公共交通好きの私ですが、若い頃、気が弱くて困ることがありました。というのも、お年寄りなどに席を譲る勇気が出ず、声を掛けられず黙って席を立ったりしたものです。それが嫌で、どんなに席が空いていても座らないようにしていたときもありました。
さっと、席を譲る人を見ると、「凄いなぁ、私もああなりたいものだ」と思いながらも出来ない自分を歯がゆく思ったこともありました。席を譲るって以外と勇気がいるものだと思っているのは私だけでしょうか。
そんなことを思い出させる阪急電車の優先座席の話題がありました。
産経新聞【産経抄】10月19日
落ち着いたマルーン(栗(くり)色)の車体でおなじみの、といっても関西人以外はおなじみでないかもしれないが、京阪神の足となっている阪急電車が「優先座席」を8年半ぶりに復活させるという。残念ながらやむを得ない。
▼阪急が優先座席をなくしたのは、「全席が優先席」という理想からだった。21世紀にはお年寄りや妊婦さんが乗ってきたらさっと席を譲るという当たり前のマナーがきっと定着するだろう、という読みだったようだが、甘かった。
▼お年寄りが前に立っても狸(たぬき)寝入りするのはまだいい方で、若者たちが平気でぺちゃくちゃしゃべり続ける光景を何度見たことか。学校も会社もモラル低下に頭を悩ませているのに、電車内だけ例外とはいかない。せめて優先座席には若者を座らせないよう徹底させるしかない。
▼理想と現実のギャップに気づくのに鉄道会社は、8年以上かかったが、旧日本軍が中国に遺棄したとされる化学兵器処理事業の闇も予算措置から8年を経て明るみに出ようとしている。こちらもある政治家の日中友好を願う「理想」から出発した。・・・以下略
こんな人たちの中にも私のように内心は葛藤している人もいるはずです。それだけ、席を譲ることが当たり前のこととして定着していないのですね。当たり前であれば、優先座席なんているはず無いのですから。阪急電車も悔しかったでしょうね。
それにしても、後半の河野洋平さんへの苦言に続くのは笑いました。尤も、笑ってる場合じゃないですが。
もう一つ
四国新聞 「一日一言」10月20日付・実験は続く
・・・略
しかし8年前に始まった人間への実験では、チンパンジーとそう変わらない結果が出たようだ。優先席以外は譲らなくていいと誤解されないように、との思いが同社にはあった。つまり全席が優先席。「情けは人のためならず」とも言うし、自発的な助け合いができる人間なら何ら問題はないだろうと考えたらしい。
もちろん車内では、お年寄りらが催促すれば、それに応じる行動は見られただろう。だが自発的には席を譲ってもらえないケースが多く、優先席設置を求める声が毎年数十件あった。とうとう今月29日に優先席を復活させることになったという。・・・以下略
こちらはチンパンジーと比べています。席を譲るという弱者をいたわる気持ちを素直に行動に移すのは人間にとっても相当難しいことのようです。それでも、何時かはスマートに譲ってみたいものです。尤も、もはや譲られる歳かもしれません。
遅かったかも!