春の山桜、初夏の青葉、そして昨日、紅葉の弘川寺を訪れた。
今年になって三度目である。
篠峯殿から西行記念館への廊下から眺める庭園は、木の種類によって紅葉の色が違いすっかり秋の装いに華やいでいる。
西行記念館前の落ち葉が、そのままなのがとてもいい感じだ。
白い小石を敷き詰めた上に散らばっている赤い色、裏返っている褐色の葉。
山門をくぐった所で庭掃除をしている人を見掛けたので、かなり手入れの行届いた境内だが、この記念館前の落ち葉は、訪れる人への気配りかと奥ゆかしさを感じた。
ふと見上げた木には、もう僅かしか葉が残っていない。
よく見ると、もう花芽が沢山ついている。
少しだけ膨らみも見える。
固い殻に包まれているが、寒い冬を越すのだろうかと気にかかる。
今年早くから来た台風で、桜の葉が落ちてその後花が咲いたという桜のニュースをテレビで見たのを思い出した。
でも、これからは気温が低くなる一方だから、このままじっと冬の寒さに耐えながら、春を待つに違いない。
けなげさのようなものを感じ、愛しい。