先週の火曜から昨日まで、香港とマカオに行ってきました。どちらも、ビルが林立し、光に彩られた夜景が美しい街です。しかし、ジャズはあまり盛んではなく、演奏を聴かせるお店もありますが、マイナーな存在のようです。街は活気に溢れていて、観光や貿易などで、中国本土からはもちろん、世界中から人が集まってきています。10月は観光シーズンでもあり、街は人で溢れていて夜遅くまで喧騒状態が続いていました。その中を動き回ったので、いささかくたびれました。香港は英国領だったので、英国のミュージシャンの作品。
TUBBY HAYES (タビー・ヘイズ)
MEXICAN GREEN (Fontana 1967年録音)
香港でCDを置いてあるお店を覗いてみたのですが、ジャズの品揃えはわずかでした。中国語(広東語)の会話を聴いていると、強調が続く喋り方で、ヴォーカルの歌詞は乗りにくいと感じます。歌のないインスト系音楽は一般的に受けないようですが、香港ではジャズフェスティヴァルも開催されているし、将来は変わる可能性があるかもしれません。
タビー・ヘイズですが、英国のテナー・サックス奏者として日本でも知名度をもっていると思います。本来は、メインストリーム系のミュージシャンですが、60年代に進歩的な演奏も行い、残した作品の一つがこれです。サイドメンを新たにし、モード系奏法を取り入れています。当時、それは人気を呼んだようなので、英国には新しいものを受け入れやすい土壌があったのでしょう。
メンバーは、タビー・ヘイズ(ts)、マイク・コバン(p)、ロン・マシューソン(b)、トニー・レヴィン(ds)。曲は、「Dear Johnny B」、「Off The Wagon」、「Trenton Place」、「The Second City Steamer」、「Blues In Orbit」、「A Dedication to Joy」、「Mexican Green」の7曲。すべてヘイズの自作で彼の意気込みが反映されています。レヴィンをはじめとした、リズム陣のプレイも気になります。
一週間くらいジャズを聴いていなかったせいもあり、このアルバムは随分と新鮮でした。「Dear Johnny B」、「The Second Steamer」や「Mexican Green」では、ヘイズ(ts)をはじめメンバー全員が力強い演奏を繰り広げ、特に「Mexican Green」はエキサイティング。特筆すべきは、サイドメンのレベルの高さで、レヴィン(ds)の切れのよいドラムスやパイン(p)の刺激的なピアノに爽快感を感じます。優しい曲調の「Trenton Place」では、ヘイズはフルートを吹き、レヴィンのブラシによる小技が冴えます。
【香港とマカオの光景】
午後10時頃のピーク・タワー屋上からの香港市街地眺望
香港の二階建て路面電車。移動に2~3回使いました。
観光客の多いマカオ市街地
マカオの夜景。大きな建物は、ホテル兼カジノ