孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

ミャンマー  夜のシュエダゴン・パゴダに響く読経のリズム

2014-01-01 23:19:03 | ミャンマー

異邦人の気楽さ
ミャンマー・ヤンゴン3日目。元旦を迎えました。

ミャンマーのビルマ暦では、4月中旬の水かけまつり「ティンジャン」が1年の最後で、その翌日が新年となりますが、昨夜31日は電飾の施された通りで深夜まで子供たちが遊んでおり、午前0時に若者たちの歓声があがるなどの光景も一部に見られました。
宿泊している安宿でも新年パーティーも催されていました。

今日、1月1日は特に祝日にもなっていないようで、普段と変わらぬ街の様子です。

日本にいると、世間が大騒ぎする年末・正月に普段どおりグダグダしていると、なにか世間並みでないような後ろめたさも感じますが、旅行先にあっては現地社会の“世間”とは無縁の存在ですから、寝ていようが何しようが勝手です。

日本で感じる世間のつながり、何者かであらねばならないという感覚から解き放たれ、“異邦人”として何者でもないと気ままさが、旅行に出ることの魅力のひとつのようにも思えます。

午前中、ホテルから歩いていける距離の仏陀の遺髪が祀られている寺院や、巨大な涅槃仏を観光しました。
初詣という訳でもありませんが、ミャンマーの観光スポットの殆どが寺院や仏教関係ですから。

【「スー・チー大統領」はあるのか
お昼に、スー・チーさん率いる国民民主連盟(NLD)本部事務所を訪ねました。
もちろん政治的な話ではなく、スー・チーグッズを扱うお店になっているようで、ガイドブックの“ショップ紹介欄”に掲載されていたからです。

街角でもスー・チーさんのカレンダーなどが売っていますが、どうせならNLD事務所で買って帰るのも一興かと思った次第です。
しかし、残念ながら事務所は今日は閉まっていました。

ミャンマーからは、これまでの民主化路線に沿った、テイン・セイン大統領の政治犯釈放が伝えられています。

****すべての政治犯に恩赦…ミャンマー大統領****
ミャンマー大統領府は12月30日夜、テイン・セイン大統領が国内で収監されているすべての政治犯に31日付で恩赦を与えると発表した。

発表では対象となる人数は明らかにされていないが、政府筋は読売新聞に、全国で計約50人が31日から独立記念日の1月4日までに釈放される見通しだと語った。大統領は7月、年末までに全政治犯を釈放すると語っていた。

大統領府の発表によると、釈放されるのは政治的意見の表明や集会、結社に関する法律に違反したとして有罪となった人々。これらの罪で訴追された人々の裁判も取り下げられ、捜査も打ち切られる。

ミャンマーは1月から初めて、東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国に就任する。これを前に、大統領が公約通り全政治犯を釈放するよう求める声が国際人権団体などから高まっていた。

政治犯釈放はテイン・セイン大統領が2011年の就任後着手した民主化路線の柱の一つで、政府筋によると、これまでに約1300人が釈放されている。【12月31日 読売】
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****ミャンマー政府 釈放開始 「政治犯 国内に存在しない****
ミャンマーで31日、政治犯の釈放が始まった。テイン・セイン大統領が前日、恩赦を与える大統領令を出したのを受けた措置で、1月にかけて全員が釈放される見通しだ。国際社会に約束した「すべての政治犯の釈放」を履行することで、2015年の総選挙に向けて内外の支持を広げる狙いがありそうだ。

大統領報道官は31日、恩赦の大統領令発出をふまえ、国内に「政治犯はもう存在しない」との声明を出した。フランス通信(AFP)が伝えた。(中略)

国際世論を巻き込んで次期大統領の座を目指す最大野党党首、アウン・サン・スー・チー氏を牽制(けんせい)する狙いを指摘する向きもある。(後略)【1月1日 産経】
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その“国際世論を巻き込んで次期大統領の座を目指す最大野党党首、アウン・サン・スー・チー氏”について、与党側が実現の道を開くことに同意したとも報じられています。

****スー・チー大統領」に道=与党、改憲支持―ミャンマー*****
ミャンマーの与党・連邦団結発展党(USDP)は12月末に開いた党の会合で、最大野党・国民民主連盟(NLD)党首のアウン・サン・スー・チー氏の大統領就任の妨げとなっている憲法条項の改正を支持することを決めた。米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)などが伝えた。

現行憲法下では、スー・チー氏は2人の息子が外国籍のため大統領になれないが、USDPの国会議員の一人はRFAに対し、USDPの憲法改正案が承認され、「息子2人がミャンマーの市民権を得れば、彼女は大統領候補の資格を満たすことになる」と説明した。

スー・チー氏は大統領就任に意欲を見せ、2015年に予定される次期総選挙までに憲法改正を目指す方針を示している。ミャンマーの大統領は直接選挙ではなく国会で選出される。【1月1日 時事】
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「スー・チー大統領」に道を開くとも思える決定に関する与党側の意図はよくわかりませんが、この際、国際社会受けのいいスー・チー氏を大統領に担いで、外資導入・経済成長に一層の弾みをつけよう・・・というものでしょうか?
単に、大統領選挙の正当性をアピールするための手段でしょうか?

“政治家”スー・チー氏は、現実を踏まえた姿勢のようですし(現実に埋没しているとの批判もありますが)、独立の英雄、アスン・サン将軍の娘ですから、担ぐことを決めてしまえば、軍部としては担ぎやすい御輿かもしれません。

夕方5時頃になったので、ここで下書きを中断して、シュエダゴン・パゴダに行ってきます。

摩訶不思議な世界
シュエダゴン・パゴダから戻ってきました。
シュエダゴン・パゴダはミャンマーを代表するお寺ですが、昼間は暑くて大変です。
今はそうでもないでしょうが、4月・5月頃だと、境内は裸足で歩きますので、マジに足の裏を火傷しそうになります。

そこで今日は夕暮れ時に出かけた訳です。
詳しくは別途旅行記サイトにアップしますが、さすがに1月1日ということで、日本の初詣神社並みの大変な人出でした。

ただ、日本と違うのは、お賽銭を投げ入れ、おみくじを引くだけでなく、信仰が生活に根ざしているということです。
熱心な祈りをささげる人々のなかでも、2~300人ほどの善男善女が、声をそろえて読経している光景は印象的でした。

すっかり暗くなった夜空にライトアップされて浮かび上がる金色の仏塔群、単調ながら大地から湧き上がるような人々の読経・・・・ちょっとこの世のものでないような不思議な世界でした。
コメント
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