孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

南スーダン  交渉が始まるも、戦闘は未だ収束せず  関係国のスーダン・中国も混乱回避への動き

2014-01-07 22:19:52 | アフリカ

(2011年7月9日 南スーダンの分離独立を祝う首都ジュバの人々 “flickr”より By European External Action  http://www.flickr.com/photos/68987276@N05/7196218906/in/photolist-bXUvaL-9byxrf-a2hwfR-a2hwMa-a2hwAP-a2kqcA-9byxAs-a34QqV-a2PRvt-a2PRuv-a2SHbQ-a2PRsH-a2SH9S-a2SHb9-astAAo-astBFA-astzgm-astB8d-asqUvD-9byy1d-9byy41-9bvraD-9bywDQ-9byxpb-9bvqXt-9bvqkX-9p3Q2d-a2J53y-9byxeh-9bvqhz-9byxyQ-a1qikP-9bywH5-9byxc1-9bywFL-9byx61-9bywL9-9bvrg6-9byxPq-9bvqQR-99shuz-99shnX-99vpps-99shkn-99shb6-99vpao-99vp7E-99shsk-99vphf-99shxn-9bvqwt

戦況が少しでも有利な状況で交渉を進めたい意図
独立も間もない南スーダンでの部族対立的な様相も見せるマシャール前副大統領派と政権側の抗争については、12月22日ブログ「南スーダンで広がる部族対立による殺戮 ルワンダではジェノサイドを教育で克服」(http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20131222)でも取り上げたところです。

南スーダンの情勢は、国連PKOに陸上自衛隊を派遣している日本としても無関係ではありません。

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◇南スーダンを巡る主な動き
12月15日 マシャール前副大統領の支持派とみられる反乱軍が首都ジュバの政府軍施設を襲撃
  19日 アコボで国連平和維持活動(PKO)部隊の施設が反乱軍の支持派に襲撃されインド兵2人が死亡。反乱軍が中部の要衝ボルを制圧
  21日 東部ジョングレイ州で州都ボルに向かっていた米軍機が狙撃される
  24日 政府軍がボルを奪還。国連安保理が南スーダン派遣団をほぼ倍増させる決議を採択
  31日 反乱軍が再びボルを制圧
1月1日 キール大統領が、反乱軍が大部分を掌握した2州に非常事態宣言 【1月3日 毎日】
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東アフリカの周辺国は12月27日、ケニアの首都ナイロビで首脳会談を行い、南スーダン政府が即時停戦に合意したと発表、31日には政府と反乱軍双方が停戦に合意したとも報じられています。

“周辺国は、南スーダンの内戦突入が地域全体の治安悪化につながることなどを懸念している。地域の大国であるケニアのケニヤッタ大統領、エチオピアのハイレマリアム首相は26日、南スーダンの首都ジュバに入り、キール大統領と会談した。”【12月28日 毎日】

国連もPKOの国連南スーダン派遣団(UNMISS)の増派を決定していますが、南スーダン側のイスラム教国を敬遠する姿勢から順調ではないようです。

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・・・一方、UNMISSの軍事要員増派を巡り、国連安全保障理事会は30日に報道向け声明を発表し、南スーダン政府に「要員の国籍に関係なく、無条件で」増派を受け入れるよう要請した。

国連外交筋によると、キリスト教徒の多い同国は、イスラム教国のパキスタンやバングラデシュからの申し出に応じていないことが背景にある。

安保理決議でUNMISS軍事要員の最大5500人(5歩兵大隊)の増強を決定。ラドゥス国連PKO局長は30日、記者団に「南スーダン政府の完全な協力を期待する。自分の家が火事のとき、消防士の国籍なんか気にしないだろう」と不満を漏らした。

南スーダンは2011年、イスラム教徒が多いスーダンから分離独立した。これまでパキスタンやバングラデシュなどがそれぞれ、本国から1歩兵大隊を派遣することを申し出たが、受け入れに応じていない。【1月1日 毎日】
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戦闘は未だ収束には向かっていませんが、同時並行的に停戦に向けた交渉が開始されています。

****南スーダン:反乱軍と本格交渉開始 米が停戦へ働きかけ****
AP通信によると、アフリカ東部・南スーダンで戦闘を続ける政府軍と反乱軍の代表団は、隣国エチオピアの首都アディスアベバで5日、直接の本格交渉を開始した。

これに先立ち、米国のケリー国務長官は同日、「権力を確保するため武力を用いる勢力に国際的圧力を与える」とも述べ、早期停戦に向けた南スーダン諸勢力への働きかけを継続する意向を示した。訪問先のイスラエルでの発言を、ロイター通信などが報じた。

交渉は、停戦と政治囚の釈放が当面の焦点だが、今後の展開は南スーダンでの戦況に大きく影響される可能性もあり、予断を許さない情勢だ。

首都ジュバでは4日、大統領官邸などがある中心部で、激しい銃撃戦が発生した。誰が戦闘に関与したかは明らかでない。
現地からの報道を総合すると、反乱軍が制圧する東部ジョングレイ州の州都ボル近郊で激戦が続いており、戦車や大砲が使用されているとの情報もある。

ボルは日本の自衛隊が国連平和維持活動(PKO)の一環で展開するジュバの北方約200キロ。

先月15日に始まった戦闘は、一時は国内10州のうち7州に拡大。これによる国内避難民は、国連の推定では4日の段階で18万9000人。
このうち6万2000人が国連関連施設に身を寄せている。
国外に避難した人も2万2000人を超えた。【1月5日 毎日】
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政府軍、反乱軍の双方とも、戦況が少しでも有利な状況で交渉を進めたい意図があると思われ、今のところ交渉開始が戦闘収束につながっていません。

特に、“反乱軍”の立場にあるマシャール前副大統領支持派にとっては、交渉における国際的な支援・賛同はあまり期待できませんので、戦闘による既成事実の拡大だけが頼りというところでしょう。

油田保護で“宿敵”スーダンと協力
こうしたなかで、南スーダン情勢に大きな利害を有するふたつの国の混乱回避に向けた動きが報じられています。

ひとつは隣国スーダン。
南スーダンとは分離独立後も、油田地域の帰属や、スーダンが有するパイプライン等の施設利用を巡って争いも絶えない“宿敵”の関係ではありますが、スーダンとしても混乱が拡大して石油生産がストップする事態は避けたいところでしょう。

南スーダンとしては、混乱収束のためには“宿敵”の協力を仰ぐこともやむを得ないとの判断です。
両国が共同行動をとることは関係改善にもつながるようにも思えますが、スーダンの介入を受け入れることはキール大統領の求心力を弱めることになる危険性も懸念されているようです。

****南スーダン:戦況打開へ「宿敵」と合意…求心力低下懸念も****
内乱が続くアフリカ東部の南スーダンが6日、一部を反乱軍が制圧した北部の油田地帯を隣国スーダンと合同で護衛する構想で合意したのは、反乱軍優勢の戦況を打開する意図があると見られる。

しかし、両国は油田帰属を巡って争ってきた経緯もあり、実質的に「宿敵」の軍事介入を受け入れる方針を打ち出した形の今回の対応は、キール政権の求心力低下を招きかねない。

スーダンが実際に介入すれば、事態はさらに混迷を深めそうだ。南スーダンは2011年7月にスーダンから分離独立。現在の南スーダン軍は、旧スーダン時代に20年以上続いた内戦を主導してきた。

分離後、油田の4分の3は南スーダン、積み出し港はスーダンの所属になった。このため、石油収入の配分や国境地帯の油田の帰属などを巡り両国は対立し、12年春には激しい戦闘を繰り返した経緯がある。キール政権が最大の収入源である油田地帯へのスーダンの軍事介入を招くことも辞さないのは、反乱軍に相当押されているためと見られる。

油田を多く抱える北部ユニティ州の州都ベンチウは、反乱軍が制圧を続けている。中部の要衝ボルは政府軍がいったん奪還したものの、反乱軍が再度制圧し、約200キロ南のジュバに進軍しようとしているとの観測もある。ジュバには、日本の自衛隊も国連平和維持活動(PKO)の一環で展開中だ。

独立系ラジオによると、南部の複数の地域でも政府軍から離脱者が出ているといい、政府軍の士気低下が進んでいる可能性もある。【1月7日 毎日】
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原油購入国の中国も調停へ
南スーダンに利害を有するもうひとつの国は中国。
中国は南スーダン産の原油の大半を買い取っている関係にあります。

アフリカ4か国を歴訪中の中国の王毅外相は、中国も和平実現に向け尽力しており、積極的に仲介に乗り出していることを表明しています。

****南スーダン和平交渉開始、中国も仲介に意欲****
戦闘を続ける南スーダン政府と反乱軍の和平交渉が6日、エチオピアで正式に始まった。一方、南スーダンの石油業界に巨額投資している中国も、和平交渉の仲介に乗り出している。

エチオピア政府はここ数日かけ、南スーダン政府と反乱軍の各代表を同じ一室に招き入れようと努力してきた。
エチオピア政府報道官はAFPに対し、首都アディスアベバの高級ホテルで停戦に向けた正式交渉がようやく本格的に始まったと語った。

アフリカ4か国を歴訪中の中国の王毅外相は、同国も和平実現に向け尽力しており、積極的に仲介に乗り出していることを明らかにした。中国は南スーダンの石油部門に大規模な投資を行っており、同国産の原油の大半を買い取っている。

同外相は報道陣に対し、「中国は国連安全保障理事会の常任理事国であり、南スーダン情勢の展開を注視している」と述べ、さらに「中国は仲介努力を重ねてきており、政府が派遣したアフリカ担当特使が双方と協議した」ことを明らかにすると同時に、自らもアディスアベバ訪問中に双方に「直接働き掛ける」意向を示した。

またかつて同一国家だったスーダンのオマル・ハッサン・アハメド・バシル大統領も南スーダンの首都ジュバを訪問してサルバ・キール大統領と会談、「紛争への平和的解決」に向けたスーダンの支援を強調した。

さらにアリ・アフメド・カルティ・スーダン外相は、両国が「南スーダンの油田を保護するため、混成部隊を配置することを検討中」であることも明らかにした。

一方で南スーダン内の戦闘は激化の一途をたどっており、政府・反乱軍の双方が各地で攻勢強化の構えを見せている。同国はスーダンから分離独立して3年も経たないうちに、全面的な内戦に突入する恐れを示している。【1月7日 AFP】
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現段階では混乱収束の予測はまだできない状況にあります。
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