【内容(「BOOK」データベースより)】
京都の西加茂にある神光院の共同墓地に小さな墓石がある。
富岡鉄斎の筆で「太田垣蓮月墓」と認められている。
蓮月42歳のとき天涯孤独の身になり、手造りの陶器に自詠の和歌を書いて自活の道を求めた。
技芸を磨きながら、明治8年、蓮月は85歳で没した。凛として生きたひとりの女の生涯。
◆著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)◆
寺井/美奈子
1937年東京に生まれる。日本女子大学英文科卒業。思想の科学研究会所属。
【読んだ理由】
他の本で蓮月さんを知り、その清廉な生き方に興味を持ったから。
【最も印象に残った一行】
違う生き方をしている人々を、初めから自分とは違う世界の人と決めつけてしまえば、親しくなることは出来ず、相手も同じことであろう。そうすれば相手から何一つ学べないことになると経験を通じてと得心していた。それゆえ、たとえ異国の人でも恐れず親しみをもって近づき、こちらが心を開いて、相手の話をよく聞き、またこちらもきちんとして話していけば、敵になるわけはない。それよりも最初から警戒して敵視してしまえば、相手も同じようになるに違いないと考えていた。
【コメント】
肉親の愛を知らず育ち、五人の子どもを亡くし、夫とも二回死別これだけでも、壮絶な人生だ。