安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ビル・エヴァンス YOU MUST BELIEVE IN SPRING 

2012-10-07 12:11:49 | ピアノ

先週の水曜日に静岡市に出張で行ってきました。飯田市から中央自動車道、東海環状自動車道、新東名高速道路を走り、約3時間で着きました。新東名高速道路は、今年4月に開通したので、そちらを通りましたが、線形もよく走りやすい道です。帰りに、SA(サービスエリア)がグレードアップしたようなNEOPASA浜松によって、「うなぎパイ」をお土産に買いました。ピアノの鍵盤を模した建物の外観は、楽器の街、浜松らしいデザインです。ピアノのアルバムを。

BILL EVANS (ビル・エヴァンス)
YOU MUST BELIEVE IN SPRING (WARNER BROS.1977年録音)

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どのアルバムを聴こうかとしばし思いを巡らせました。バド・パウエル、ソニー・クラーク、トミー・フラナガン、ビル・エヴァンス、ヤン・ラングレンあたりかと逡巡しながら、豊かな抒情性に加え、バビッシュな収録曲も聴けるエヴァンスの「You Must Believe in Spring」にしました。こういう逡巡というのは、ずっと続くと困るけど楽しいものです。

メンバーは、ビル・エヴァンス(p)、エディ・ゴメス(b)、エリオット・ジグモンド(ds)。ゴメスは、この作品を最後に、マーク・ジョンソンと替わります。ゴメスの音色やソロのフレーズに僕はあまりなじめなかったので、最初、輸入盤LPをレコード店で手にとった時には、買おうかどうしようか躊躇したのですが、それは杞憂でした。というのは、ゴメス(b)は絶妙の伴奏をつけていますが、ソロの出番は少ないからです。

曲は、「B Minor Waltz」(For Ellaine)、「You Must Believe in Spring」、「Gary's Theme」、「We Will Meet Again」(For Harry)、「The Peacocks」、「Sometime Ago」、「Theme From M*A*S*H」(Sucide is Painless)の7曲。CDでは、「Without A Song」、「Freddie Freeloader」、「All of You」の3曲がボーナストラックとして追加されています。エヴァンス作の「B Minor Waltz」の曲想からは、鎮魂と静寂が感じられます。

深い抒情と寂寥感が漂う、美しく繊細な演奏の連続に息を呑みます。インタープレイというより、エヴァンス(p)中心のトリオ演奏が行われていて、スローテンポで、エヴァンスが存分に音を紡ぎだしています。LPにおける最終曲「Theme From M*A*S*H」は、一転してアップテンポで輝かしい音、フレーズでスイングしていてよいのですが、若干の違和感がありました。しかし、CDで初めて聴いた「Without A Song」など3曲では、ビートが強くややアグレッシブなプレイも行われていて、このセッションでは変化に富んだ演奏が行われていたこともわかり、嬉しいボーナスです。

【NEOPASA浜松外観】

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(お土産のうなぎパイ)

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ジョニ・ジェイムス LIKE 3 O'CLOCK IN THE MORNING

2012-10-03 22:22:21 | ヴォーカル(E~K)

10月に入っても、日中は暑くて、9月のような陽気が続いていますが、次第に秋の気配が濃厚になってきました。職場の同僚が、自宅の畑で獲れたと、アケビを持ってきてくれたので、かごに入れて飾ってみました。アケビは、山で自生しているものを、とって食べたことしかないので、栽培しているとは意外でしたが、こちらの地域は果樹栽培が盛んなので、アケビもあるようです。「Autumn Nocturne」が収録されたアルバム。

JONI JAMES (ジョニ・ジェイムス)
LIKE 3 O'CLOCK IN THE MORNING (MGM 1962年録音)

 Like3oclockinthemorningjonijames

秋にまつわるスダンダード曲は、「Autumn Leaves」(枯葉)をはじめ、たくさんあります。そのうちの一つ、Kim Gannon作詞、Josef Myrow作曲の「Autumn Nocturne」は、曲とともに歌詞が素晴らしい歌ですが、インストではルー・ドナルドソン(as)など録音している人が多いのに対して、ヴォーカルで取り上げている人は比較的少ないようです。今夜はジョニ・ジェイムス(vo)で聴きました。

「Autumn Nocturne」の邦題を付けるとすると「秋の夜想曲」でしょうか。歌詞の初めの方を記してみます。
When autumn sings her lullaby
And green leaves turn to gold
Then I remember last September
You and I said goodbye
Whispering that we would be returning
When autumn comes again

「秋が子守唄を歌う時、緑の葉は黄金色に変わり始める。去年の9月、あなたと私はさよならと言って別れた。秋が再び来る時、また二人で再会しようとささやきながら。」でも、戻ってきたのは私ひとりぼっちだというようなちょっと切ない歌です。

アルバム収録曲は、「In The We Small Hours Of The Morning」、「As Long As He Needs Me」、「Red Sails In The Sunset」(夕陽に赤い帆)、「Every time I Meet You」、「The Second Time Around」、「That's All」、「You Go To My Head」、「I Wanna Be Around」、「The End Of The World」(この世の果てまで)、「No, Not Much」、「My Coloring Book」、「Autumn Nocturne」の12曲。「この世の果てまで」など、おなじみのものが多いです。

編曲は、Jimmie Haskellで、ストリングスを加えたゴージャスな伴奏ですが、変化をつけて、ジャズの香りもするヴォーカル・アルバムに仕立てあげました。すぐそばで、ジョニが歌ってくれているような錯覚をおこしそうな、ゆったりとした親しみのある歌が多いです。「Every Time I Meet You」、「The Second Time Around」、「I Wanna Be Around」といったスローからミドル・テンポの曲が彼女に似合っていますし、「Autumn Nocturne」も、甘さを含んだ高音で、コロラトゥーラという言葉を連想させるような装飾をつけて、音を巻き上げて初めの方のメロディを歌っていて、魅力的です。

【あけび】

    Akebi201210012