衝撃的な告発本を、11 月 6 日 (日)、第 6244回の「イトマン事件の闇と背後関係と日経新聞」で取り上げましたが、産経新聞が、著者の国重さんへ のイ ンタビューを載せてくれています。
この事件は、銀行の堕落ですが、これも、80年代に本田宗一郎さん達のような戦前の日本の教育を受け、素晴らしい日 本の雇用体系を受け継いだ方達が一線を退いてから、まだ、10年程度しか経っていないころです。
突然劣化するというより、劣化した経営陣達が、重石が取れて羽目をはずし出したのじゃないでしょうか。つまり は、こ の頃から日本の劣化は急激に進んだと言えるでしょう。
かなり長いので、全文はリンク元で読んでください。
産経ニュースより 2016.10.31
【住 友銀行秘史】「墓場まで持っていこうと…」闇社会との関係を問うた元銀行マンが明かす執筆秘話「これは、どの企 業に もある話だ」
戦後最大の不正会計事件である「イトマン事件」の内幕を描いた「住友銀行秘史」(講談社)の売れ行きが好調だ。住友銀行元取締役の国重惇史氏が当時記録を つけた8冊の手帳をもとに執筆した話題作は、発売から約10日で10万部に達した。メガバンクを舞台にした大事件を 内部 から詳細に記録した国重さんに執筆 の狙いなどを聞いた。
秘史は国重さんのこんな経歴の紹介から始まる。《(住銀)企画部で大蔵省担当、いわゆるMOF担を長く務めた。MOF担として、「国重の前に 国重なし、国重の後に国重なし」と言われ、名をはせた》
国重惇史氏(くにしげ・あつし) 昭和20年、山口県生まれ、東大経卒。43年住友銀行(現三井住友銀行)入行。大蔵省担当(MOF担)を約 10年務め たほか、業務渉外部部付部長、本店営業第一部長、丸の内支店長などを経て、平成6年取締役に就任。住友キャピタル証券副 社長や楽天副社長、同副会長などを 経て、27年6月リミックス・ポイント会長。28年6月から同社社長。70歳。
問題の手帳をつけ始めたのは業務渉外部の部付部長だった平成2(1990)年3月。《「イトマンがおかしくなっている」住友銀行トップたちは、このころか ら慌ただしく動き出すことになる》
《1990年3月20日問題のスタート 13時30分~14時10分 佐藤茂氏、桑原芳樹氏が磯田会長のところへ。3人。14時10分 磯田会長が巽(外 夫)頭取を呼ぶ。巽頭取は銀行協会の集まりで外出…》。
イトマン事件 不動産事業で損失を抱えた中堅商社のイトマンが闇の勢力に取り込まれた。絵画取引やゴルフ場開発などの名目で巨額の資金を吸い 上げられ、 メーンバンクの住友銀行も約5000億円の損失を出した。大阪地検と大阪府警が平成3年、強制捜査に着手。その後、商法 の特別背任、業務上横領などの罪で 住銀出身の河村良彦・イトマン元社長や伊藤寿永光同元常務、フィクサーとして知られた許永中氏らが逮捕され、実刑判決を 受けた。
--全17章469ページにわたる本書では、約1年半にわたる事件の内幕を克明に記録している。密会の日時やそれぞれの発言について、住友銀行の磯田一郎 会長や巽外夫頭取ら当時の幹部、大蔵省の土田正顕銀行局長、日本経済新聞記者の大塚将司氏などが実名で70人以上も 登場 する
「あちこちから感想の声をいただいた。最後まで書こうか迷ったけど、(出版元の)講談社の人から、あなたの義務だといって 粘り強く口説かれ、決心した。20年以上前にも書こうと思ったことはあります」
住友銀行秘史 「このままでは闇社会の食い物にされる」。著者の国重惇史氏は住銀の部長だった平成2年3月、イトマンをめぐる不正の実情を耳にし、こう危 機感を強めた。ひそかに情報収集を行い、「レター」と称する内部告発文を作成。大蔵省やマスコミに送り、ついには当 時の 磯田一郎・住銀会長にも辞任を迫る ことになった。秘史は、当時の記録を記した手帳8冊をもとに執筆。こうした事件の内幕や行内の派閥対立を実名で明かして いる。
イトマンをめぐる一連の金の流れなどを明らかにするため、国重氏は内部告発をするとともに、MOF担時代に培った人脈を使 い記者などに接触していく。本作のもう1人の主人公ともいえる大塚記者とは生々しいやりとりが記されている。
《5月10日深夜 日経の大塚記者から電話
大塚 頼みがある。他の新聞社にイトマンから内部告発させてくれ。日経単独で行ったら潰されてしまうかも。
国重 わかった、やらせる。でも日経は日和見するかもしれない。
大塚 そのときは俺も腹をくくる。他の新聞社にネタを売って書かせる》
国重氏は、大塚記者のほか朝日、読売、毎日、NHKの各社記者、大蔵省や東京地検などの担当者と密会や電話で連絡を取ったり、時には役員の運転手のところ に一升瓶を持参して情報収集を行ったりした。
--執筆に当たっての葛藤も書かれている
「墓場まで持っていくという言葉がありますが、それがいいのかと、ずっと思っていた。そういう意味では書く必要もあったのかなと思います。住友銀行が舞台 ですが、他の会社も似たようなことをしていた。どの企業にもある話なんです。それは強調したい」
イトマンを利用する闇の勢力への対応をめぐって、当時の住友銀行の経営陣が右往左往する様子が生々しく描写されている。
《3月29日 大塚記者が磯田会長を夜討ち 磯田会長苦悩の色が濃い
磯田 おかしいことはわかっている。ヤクザがからんでいる。どうしていいかわからない》
会長派と反会長派に分かれた役員の対立に関する記述も。《5月15日 行内で情報収集
5月18日にある浅草の三社祭には、磯田会長のほか、西副頭取、河村(イトマン)社長、鈴木氏、臼井専務、花村専務、塚田常務が参加する。(中略)三社祭 は磯田派の総決起集会となるわけだ》
混迷の様相を深めていくなか、コーポレート・ガバナンス(企業統治)の問題が浮かびあがってくる。…以下略
この、「磯田 おかしいことはわかっている。ヤクザがからんでいる。どうしていいかわからない」は、衝撃ですね。当 時の経営者でも評価の高かった人が、この程度だったんですね。日本が、堕落する訳です。
やはり、本田さんのような戦前育ちの経営者とは格が違うようです。と言うか、その経営者の劣化は、どんどん進ん でい るのでしょう。
それが、竹中・小泉コンビの企みに乗って、人件費を減らすために、非正規雇用なんてとんでもないシステムを受け 入れ てしまったことから、日本の成長が止まってしまったと言うことじゃないでしょうか。
そして、今も、その過ちに気がついていないように、移民を受け入れようと政府に働きかけているのでしょう。
その元凶の一人、竹中平蔵が、今も政権で大きな顔をして蠢いているのですから、経済問題だけは安倍さんを評価で きま せん。