日本男道記

ある日本男子の生き様

徒然草 第五十二段

2020年06月16日 | 徒然草を読む


【原文】  
仁和寺にある法師、年寄よるまで石清水を拝ざりければ、心うく覚えて、ある時思ひ立ちて、たゞひとり、徒歩より詣けり。極楽寺・高良などを拝みて、かばかりと心得て帰りにけり。

さて、かたへの人にあひて、「年比思ひつること、果し侍りぬ。聞きしにも過ぎて尊くこそおはしけれ。そも、参りたる人ごとに山へ登りしは、何事かありけん、ゆかしかりしかど、神へ参るこそ本意なれと思ひて、山までは見ず」とぞ言ひける。

少しのことにも、先達はあらまほしき事なり。 

【現代語訳】
仁和寺に暮らしていたある坊さんは、老体になるまで石清水八幡宮を拝んだことがなかったので、気が引けていた。ある日、思い立って、一人で歩いて参拝することにした。八幡宮の付属品である、極楽寺と高良神社だけ拝んで「これで思いは遂げました」と思いこみ「八幡宮はこれだけか」と、山頂の本殿を拝まずに退散した。

帰ってから、友達に「前から思っていた事を、ついにやり遂げました。これまた、噂以上にハラショーなものでした。しかし、お参りしている方々が、みんな登山をなさっていたから、山の上でイベントでもあったのでしょうか? 行ってみたかったのですが、今回は参拝が目的だったので、余計な事はやめておこうと、山頂は見てこなかったのです」と語った。

どんな些細なことでも、案内がほしいという教訓である。

◆鎌倉末期の随筆。吉田兼好著。上下2巻,244段からなる。1317年(文保1)から1331年(元弘1)の間に成立したか。その間,幾つかのまとまった段が少しずつ執筆され,それが編集されて現在見るような形態になったと考えられる。それらを通じて一貫した筋はなく,連歌的ともいうべき配列方法がとられている。形式は《枕草子》を模倣しているが,内容は,作者の見聞談,感想,実用知識,有職の心得など多彩であり,仏教の厭世思想を根底にもち,人生論的色彩を濃くしている。

Daily Vocabulary(2020/06/16)

2020年06月16日 | Daily Vocabulary
25501.e.g for example
Pulses,e.g, lentils and soybeans, are excellent for your body.
25502.book report (読書感想)
I went there to pick a book for a book report.
25503.homestretch (最後の直線コース、ホームストレッチ、(仕事の)最終部分、追い込み)the last part of a race where there is a straight line to the finish 
We're in the homestretch now.
25504.have mixed feelings(複雑な心境)
I have mixed feelings about job change; anticipation and anxiety.
25505.feel guilty about (罪悪感を感じる)
I  feel terribly guilty about forgetting our anniversary. 

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