孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

EV(電気自動車)普及の流れは世界で加速 取り残された日本自動車産業の「落日」

2023-05-08 22:52:09 | 日本

(今年の上海モーターショー【4月19日 日経ビジネス】 BYDの新車でしょうか 車に関心がない私としては美しい女性の方に目が行ってしまいますが・・・そんなことを言っている状況ではないようです)

【EV普及を「バイ・アメリカン」で進める米政府 影が薄い日本車】
世界的に自動車販売の中心はアメリカと中国。
その「中心地」での自動車ショーの中心は、やはり電気自動車、EV。そして日本の影は薄く・・・

****NY自動車ショーが開幕 EV脚光も日本勢の新型車なく****
米国の主要な自動車ショーである「ニューヨーク国際自動車ショー」が開幕した。7日から始まった一般公開は16日まで続く。電気自動車(EV)の普及拡大が見込まれるなか、米韓勢がEVの新型モデルを出す展開となったが、日本車メーカーでEV関連の新型車を出した企業はなかった。

見本市では、韓国・現代自動車グループや欧州ステランティス傘下の米国ブランド「ラム」がEVの新型モデルを披露した。ラムのモデルは、米国で人気のあるピックアップトラックのEVだ。米フォード・モーターなどライバルの車に対抗する。

一方、日本車で新たなEV関連の出展はなかった。SUBARU(スバル)が多目的スポーツ車(SUV)のオフロード仕様車の新型を公表したが、EVではない。

自動車情報の米ケリー・ブルー・ブックによると、2022年に米国のEV販売台数は21年比66%増の約80万9000台となったが、日本メーカーのシェアはあわせて2%に満たない。車種別で販売台数が1万台を超えているのは日産自動車「リーフ」だけだ。

米国ではバイデン米政権がEV販売補助金の支援対象を北米生産車に限り、米国メーカー優遇との批判が出た。米政権の政策に修正を求めた点では日欧韓とも共通だが、そのうち韓国勢は現代自グループがシェア7%。欧州勢も独フォルクスワーゲンだけで2%超で、日本メーカーすべてのシェアを上回る。

日本勢はシェアだけでなく、EVの北米生産でも欧韓にも後れを取っている。

米国でも、自動車ショーは新型車の発表が少なくなった。車両を展示するだけにとどめるメーカーが多く、米ゼネラル・モーターズなど米主要メーカーも今回は新型車を出していない。ただEVに関しては新型モデルを出すメーカーがあり、日本車の勢いのなさが目立っている。【4月9日 日経】
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アメリカのEV販売補助金は、単にEV普及対策だけでなく、あからさまにアメリカ産を優遇する「バイ・アメリカン」施策でもあります。

****米国企業だけが「EV補助金」…韓国の現代自動車も、日本の日産も除外****
アラバマ工場で生産する現代自動車の車は、バッテリーが中国製で除外
米政府が「インフレ抑制法」(IRA)に基づき最大7500ドルを支給する補助金支給対象の電気自動車(EV)車種は、全て米国メーカーのものだけが選ばれた。

韓国の現代・起亜自動車はもちろん、補助金支給対象だった日本とドイツのメーカーのEVも除外された。(中略)

現代・起亜自動車のEV車種は予想通り一つも補助金支給対象にならなかった。現代自動車が米アラバマ工場で今年3月から生産するGV70は、最終生産地が北米という条件は満たしたが、バッテリーが中国製という理由で選ばれなかった。

過去の基準では補助金支給対象だった日本の日産やドイツのフォルクスワーゲンの一部のEV車種をはじめ10車種は、新しい基準適用によって補助金を受けられなくなった。  

インフレ抑制法の詳細指針は、北米で最終生産されたEVのうち、今年の場合、バッテリーが北米で製造・組み立てられた部品を50%以上使っていれば3750ドルを支給するようにした。

バッテリーの主要な鉱物は米国または米国と自由貿易協定(FTA)を結んでいる国で採掘・加工したものを40%以上使っていれば3750ドルの補助金がもらえる。両方の条件を満たせば7500ドルが支給される。

消費者価格が乗用車は5万5千ドル以下、SUV、バン、ピックアップトラックは8万ドル以下でなければ補助金の対象にならない。  

今回の補助金支給対象選定で、米国メーカーのEVは米国市場で相当な優位につくことになった。(後略)【4月18日 the hankyoreh】
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アメリカは今後も、EV販売補助金に加えて排ガス規制の面でもEV普及を加速させる方針です。

****バイデン政権が新たな排ガス規制案を公表 2030年に新車販売の6割をEVに****
アメリカのバイデン政権は、自動車の新たな排ガス規制案を発表しました。EV=電気自動車の販売をより加速させる内容です。

アメリカ環境保護局が12日に発表した新たな排ガスの規制案は2027年から2032年にかけてつくられる車が対象で、CO2=二酸化炭素の排出量基準を毎年、段階的に厳しくしていきます。

2032年型の乗用車は、2026年型と比べてCO2排出量を56%削減する必要があります。

バイデン政権は2030年に新車販売の5割をEVなどの電動車とする目標を掲げていますが、今回の規制案によってEVの普及が加速し、2030年にはEVが新車販売の6割を占めるとみています。

規制案は企業や環境団体などから意見を公募した後、決定されます。【4月13日 TBS NEWS DIG】
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【世界最大の自動車市場・中国も“EV一色” EVだけで、日本の新車販売台数を上回るEV大国へ】
もうひとつの「中心地」中国も“EV一色”という状況です。
14年連続、世界最大の自動車市場を維持する中国は販売台数の25%以上がEVなど新エネルギー車、いまやEVだけで、日本の新車販売台数を上回るEV大国となっています。

****上海モーターショーはEV“一色” 中国「BYD」のスポーツカーに注目****
世界の電気自動車市場をリードする中国では18日午後から上海モーターショーが始まっています。

(高橋大作記者報告)
東京ドーム8個分という非常に広い会場に1500台の新車が並べられた最大規模な展示会ですが、なかでも注目を集めているのが中国国内EV市場、急成長したBYDです。

去年、中国では2680万台の自動車が販売され、14年連続、世界最大の自動車市場を維持しました。

去年販売された車のうち25%以上が電気自動車などの新エネルギー車で、モーターショーの会場では国内外のメーカーが新型のEV車を発表するなど、しのぎを削っています。

中国勢主導で急速に電気自動車の普及が進むなか、中国政府は去年末、一定の役割を終えたとして新型エネルギー車に対する国内での補助金を打ち切りました。

中国メディアは電気自動車の競争はこれからもっと激しさを増し、多くの新興メーカーは淘汰(とうた)されるだろう、代わりに生き残ったメーカーだけが成長する「EVの新時代が始まるであろう」と報じています。【4月18日 テレ朝news】
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これまでEVの問題点とされていた走行距離について、各社とも改善を続けており、メーカーによっては、1回の充電で1千キロ超を続けて走れるものも出てきたとか。新興EVメーカーのEVは10分間の充電で最大300キロ走れるとのこと。

専用ステーションでの電池交換というアプローチも進められています。

【EVの予想を超える普及スピードに日本メーカー“ようやく”覚醒 遅れを取り戻せるのか?】
アメリカにしろ、中国にしろ、影が薄い日本車・・・・日本国内でも普及が進んでいない状況ですから当然と言えば当然ですが。

****中国のEV化のスピードに衝撃受けた日系メーカー、軒並み覚醒―中国メディア****
2023年4月29日、経済観察報は、中国での電気自動車(EV)が予想を超えるスピードで普及していることで、日本の自動車メーカーが「集団覚醒」したと報じた。

記事は、これまで電動化に向けた動きが遅かった日本メーカーが、先日開催された上海モーターショー期間中に突然覚醒したとし、トヨタ、ホンダ、日産がそれぞれ明確なEV化計画を立て、なおかつ中国市場を超重要市場に位置づけたと伝えた。

そして、トヨタが26年までにEV販売台数150万台を実現し、日産も26年までに中国市場でEV7車種を出して30年までに中国市場でのEV比率を80%にまで高め、ホンダに至っては35年までに新車販売におけるEV比率を100%にする計画を発表するとともに、各社の幹部の発言からもEV化への強い意志がうかがえるようになったと紹介している。

その上で、日本メーカーの姿勢が大きく変わった最大の要因が、中国のEV普及ペースが予想を完全に上回ったことだと指摘。

19年には120万6000台だった中国国内のEV販売が3年後の22年には5倍以上の688万7000台にまで増える
一方で、化石燃料を主体としている日本メーカーの22年の販売台数は前年比10.3%減の409万2000台に留まっており、EVを発展させなければ日本メーカーは中国市場での業績を維持できなくなっているとした。

世界的な脱炭素社会に向けた取り組みの中で、日本メーカーもカーボンニュートラル推進の必要に迫られているという要因もあると解説した。

また、日本メーカーは近頃、EVへのモデルチェンジを加速するための人事変更を相次いで行ったとも伝え、トヨタでは佐藤恒治新社長が就任直後にEV販売を26年までに60倍まで増やす計画を打ち出し、ホンダも4月1日に電動事業開発本部を立ち上げて中国本部長だった井上勝史氏が本部長に就任したと紹介している。

さらに、EV事業では「後発」となる日本メーカーは中国での研究開発や提携を加速しているとも紹介。

トヨタは中国を柱とするインテリジェント化、電動化研究開発体系の構築を目指し、今後は中国での製品について開発や生産の多くを現地のエンジニアや合弁会社に委ねる姿勢を示し、日産も中国国内のパートナーを通じて中国市場への理解を深めるとともにソフトウェア分野の提携を展開し、ホンダも多くの製品の開発権限を中国のパートナーに付与すると伝えた。【5月2日 レコードチャイナ】
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「今頃“覚醒”かよ!!」というのが正直な感想。
日本メーカーは、当分EVは普及しないという確信があったから、これまでEVに本格的に取り組んでこなかったのでは? その判断は間違っていたのか? 今頃ようやく間違いに気付いたのか?

ガソリン車で技術的優位を誇っていただけに、そこに固執し、新しい流れへの対応がとれてこなかった・・・素人目にはそのように映ります。「技術革新」が起きるとき、旧技術でのトップ企業がまだ低レベルの新技術を見下し、結果的に革新の波から“取り残される”というのはよくある話です。 驕り・傲慢の結果でしょう。

もちろん自動車メーカーだけの問題ではなく、充電施設など使用環境の整備を怠ってきた政府を含めての問題でしょうが。

覚醒したとのことですが、遅れを取り戻せるのか?

****EV急伸する中国市場、落日の日本勢は販売台数3割減 EV出遅れのツケ大きく価格競争でも「最大の敗者」****
世界最大の自動車市場、中国での日本車メーカーの販売減少が深刻だ。急速な電気自動車(EV)シフトにさらされ、日本勢の中国での乗用車販売台数は2023年1─3月累計で前年同期から3割以上落ち込んだ。ガソリン車でブランド力を維持してきた日本勢は苦戦し、三菱自動車はガソリン車の現地生産停止にまで追い込まれた。

日本勢は巻き返しを図るが、EVの普及スピードを読み誤ったツケは大きく、収益力のあるEV開発で、かつての地位を取り戻せるか見通せない。

S&Pグローバル・モビリティの西本正敏プリンシパルリサーチアナリストは、世界第2位の自動車市場である米国でも政府がEVの普及を進めようとしており、日本勢は「米国でも中国と同じように苦戦を強いられる可能性がある」とみている。世界2大自動車市場でシェアを失うことは日本勢にとって「非常にリスクだ」と指摘する。

ロイターが分析した各社発表と業界団体のデータによると、日本勢の今年1─3月の中国の新車販売台数は前年同期比32%減った。トヨタ自動車(高級車ブランド「レクサス」を含む)が14.5%減だったほか、日産自動車が約45%減、ホンダが38%減と大きく落とした。マツダ(約66%減)と三菱自(約58%減)は半分以下になった。

デンソーの松井靖経営役員は4月27日の決算会見で、取引先の日本車メーカーの中国での販売状況は「足元の計画に対して落ちている。計画の6割くらいのところもある。新車の在庫が多くなっている」と説明。別の部品メーカー幹部も「トヨタ、ホンダ、日産全てが計画割れで、問題になっている」と話した。(中略)

価格競争でも敗者に
中国では今年に入り、EVの値引き合戦が繰り広げられている。テスラが1月に値下げしたのを機に、中国勢、欧州勢、日本勢が追随。テスラは需要拡大を受けて値上げにも転じているが、それでも1月の水準を下回っている。

中国・上海を拠点とするコンサルタント会社オートモビリティのビル・ルッソCEO(最高経営責任者)は「価格競争の最大の敗者は今のところ日本勢だ」と指摘。「EVがより手頃になればなるほど、外国車ブランドの購買層にとってEVはより魅力的になる」とし、日本勢にとって「不吉な前兆がみられる」と語った。

S&Pグローバル・モビリティの西本氏は、特に中国の若年層は「ハードウエアの品質や耐久性ではなく、エンタテインメントなどのソフトウエアを重視してEVを購入している」といい、日本勢の中国でのシェア回復には「中国の顧客ニーズにあったEVの開発・投入が非常に重要だ」と話す。

トヨタの佐藤恒治社長は4月21日の合同取材会で、価格の問題は「普及を考える時には大事なファクター(要因)だが、まず今やらなければいけないのはEVとしての基本性能をしっかりつくり込み、その上で特に知能化に対して付加価値を実現していくこと」と述べた。

EVの出遅れを指摘する声は「『トヨタもっとがんばれ』という声だと受け止めている」と認識。販売台数では他社に遅れているが、二酸化炭素(CO2)削減の点では「むしろ先を走っている」とし、「しっかり中国市場に向き合いEVを加速していきたい」と語った。

ホンダの三部敏宏社長も4月26日の合同取材会で、ソフトウエアや自動運転などの分野で「中国勢は相当、先を行っている」と認めた。「このままでいいとは考えていない。反撃する」と述べた。詳細はまだ話せないとしつつも、ホンダもソフトウエアなどの分野で「十分戦える」として「中国勢とは違う攻め口」で必ず形勢を逆転させるとしている。【5月3日 Newsweek】
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【日本車の「牙城」“だった”東南アジアでもEV普及の流れ】
単に、中国市場やアメリカ市場だけでなく、日本車が約9割を占めるという日本自動車の「牙城」、インドネシアでも中韓メーカーが先行するEVの販売台数が急拡大しており、日本メーカーは対応できずにいます。

インドネシアのEV市場は2021年の685台から2022年は1万327台と15倍になっていますが、そのほとんどを中韓メーカーが占めており、日系メーカーはトヨタと日産の合計で21年は計95台、22年は計203台と微々たる数字になっています。

インドネシアにおけるEV加速には政府の後押しも。
インドネシアはEV電池の材料となるニッケルの産出国で、インドネシア政府はそれを生かしてEV生産のハブになる構想を持っています。また、ガソリンなどの燃料の輸入に投じる多額の国家予算を減らしたいという思惑も。

そのため、日本メーカーはハイブリッド車の技術的優位性を主張しても、インドネシア政府のEV優先は今後更に加速すると思われます。

EVに主軸を移した対応はタイ、マレーシアなど他の東南アジア諸国でも同様です。そしてEV販売が増えると、そのほとんどが中韓メーカーということで、日本メーカーの影は日本車の「牙城」東南アジア市場でも薄くなることが予想されます。

欧州が脱炭素でEVを推し進める方針なのは言ううまでもないところ。(ドイツのごり押しで「合成燃料」容認といった話はありましたが、EV化の基本線は変わらないでしょう)

【10年後、20年後、一体何が日本経済を支えるのだろうか?】
かつて世界市場を席巻した日本の家電製品は今や見る影もありません。

日本は自動車でもガソリン車・ハイブリッド車に拘ってガラパゴス化するのか・・・。

私自身は車はおろか普通免許さえ持っていませんので(原付のみ)、EV自体には全く関心がありません。ただ、これまで日本経済を支えてきた日本自動車産業の「落日」が予想もされるとなると、「10年後、20年後、一体何が日本経済を支えるのだろうか?」と不安になります。
コメント (1)
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