孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

ロシア・ソチ冬季五輪  強まるテロの懸念

2013-10-07 23:14:47 | ロシア

(プーチン大統領の宣言後、スタジアムを出た聖火がいきなり消えてしまうアクシデント。なんとライターで火をつけなおしています。ギリシャ・オリンポスで採火したはずですが・・・・。こまかいことは気にしないロシア流でしょうか。【10月7日 Rocket News 24】)

【「開幕日は変更できない」】
2014年2月7日にロシアのソチで開催される「ソチ冬季五輪」。
6日には聖火がギリシャからモスクワに到着し、聖火リレーが始まっています。

****五輪=プーチン大統領、ロシアで聖火リレー開始を宣言****
来年のソチ冬季五輪の聖火が6日、ギリシャからロシアに到着。モスクワ中心部にある赤の広場でロシアのプーチン大統領が国内リレー開始を宣言した。

プーチン大統領は盛大に行われた式典で「われわれの共通の夢が実現する」と宣言。観衆に対し、「(聖火リレーで)われわれが愛する、ありのままのロシアを世界に示すことができる」と語った。

123日間、6万5000キロにわたって行われる今回のリレーで、聖火は北極や宇宙を経由したのち、ソチへと向かう予定。ソチ五輪は来年2月7日に開幕する。【10月7日 ロイター】
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ロシアの威信をかけたビッグプロジェクトであり、“聖火は北極や宇宙を経由”など、プーチン大統領の意気込みは並々ならぬものがあります。

そのソチ五輪については、工事の遅れ、費用の膨張がしばしば指摘されています。
聖火をライターでつけなおす、おおらかな“ロシア流”の結果でもあります。
今年2月には視察したプーチン大統領が激怒し、スキージャンプ台の大幅な工期遅れと腐敗を理由にロシア五輪委員会のビラロフ副会長が解任されています。

****工事に「失敗や遅れ」 プーチン大統領、現場にカツ****
ロシアのプーチン大統領は16日、来年2月に冬季五輪を開く同国南部ソチを視察し、五輪関係の会議を開いた。プーチン氏は施設などの建設で「失敗や工期遅れ」があると指摘した。

プーチン大統領は「今後はより頻繁に現地入りする」と述べるとともに、五輪準備の進捗状況を2週ごとに報告するよう五輪担当のコザク副首相に要請。事実上、現場に活を入れた。

大統領は「開幕日は変更できない。こうした(遅れなどの)問題を克服するため、かなりてきぱきと作業する必要がある」と訴えた。(後略)【9月17日 msn産経】
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“工期遅れ”は、ソチ五輪に限らずオリンピックやワールドカップなどのビッグイベントではしばしばある話で、おそらく何とか辻褄を合わせるのでしょう。

【「どんな手段を用いてもソチ冬季五輪開催を阻止する」】
それ以上に懸念されるのが、イスラム過激派などによるテロの不安です。
地理的に見ても、黒海に面しグルジア国境も近いソチは、テロが頻発しているチェチェン、ダゲスタンなどの北カフカス地方に隣接しています。

イスラム武装勢力にとってもソチ五輪は絶好の標的であり、「最大限の力」で五輪を阻止するとのソチ五輪開催阻止宣言も出されています。

****ソチ五輪開催阻止宣言 カフカスでイスラム武装勢力のテロ激化****
ロシア南部ソチで開催される冬季五輪が4カ月余に迫る中、ソチに隣接する北カフカス地域でイスラム武装勢力によるテロが相次いでいる。

武装勢力の有力司令官はソチ五輪を阻止すると宣言しており、五輪の安全な実施を最重要課題に挙げるプーチン政権は掃討作戦を進めている。

ダゲスタン共和国の首都マハチカラで9月25日、裁判官の親子が2人組の男に射殺された。ロシア国内でも治安が最悪レベルとされるダゲスタンでは今年上半期、テロや掃討作戦で153人が死亡。裁判官の殺人事件は今年に入り2件目となる。

同月16日には、治安が安定傾向にあったチェチェン共和国でも警察施設を狙った自爆テロが起きた。イングーシ共和国でもこの日、自爆テロを企てた男が逮捕された。

北カフカスに本拠を置くとみられる独立派武装勢力「カフカス首長国」のウマロフ司令官は7月、「ソチでは19世紀にロシア軍との戦闘で多くのイスラム教徒が死亡した」とし、ソチでの五輪開催を批判。「最大限の力」で五輪を阻止すると宣言し、仲間に民間人を巻き添えにするテロを行うよう呼びかけた。

ロシア連邦保安局(FSB)によると、ウマロフ司令官ら武装勢力の数百人がカフカスの山岳地域に潜伏し、政治家や地元官僚から支援を受けているという。

プーチン大統領は治安回復に向けて取り締まりの強化を厳命。特にダゲスタンではクレムリンの支援を受け、9月に共和国首長に就任したアブドゥラティポフ氏の下で汚職などの疑いがある警官や官僚らが次々に罷免されている。

一方、テロの激化はこうした取り締まり強化の裏返しでもあり、事態は悪化しているとの専門家の指摘もある。【9月30日 msn産経】
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テロの不安は、ソチ五輪決定当初からのものではありますが、ここにきてシリア情勢も絡んで、更に懸念は強まっています。
シリアの化学兵器使用問題では、必至とも見られていたアメリカなどによるアサド政権攻撃がロシアの仲介で急きょ回避されましたが、このことでアサド政権と戦うイスラム過激派はロシアへの反発を強めているとの指摘があります。

****アルカーイダに逆恨みされるロシア****
シリア情勢が「ソチ五輪」に飛び火する
国際政治の矛盾が凝縮しているシリア情勢。反政府勢力やイスラム過激派の中では、アサド政権延命を「手助け」する欧米など国際社会への憎悪が増している。

「今後、反政府勢力の不満は世界の安定を揺るがす脅威になる。真っ先にターゲットになるのはロシアだろう
湾岸カタールの国際政治学者はこう語った。これをテロリストの自分勝手な都合のいい論理と切り捨てるわけにはいかない。

「湾岸諸国では米国への失望以上にロシアへの憎悪が増している」
イスラム専門家の一人はこう語る。九月十日に米国のオバマ大統領が「米国は世界の警察ではない」という歴史的なスピーチを行った。この専門家が続ける。
「湾岸メディアの多くが、米国の腰抜けぶりを批判したが、ホワイトハウスの執務室にプーチンが座っている風刺画が、湾岸における空気を象徴している」

八月末に米情報機関が化学兵器の使用を報告し、九月中旬には国連の調査団もサリンの使用を断定した。にもかかわらずシリア攻撃をためらったのは米国の都合であり、オバマ政権の内向き志向によるものだということは議論の余地はない。しかし現地では、化学兵器の国際管理案を提案したロシアのプーチン大統領への怨嗟が渦巻いている。

舞い戻るチェチェン人義勇兵
こうした中で「シリアに義勇兵として参加していたチェチェン人などカフカス地方出身のイスラム教徒がロシア国内に戻る動きがある」(ロシア軍事専門家)。

九月に入り「レバントにおけるカフカスの聖戦士」と名乗るイスラム過激派がインターネット上に動画を投稿した。レバントとは「大シリア」を意味する。動画ではこの一団が、「イラク・レバント・イスラム国(ISIL)」という武装集団と決別して、「われわれの部隊は今後、独立して戦う」とロシア語で宣言している。
(中略)
防ぎようのないテロ
「どんな手段を用いてもソチ冬季五輪開催を阻止する」
北カフカス地方の独立派武装勢力「カフカス首長国」の指導者であるドク・ウマロフ司令官はネット上で宣言している。九月に入りダゲスタン共和国で警察庁舎を狙った自爆テロが起きるなど、来年二月のソチ五輪に向けてにわかに活動を活発化させている。

会場のソチとその周辺は厳重すぎるほどの警備・警戒態勢下にあるが、ロシア国内の他地域の危険性は日に日に増している。治安当局では、年末にかけてモスクワなどでテロが発生する危険性が高まっていると認識しているが、過去にも用いられたような女性の身体を使った自爆テロは「防ぎようがない」(ロシア専門家)。

「国の威信」を懸けて行われる五輪がテロのターゲットになることは自然の成り行きだ。昨年のロンドン五輪で市内ビルの屋上に対空ミサイルが配備されたことは記憶に新しい。
ロシアは確信的にアサド政権をバックアップしており、アルカーイダの標的にされるのは「因果応報」だ。米国の攻撃を回避したシリア情勢は思わぬ形で飛び火しようとしている。【選択 10月号】
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ロシア側が取締りを強化すれば、更にイスラム過激派側が反発を強め・・・ということで、何事もなく無事に・・・とはいかないでしょう。
プーチン大統領とイスラム過激派双方の意地がぶつかり合うソチ五輪、なんらかの出来事が起こるのは、まず間違いないように思えます。
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