おとといの金曜日、横浜の杉田劇場で行われたボブ・ロックウェル(ts)のコンサートに行ってきました。ロックウェルについては、CDを何枚か聴いてファンになっていたので、ちょうどいい機会でした。内容はたいへん充実していて、彼のサウンドの美しさ、フレーズの切れのよさに、満足し、興奮もしました。低音から高音までミストーンらしきものはなく、ブルーズでは思いきったヴィブラートをかけたり、テクニックもすごそうでした。コンサート会場で購入し、サインをしてもらったアルバム。
BOB ROCKWELL (ボブ・ロックウェル)
THE JOKER (Marshmallow 2006年録音)
今回、ロックウェルは単身の来日で、リズムは、小野孝司(p)、荒巻茂生(b)、力武誠(ds)の3人が務めました。アドリブをたっぷりととった熱いハードバップに、すっかり魅了されました。エルモ・ホープの「So Nice」でスタートし、T・モンク、C・パーカー、B・ウェブスター、B・フリーゼルらの作品や、バラード系では、エリントン=ストレイホーン作「Day Dream」、ヴィクター・ヤング作「Love Letters」が演奏されました。
さて、このアルバムですが、メンバーは、ボブ・ロックウェル(ts)、キャスパー・ヴィヨーム(p)、イェスパー・ボディルセン(b)、ラスムス・キルべり(ds)。4人は、2006年の来日時のメンバーで、録音もその時に横浜で行われたもの。ロックウェルは、米国マイアミの出身ですが、1983年からデンマークのコペンハーゲンに移住しており、ピアノとベースはデンマーク出身、ドラムスはスウェーデン出身で、国際色豊かです。
曲は、デクスター・ゴードン作「Cheese Cake」、エディ・ハリス作「Mean Greens」、セロニアス・モンク作「Work」、リー・モーガン作「The Jorker」、ジョー・ヘンダーソン作「Teeter Totter」、ベン・ウェブスター作「Bounce Blues」、ロックウェルの自作「Phil's Delight」、そして、スタンダードが4曲で「When I Grow Too Old To Dream」、「Portrait Of Jennie」、「Time After Time」、「I've Got You Under My Skin」の全11曲。ジャズ・オリジナルでも「Cheese Cake」や「The Joker」といった親しみやすいものが入っています。
スケールの大きいハードバップが聴けるアルバムで、ロックウェル(ts)のアドリブは、へんにこねまわさず、メロディが感じられます。最初の曲、D・ゴードン作「Cheese Cake」を聴いた途端、僕は顔がほころびました。好きな曲だけに嬉しい収録で、しかも丁寧なプレイぶりです。「Work」、「The Joker」、バラードの「Time After Time」あたりも印象的です。ヴィヨーム(p)は、闊達さに加え、繊細なところもあり、「Cheese Cake」の素晴らしいバッキングや、「The Joker」では乗りのいい楽しい演奏を披露するなど貢献しています。