【内容(「BOOK」データベースより)】
2016年7月26日未明、神奈川県緑区の県立知的障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が刃物で刺され死亡、職員2人を含む26人が重軽傷を負った「やまゆり園事件」。犯人は植松聖、当時26歳の元職員だった。死刑判決が確定した。「障害者は人の幸せを奪い、不幸を作り出し、生きるに値しない」など障害者差別を発言を繰り返した植松は、人々に意識に巣くう差別と偏見,優性思想など社会に潜む課題をあぶり出した。地元紙記者が、37回の接見ほか丹念な取材を続け、差別を許容する現代日本のゆがみを浮き彫りにした渾身のドキュメント。
【著者】
神奈川新聞取材班
【読んだ理由】
新聞の書評を読んで、事件の詳細・背景を知りたいと思ったから
【最も印象に残った一行】
娘の星子は目が見えず、会話することもできない。一緒時いても意思をくみ取るのは難しい。食事にも排泄にも介助が必要だ。それでも音楽を流せばじっと聞き入り、お気に入りの場所に連れて行けば表情をふっと緩ませる。
最首はそんな娘を「鉢植えの花」に例える。
「全くの無防備で、弱者そのもの。水が一滴でも失われたら枯れてしまう。その悠然とした身にゆだね方に、いかに自分が欲だらけなのかを思い知る」
きれいごとや強がりを言うつもりはない。この子がいたからこそ、ちょいう思いと、この子さえいなければ、という思いは表裏一帯で自分の中にある。
【コメント】
本書の主題とは少し離れるが、なぜマスコミは犠牲者実名報道にこだわるのか?その答えが犠牲者の「生きた証し」を社会で分かち合いたいと考えているとのこと。誰がそんなことを望んでいるのか、マスコミ業におられるあなた方だけではないか。