湯の山温泉は、紅葉の中にあった。
赤、オレンジ、黄、緑とさまざまな色が、冬に向かう前の、最後の華やぎをして迎えてくれているようだ。
温泉街を流れる三滝川は、川石が白くまろやかである。
花崗岩の小石が白い川の流れのようで、周りの紅葉が際立って見える。
温泉街の紅葉を後にして最高支柱高が、東洋一だという御在所ロープウエイで御在所岳に向かう。
あいにくの曇り空で下の視界は、はっきりしないのが残念だったが、前方に突っ立ったような岸壁に迫っていく様は、谷あいの深さを見つつ、スリルがあり絶景である。
ロープウエイ山頂駅に近づくに連れ、山の景観が、次第に冬に移り変わっていく。
さらにリフトに乗り換えて山頂に行く。右手にスキーリフトやスキー場が見える頃には、手袋をはめた手も凍えそうに冷たくなる。雪の積もった風景を思うとわくわくするが、今は芝生の薄緑である。
リフトを降り、山頂の、三角点までの寒いこと。風も強い。晴れていれば、広がるであろう視界が、海の果てまでぼんやりとしているのが、いかにも悔しい思いがする。しかし、予想していた雨は、下山するまで降らなかったことが、幸いであった。