カフェテラス

テラスの片隅で一人心に呟くように

拾い集めた・うた

2004年11月15日 | ■ 短歌(越し方)
もう15年位前、娘がワープロで打ち、私が製本した世界で1冊しかない「あしたに」と題する歌集がある。その中から、南京黄櫨の短歌を集めてみた。

・燃えつきむ入陽の中に葉脈を南京黄櫨はもろにかざせり

・落日の朱より紅き万の葉を空に広げし南京黄櫨高し

・亡き夫とここに住まひて植えし木の大樹となりて空を掴める

・群がりて実を食む鳥の足細く落ち葉のあとの枝ゆらしおり

・移ろいし季節の中で白き実を落として黄櫨は明日にむかへり

・看取る日をいつかは歌に残さんと黄櫨の実白く三度巡りぬ

・たわわなる黄櫨の実やがて弾かれむ真澄の空にほつほつとして

・黄櫨の葉を散らして冬に入る時細き細き月梢にかかる

・待ち侘びる何ものもなく日の暮れて黄櫨の実白く庭埋めつくす
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南京黄櫨二世

2004年11月15日 | ☆ ふるさと・大和

南京黄櫨は、四季を通して色彩を楽しむことが出来る。
春の若葉、枝先までびっしりと、小さい葉が付くと、遠くからは木全体が薄緑のベールを被せたようだ。

夏は、濃い緑が、緑陰を作る。

深まりゆく秋の紅葉は、この木の一番華やかな時である。梢から紅葉し始め次第に木全体が真赤に燃える。

そして冬、落葉した木には、黒い殼を地面に落とすと、真っ白な実が鈴なりになる。
影絵のような木に白い実だけががいっぱいに付いた様は、南京黄櫨の冬の花と呼びたい。

一本の大きい南京黄櫨が、我が家の庭にあった数年前までは、この木の四季を楽しんでいた。

この家を建ててまもない頃、父から貰った数本の苗木の一本である。
50センチくらいの苗木だが、生育が早く大きく育つので家屋から離れた場所を選んで植えた。

後の苗木は、子供たちの行っている小学校に植えてもらった。
学校が山手に移転、新築間もない頃であったから苗木の持ち寄り協力の依頼が、各家庭にあったので、好都合だった。

今我が家の庭には、その、大きな南京黄櫨はない、
大きくなるにつれて伸びた根がカーポートのコンクリートにひび割れを起こし始めた。ひび割れを南京黄櫨が原因と見つけたのは、庭木の剪定をしに来ていた職人さんだった。

家族で何度も話し合い、結局切って貰うことになった。
四季折々を楽しませてくれた木。しかも、私にとっては、亡き父の木である。
木の命を奪う事への、呵責も、思い出の木を失くす虚しさにも悩んだ末での決断だった。

2年くらい後、古くなって何も植えていないプランターに、細いながらも芽葉をつけた南京黄櫨を見つけた。
縁側のすぐ前である。持ち上げてみるとプランターを破っていない。
小鳥が運んでくれたのだ。

狭いながらも、南京黄櫨二世は、背丈を1mくらいに伸ばし、プランターで、季節毎の彩どりを見せている。しかし、実はつけないまま、紅葉した葉で、秋を終えていく。
この赤い葉が、次の春のために、落葉する日も近いだろう。
コメント (7)
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