こんなシステムは普通なのかどうか知らないが、読みたい本の予約を図書館にメールで入れておくと、準備出来次第カウンターで受け取れるとメールが入る。
便利でありがたい。
引越して狭くなった庵のような一室暮らしには小さな本箱しかないので、残して持ってきた自分の蔵書は本当にわずかしかないし、
新しく本を買って置いておくスペースもないが、歩いて行ける範囲に図書館がある生活は前より読む対象の本のジャンルが広がった。
借りても結局最後まで読む事が出来ない本も多いが、それはそれで返せば済む話だ。
今回村上春樹の「風の歌を聴け」を家に帰えり着くやいなや読みだして2時間ほどで読み終わった。
感想はこれが処女作ならこの作家は仕込んだ材料を長期に渡って醸しに醸し、じっくり醸造して自信をもって送り出したプロ志望の人だなと。
そして作品も時代の産物であるなと。彼は小説そのものが好きで好きでたまらないのだと思った。
一言でいえば彼は今様講談師だと自分は思う。「講談師見てきたような嘘をつき」という言葉があるが金をとって人を嘘で楽しませるのは
並の才能では出来ることではない。読み終わって芭蕉の「おもしろうてやがて悲しき鵜舟哉」の句が何となく浮かんだが・・。
村上春樹が高校卒業まで暮らしたほぼ同じ阪神間の空間を、高校一年の夏に転校してから社会人になるまで先行して過ごしたが、やはり彼のように
そこで生まれ育ち幼稚園時代からその世界に住んだ人と、工場の社宅暮らしから移って、高校から入った世界では、感じたものや身に着いたものが
違い過ぎて、この小説中の西宮や芦屋や神戸を思わせる舞台環境はかなり自分には遠いものだった(笑)。
もう一冊村上春樹が翻訳した「グレート・ギャッピー」も面白そうだ。この小説は村上の小説家の原点になった小説らしい。