスをガチャン。ご愁傷様としか言いようがありません。
さて、味噌屋の主人がおりまして、この人がまたケチな方でした。こういう店で働く奉公人というのは、苦労が絶えないのですが、そんなある日、主人が用事で遠方に出かけることになりました。出先で一泊してくるから、と主人が言うと、小僧さん達は、もう大喜び。鬼のいぬまのなんとやらで、普段絶対に食べられない寿司を頼んだり、刺身を頼んだり、それから豆腐の田楽焼きというのも、なかなか美味なものです。これは豆腐をくしに刺して、味噌をつけて焼いたものなのですが、酒の肴にはもってこいです。
と言うわけで、食べるわ、飲むわ、歌うわの大騒ぎ。
ところが。
出先の用が早く済んでしまった主人が、夜遅く帰って来たものだから、さぁ大変。店のものは大慌てでバタバタと料理やら徳利やらを片付けます。
何をそんなに騒いでいるのかと尋ねる主人に、店のものが、たった今火事を出しそうになりまして、火を消していたんですなんて、嘘八百を並び立て、ごまかそうとしていると、田楽の味噌の焼けた匂いがぷんとします。主人が不思議そうな顔をするのを見て、
「いけない、火元は味噌蔵だ」

出典:古典落語ネタ帳

【オチ・サゲ】
間抜落ち(会話の調子で間抜けなことを言って終わるもの。また奇想天外
な結果となるもの)

【噺の中の川柳・譬(たとえ)】
【小(叱)言は言うべし、酒は買うべし】(部下や家臣・子分などに意見をするとき、言いっぱなしではなく、小言を聞かせるかわり、何かをふるまったりプレゼントしてやると良い(より小言が身にしみる)、ということ。欠点を指摘するばかりでなく、一方で長所も褒めろ、ということ。または、小言というのはそのようにして言うべきものだということ)

【語句豆辞典】
【目塗り】蔵の隙間から火が入るのを防ぐため、いざというときに、やわらかい年度を塗って隙間を埋めること。
【味噌田楽】長方形の豆腐に竹の串を二本刺し、味噌を塗って焼いたもので、串の形が田楽の曲芸師に似ていることからその名がついた。

【この噺を得意とした落語家】
・八代目 三笑亭可楽
・三代目 桂三木助

 




Daily Vocabulary(2009/01/18)

2009年01月18日 | Daily Vocabulary
6936.learning curve(学習曲線、勉強になること)
He is a good listener and has a sharp learning curve.
6937.How come(どうして、なぜ)
How come I'm always the unlucky one?
6938.How's that(今何と言いました?/今何て言った?)
How's that?I couldn't catch what you just said.
6939.vitally(生命にかかわるほどに、極めて重大で)
It is vitally important that we recycle garbage.
6940.thread(筋道、脈絡)
Japanese need more time to grasp the thread of the discussion and develop a response.
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