今年は、ショパン生誕200年の記念の年なので、関連のコンサート、CDの発売、書籍の発刊などが相次いでいます。一昨日のNHK教育テレビ芸術劇場でも、エル・バシャ、アンナ・ケフェレック、小山実稚恵がショパンのピアノ曲を弾いたコンサートの模様(録画)が放映されました。小山さんの演奏は、実演を是非聴いてみたいものでした。ジェリー・マリガンが、ショパンの前奏曲を編曲して演奏しています。
GERRY MULLIGAN (ジェリー・マリガン)
NIGHT LIGHTS (PHILIPS 1963年録音)
ショパンの曲は、編曲されてポピュラー・ソングにもなっています。例えば、「幻想即興曲」が「虹を追って」(I'm Always Chasing Rainbows)に、「ポロネーズ第6番「英雄」」が「時の終わりまで」(Till The End of Time)になっています。マリガンも前奏曲(プレリュード)第4番ホ短調に魅せられたのでしょう。これを編曲して演奏をしています。
ジェリー・マリガンは、バリトン・サックスをソフトに吹くことのできる稀有なミュージシャンですが、作編曲能力にも優れています。本作品は、彼の作曲になるものが3曲、他の3曲もマリガンの編曲です。基本的にピアノ抜きの柔かいアンサンブルで、寛いで聴けるものです。
メンバーは、マリガン(bs,p)、アート・ファーマー(tp)、ボブ・ブルックマイヤー(vtb)、ジム・ホール(g)、ビル・クロウ(g)、デイヴ・ベイリー(ds)。曲は、「Night Lights」、「Morning of The Carnival」(カーニヴァルの朝)、「In The Wee Small Hours」、「Prelude in E Minor」(プレリュードホ短調)、「Festival Minor」、「Tell Me When 」の6曲。(CDは1曲追加)
静かな夜更けに最適な作品で、「Morning of The Carnival」、「In The Wee Small Hours」と旋律がソフトに奏されます。「Prelude in E Minor」は、まずマリガンが付点2分音符と4分音符による動機を再現します。途中半音(フラット)を使う進行になるので、彼はこれに興味をひかれたのかもしれません。続いて、ブルックマイヤー、ファーマー、マリガンの順でソロをとりますが、曲のムードをとらえ、憂愁とか哀惜といった感情が出ているかのようです。リズムはボサノヴァ。
【ペルルミュテールコンサートホールレコーディング集】
ヴラド・ペルルミュテールによる演奏。ラヴェルの直弟子として有名ですが、ショパンも得意としていました。ショパンのワルツ、前奏曲などを収録してあり、楽譜をみながら前奏曲第4番ホ短調も聴きました。コンサートホール原盤のCD2枚組。