秋が深まってきました。早く帰宅して音楽を聴いたり、読書をしたいところですが、なかなかそうはいかないのが、辛いところです。今日は早く帰れたので、ヴォーカルを聴こうと、そのお伴にパラパラとページをめくる本も取り出しました。馬場啓一著「ジャズボーカルにくびったけ」とScott Yanow著「The Jazz Singers」です。どちらもガイドブックですが、後者は多数の歌手を網羅していて参考になります。前回に続き、イギリスの人です。
CLAIRE MARTIN (クレア・マーティン)
OLD BOYFRIENDS (LINN 1994年録音)
クレア・マーティンは、英国を代表する女性ヴォーカリストの一人で、第1作の「The Waiting Game」がよく知られていますが、第3作目に当たる「Old Boyfriends」も、内容がジャジーで、ジャケットも素敵なので、僕は気に入っています。レーベルは、LINNですが、オーディオ製造会社とばかり思っていたので、レコードを初めて見た時には、ソフトも作っているのだと感心しました。
18歳でプロとしての活動を始め、2年間、クイーン・エリザベス二世号のクルーズにレギュラーとして出演し、その際にレパートリーを確立していったようです。そして、1991年にLinn Recordsと契約し、同レーベルから作品を出し続けています。本アルバムの伴奏は、Steve Melling(p)、Arnie Somogyi(b)、Clark Tracey(ds)。曲により、Mark Nightingale(tb)、Jim Nullen(g)が加わります。
収録曲は、「When The Sun Comes Out」、「Close As Pages In A Book」、「Partners In Crime」、「Chased Out」、「Moon Ray」、「Old Boyfriends」、「Out Of My Continental Mind」、「I've Got News For You」、「The Wheelers And Dealers」、「I Was Telling Him About You」、「Gentleman Friends」、「Killing Time」の12曲。レパートリーが広く、ここでも比較的珍しい曲も収録しています。
彼女の声は、聴きやすく透明感のある癖のないものです。アップテンポでは、よくスイングし、乗りのよいところみせ、「When The Sun Comes Out」や「Moon Ray」は、トロンボーンやピアノのソロも入り、ジャジーです。じっくりとささやくように歌われる「Close As Pages In A Book」や「Old Boyfriends」は、佳曲だと思わせてくれますし、D・フリシュバーグ作「The Wheelers And Dealers」は、ギターも入り、華やかでかっこよく歌われます。
【ヴォーカルの参考本】
馬場啓一著「ジャズボーカルにくびったけ」 (シンコー・ミュージック)
Scot Yanow著「The Jazz Singers」」(BackbeatBooks)