(国連やアメリカが支援する団体によって進められている女子教育が今後どうなるのか?
“flickr”より By The Asia Foundation http://www.flickr.com/photos/46887593@N08/4418009030/in/photolist-7Jpsau-amm6qq-dUdArL-apLSkD-dnyCxJ-8ivjYX-dnxoGi-9zLo35-ajYZUf-8cxPkY-8cusUM-8cuu1M-8cxRaJ-8cuurH-8cxP3o-8cuuYK-dnxoAD-e5jAiH-8cussv-8cxRBY-8ivhMp-8iyxRW-8hdirh-8iyMqh-8iyyEE-8iyye7-7RSHhS-8iNwPe-9spKHp-8AK5ys-d3oF3w-8MMs3E-ajYZTA-7FVDLT-ccsSdU-8AGaQz-d347qA-d347n9-d347y5-d346YW-d347i9-d347u5-d347eU-ajWdpi-7FZAkA-9LxSBM-9VHn2v-bV6Aa4-bV6BTr-8oKnHt-9GFtru)
【「アフガニスタンもイラクの二の舞いになりかねない」】
アフガニスタンからの米軍などの外国部隊撤退は、いよいよ今年2014年末までに行われることになっています。
しかし、一部部隊を残留させて治安悪化を防止したいアメリカと、国民に不人気な米軍残留を任期中に自分の責任で認めたくないカルザイ大統領の間で、米兵の犯罪行為の裁判権などを含む安全保障協定署名を巡って対立が続いていることは昨年も取り上げてきたところです。
****アフガン:米特別代表、協定署名を改めて訴え****
アフガニスタンで来年以降の米軍駐留継続を可能にするための米・アフガン安全保障協定の署名をカルザイ大統領が引き延ばしている問題で、米政府のミラー次席特別代表(アフガニスタン・パキスタン担当)は16日、訪問先のインドで会見し「完全撤収の計画を立てねばならなくなる」と、改めて早期署名を訴えた。
ミラー氏は、ニューデリーで開かれたアフガニスタン・パキスタン支援のための「国際コンタクト・グループ」(53カ国、議長国ドイツ)に米代表として参加。「米軍が不在となれば、治安への不安が高まり、国際的な復興支援の継続にも直接影響する」と懸念を表明した。
アフガニスタンから参加したアフマディ副外相は、署名の条件として、アフガン大統領選挙(4月5日実施予定)への不介入などを米側へ求め「しかるべきときにカルザイ大統領が署名するだろう」と、カルザイ氏が在任中に署名することへの期待を表明した。【1月17日 毎日】
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アメリカ側は早期に署名がなされない場合は“完全撤収”せざるを得ないと圧力をかけています。
実際、イラクでは同様の問題でマリキ政権と交渉が決裂し、米軍は完全撤収を行いました。
ただ、そのイラクはシリア内戦に連動する形でスンニ派・シーア派の宗派間の対立が激化、特に、アルカーイダ系スンニ派の武装組織「イラク・レバント・イスラム国(ISIL)」がかつての宗派対立の激戦地でもあったファルージャなどを制圧するまでに勢力を拡大し、イラク情勢は混迷を深めています。
アメリカにおいては、今のイラクの混乱は米軍が完全撤退したことによるものであるとの批判が保守派からなされています。
****イラク撤兵の代償/ウォールストリート・ジャーナル(米国)****
米紙ウォールストリート・ジャーナルは6日付の社説で、シリア内戦やイラクの混乱が中東全体の不安定化につながる可能性に警鐘を鳴らした。
また現状の背景にはオバマ政権が2011年末にイラクから米軍を完全撤退させたことがあるとし、中東全体で「イラク撤兵の代償と結果が明らかになっている」とオバマ外交を批判した。
社説は中東情勢について、シリア内戦の影響が周辺国に広がっていると分析。オバマ大統領が昨年9月に一度は打ち出したシリアのアサド政権への軍事行動を思いとどまったことに触れ、「米国はシリアやイラクを忘れようとしているが、シリアやイラクは米国を忘れていない」とし、米軍の関与が求められていると指摘した。
またシリアの反体制派が、アサド政権を支援するレバノンを拠点とするイスラム教シーア派組織ヒズボラへの報復テロを行っていることに注目。ヒズボラがミサイル攻撃能力を拡大させていることや、イスラエルが核兵器開発が疑われるイランを攻撃する可能性にも言及し、これらの状況が「新たな戦争に発展しかねない」と論じた。
さらに社説は、ISILを念頭にアルカーイダ系の武装組織が、シーア派が主導するイラクのマリキ政権がスンニ派住民からの支持を得ていない事情を背景に、同国で勢力を伸ばしていることに憂慮を示した。
一方、社説はオバマ政権がイラクへの軍事支援に取り組んでいることを踏まえ、「米国が武装勢力を打ち破ることは明確に米国の国益にかなう」と主張した。
ただしオバマ氏が11年末にイラクから米軍を完全撤退させたことについては、翌年の大統領選で「戦争の潮流は弱まっている」とアピールするためだけの判断だったと批判。
「米国の安全保障にとっては5千~1万人を残した方がはるかに良い結果を得られた」とし、オバマ氏らは「紛争は善意と戦略的な撤兵で回避できると米国民に信じさせようとしている」と揶揄(やゆ)、関与の重要性を強調した。【1月14日 産経】
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ISILの攻勢については、当のマリキ首相は自らのISILへの強硬姿勢をシーア派が多数を占める国民にアピールして、来るべき総選挙を有利に運びたいという思惑があるとも指摘されていますが、宗派間対立の激化、イラクの混乱はアメリカにとっては「何のために多くの米軍兵士が血を流したのか?」という問いにもなります。
マケイン上院議員(共和党)らからは「(イラクの混乱、ISIL台頭は)米軍の完全撤退が原因であり、アフガニスタンもイラクの二の舞いになりかねない」との声が上がっています。
また、最近話題になっているゲーツ元国防長官の回顧録においても、オバマ大統領のアフガニスタンへのやる気のなさについて“オバマ氏は増派に対するひどい判断をしていたにもかかわらず大統領になった。だが、戦争を主に国内政治として扱う習慣は執務室にまで持ち込まれ、彼自身の政策を台無しにした。アフガニスタンの場合が特にそうだ。大統領は「自分の戦略を信じていないし、この戦争を他人事のようにとらえている。彼にとって、(戦争から)抜け出すことがすべて」だった。”と手厳しく批判しています。
****米のいらだち、イラクの二の舞い懸念 中東への関与低下****
オバマ米政権は、国際テロ組織アルカーイダ系武装勢力「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)がイラク、シリア、レバノンで勢力を拡大していることに、脅威の認識を強めている。
イラク情勢の深刻化は、米国の中東への関与と影響力の相対的な低下に対する批判を、米国内に呼び覚ましており、今年末までに予定されているアフガニスタンからの米軍戦闘部隊撤退に微妙な影響を与える可能性もある。
ISILがイラク中部ファルージャを制圧した事態などを受け、米政府は6日、空対地ミサイル「ヘルファイア」100基、無人偵察機「スキャンイーグル」10機、「レイブン」48機をイラク政府に供与すると発表した。バイデン副大統領も、イラクのマリキ首相に電話で支援を伝えた。
オバマ政権は「米地上部隊の派遣は検討していない。これはイラクの戦いだ」(ケリー国務長官)という認識でいる。
イラクからの米軍撤退が完了し約2年。政府高官は「撤退は不可逆であり、小規模の部隊を投入しても事態を改善できない」としている。
そもそもイラクとアフガニスタンという、ブッシュ前政権からの「負の遺産」を引き継いだオバマ政権は、両国から“足抜け”する動きと相まって、中東への関与を低下させてきた。
「アラブの春」では、影響力の限界と一貫した中東政策の欠如を強く印象づけた。具体的には(1)反体制勢力に対し、リビアでは早期軍事支援に踏み切り、シリアでは支援をぎりぎりまで避けた(2)エジプトではムバラク大統領(当時)の失墜を食い止める策がなかった(3)民主化要求デモが起きたバーレーンに改革を要求したが、サウジアラビアの反対で阻止された-などだ。
リビアへの空爆をめぐり、主導的役割を担うかどうかで揺れ動いたことは、記憶に新しい。「内向き」の米国は軍事介入を避けつつ、エジプトの暫定政権などに対するように、武器や資金の供与を凍結したり、逆に支援を強めたりすることにより、中東情勢を“操作”しようとしている。
米国という“重し”が軽くなったことは、多国間外交を動かす一方、中東のタガを外した側面がある。こうした延長線上に、イラク情勢の深刻化もあろう。
ジョン・マケイン上院議員(共和党)らからは「米軍の完全撤退が原因であり、アフガニスタンもイラクの二の舞いになりかねない」との声が上がる。関与の低下はオバマ政権に、ジレンマをもたらしている。【1月8日 産経】
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イラクへの再派遣などは、一般世論の厭戦気分を考えても論外ですが、現地での混乱拡大は“無策”との批判を強めます。
そうしたことからも、アフガニスタンについては今後の治安を一定に担保する形で一部を残留させたいところでしょうが、アメリカとの不仲が言われているカルザイ大統領がこれに応じないということで、オバマ大統領も苦しいところです。
【硬軟両方のタリバンの姿勢】
アフガニスタンの今後は米軍の存在以上に、タリバンの意向に大きく左右されます。
タリバンが今後について、どういう戦略を描いているのかは知りませんが、最近の動きには柔軟姿勢と強硬姿勢両方が混在しています。オマル師の生存も定かではない状況で、組織的に統一された戦略があるのかも疑問です。
17日夜、外国人が多く集まるレストランが襲撃され外国人13人を含む21人の死者が出たと報じられています。不特定多数の外国人を狙ったテロ行為に対し衝撃が広がっています。
****首都中心部で自爆テロ=IMF駐在代表ら16人死亡―アフガン****
アフガニスタンの首都カブール中心部で17日、反政府勢力タリバンによる自爆テロがあり、国際通貨基金(IMF)アフガン駐在代表や国連職員ら16人以上が死亡した。うち13人は外国人だったが、在カブール日本大使館によると、在留邦人全員の無事が確認された。犠牲者は最終的に30人程度に上るとの情報もある。
警察によると、17日午後7時(日本時間同11時半)ごろ、武装した3人がワジル・アクバル・カーン地区にあるレバノン料理レストランを襲撃した。1人が入り口付近で自爆。残る2人は店内に侵入しようとしたが射殺された。
IMFは、この自爆テロでレストランにいたワベル・アブダラ・アフガン駐在代表(60)が死亡したと明らかにした。アブダラ氏はレバノン人で、2008年6月から代表を務めていた。国連は、国連職員4人がテロに巻き込まれ犠牲になったと発表した。【1月18日 時事】
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一方で、批判の強い女子教育に関するイメージ改善を狙うような対応もあるようです。
*****アフガン・タリバン、女児の就学を復活―イメージ改善狙う****
1990年代にイスラム原理主義勢力タリバンが女児の就学を禁止した際、ムラー・ワキル・アハマド・ムタワキル氏は タリバン政権の外相だった。
現在、ムタワキル氏の娘はカブールにある同氏が設立した学校である「アフガン学校」に通っている。「娘は2年生で、クラスでも優秀な成績だ」と同氏は誇らしげに言い、彼女の宿題を手伝うこともしばしばあると語った。
彼女はムタワキル氏が元タリバン幹部たちと協力して3年前に設立した学校に通う少女たち約250人の1人だ。
これら元幹部は近年、従来よりも柔軟な立場をとっている。設立者にはムタワキル氏のほか、タリバン政権の元パキスタン駐在大使だったムラー・アブドル・サラム・ザイーフ氏も含まれる。
タリバン政府が2001年に追放された後、2人は米国によって拘置所に数年間入れられた。両氏はアフガニスタンの首都カブールにアフガン現政府の監視下で生活している。
2人ともムラー・オマル師の率いるタリバン指導部を否定したことはない。
タリバン指導部は、米国主導の多国籍軍が今年12月に撤退したあと再び権力を掌握しようとしており、過去2、3年間、公のイメージを柔軟にしようと努めてきた。
タリバンは公式声明で、少女たちがイスラム主義環境の中で教えられている限り、女性教育を支持すると述べている。
ムタワキル氏と、その仲間の元タリバン幹部によって設立されたこの学校も、こうした教育方針を堅持していると強調している。
それは、反政府勢力の支配下になった場合、その支配下地域の教育がどのようなものになる可能性があるかを垣間見せている。
ムタワキル氏の説明によると、同氏らの設立した「アフガン学校」の背景にある理念は、「近代的な学校とマドラサ(学院)の間の溝を埋める」ことだという。
マドラサは伝統的なイスラム学校で、宗教科目を集中的に学生たちに教え込む教育機関だ。
アフガン学校は小学校から高等学校まで運営しており、男子と女子は厳密に区別される。彼らは別個の建物に通い、そこでは教師たちも男女別に峻別される。
それでも、少女を含む女子学生は制服の一部として桃色のベールを着用している。
男女とも、宗教科目はカリキュラムの大きな部分を占めている。最近、学校を訪れた際、1年生はコーランの言葉であるアラビア語のアルファベットの暗唱に専念していた。
しかし、彼らは英語も学習しており、コンピュータークラスにも定期的に通っている。
授業はアフガニスタンの2つの国語の1つであるパシュート語でおおむね行われている。これは南部と東部で話されている言葉だ。タリバン運動が最も活発な地域だ。
政府が設定するカリキュラムに加えて、学校では職業訓練コースも提供している。少女には調理と裁縫を教え、少年には電気工の訓練を施している。
男子と女子が共有する唯一の部屋が化学の実験室だ。彼らは別々の入口から別々の時間に入ってくる。
注目されるのは、これがアフガン政府とタリバンがともに承認するモデルであるということだ。
アフガン教育省は現在、このアフガン学校をカブールで最良の学校にランク付けしている。
同省のカビル・ハクマル報道官は「イスラム規則とアフガンの文化規則によれば、それは良い制度だ」と述べ、「それは一般の家庭が娘たちを学校に通わせるよう促すシステムだ」と述べた。
この極めて保守的な社会では、多くの親は娘を学校で勉強させたがらない。2001年以降、学校に通う女児は着実に向上しているが、依然として立ち後れている。
2012年の政府統計では、小学校に通う女子は約66%にとどまっており、男子の92%に大きくリードされている。これが、女子が思春期に入り慣習としては結婚年齢になる中等学校だと、26%に低下する。
それでも、1999年のタリバン支配のピーク時だったころと比べると大きな改善だ。
米国国際開発庁の推測によると、タリバン支配下では小学校就学年齢の女児で何らかの教育を受けているのはわずか6.4%だった。【ウォール・ストリート・ジャーナル 1月17日】
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タリバン内部でこのような“柔軟”な方向がどこまで是認されているのかわからないため、判断に困るところです。
10日ほど前には、こんな事件も。
****10歳少女を自爆テロ未遂で拘束 アフガニスタン****
アフガニスタン南部ヘルマンド州で自爆テロ未遂事件があり、10歳の少女が拘束された。当局によると、少女は調べに対し、警察署に対して自爆テロを試みるよう強要されたと話しているという。
内務省によると、少女の兄はイスラム武装勢力タリバーンの司令官で、この兄と友人が少女に自爆テロを試みるよう強要。警察署近くの川に連れて行って爆弾を仕込んだベストや着替えを渡し、川を渡ったら朝まで待って警官がパトロールの準備をしているところを狙うよう指示したとされる。
しかし川を渡ろうとした少女が水の冷たさに悲鳴を上げたため、これを聞きつけた警官が駆けつけて少女を保護した。兄は爆弾ベストを持って逃走したという。
少女が報道陣に語った内容には多少の食い違いがあり、事件についての情報は錯綜(さくそう)しているが、幼い少女が拘束されたという事実は大きな衝撃を与えた。
カルザイ大統領は声明で「国家の未来を担う子どもたちは保護され、教育を受けさせるべき存在だ」「自爆テロの道具として使われることがあってはならない」と強調している。
少女は現在、政府の保護下にあり、普通の子どもとして生活させるよう約束させたうえで保護者の元に返す予定だという。
アフガニスタンではこれまでにも自爆テロ犯にされそうになった子どもが多数拘束されている。警察は昨年、6~11歳の子ども41人の未遂事件を食い止めた。【1月8日 CNN】
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