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【漢文】
季康子問政於孔子、曰、如殺無道以就有道、何如、孔子對曰、子爲政、焉用殺、子欲善而民善矣、君子之徳風也、小人之徳草也、草上之風必偃。
【書き下し文】
季康子(きこうし)、政(まつりごと)を孔子に問いて曰わく、如(も)し無道(むどう)を殺して以(もっ)て有道(ゆうどう)に就(つ)かば、何如(いかん)。孔子対(こた)て曰わく、子、政を為すに、焉(な)んぞ殺(さつ)を用いん。子、善を欲すれば、民善ならん。君子の徳は風なり、小人の徳は草なり。草、これに風を上(くわ)うれば、必らず偃(ふ)す。
【通釈】
季康子(きこうし)が孔子に政治について尋ねて言いました、
「人々を正道につかせるために、無道の者達を殺してはいかがでしょうか?」
孔子は、
「どうして政治を行うのに人々を殺す必要があるのです。あなたが善を追い求めれば人々は善くなります。人々の手本たるべき君子の性質は風です、他の人々の性質は草です。草の上を風が吹けばおのずから頭を垂れるものです。」
と答えられました。
【English】
Ji Kang Zi asked Confucius about politics, "How about killing the criminals to make the people obey the right path?" Confucius replied, "Why do you need to kill the people to govern them? If you aspire goodness, they have it. A nature of gentlemen is a wind. A nature of others is grass. Grass must bow when the wind blows."
『論語』とは
読んで字の如く「論じ語る」、孔子と弟子達や要人達との間に交された対話録。
『論語』は私たちの生き方の原点を見つめた思索の宝庫であり、人間性を磨く叡智が凝縮した永遠の古典。
読めば読むほど胸に深く沁み込む簡潔な言葉の数々。
『孟子』『大学』『中庸』と併せて儒教における「四書」の一つに数えられる。
全20編(学而第一~堯曰第二十) 構成され、編の名称は各編の最初の二文字を採ったものであり内容上の意味はない。
したがって、学而第一から順に読む必要はなくどこから読んでもかまわない。