とうとうウクライナ戦争の隙を突いたアゼルバイジャンがアルメニア軍を攻めたようです。
宮崎さんが報告してくれています。いよいよ第三次世界大戦の始まりでしょうか。
宮崎正弘の国際情勢解題」より 令和四年(2022)9月16日(金曜日) 通巻第7465号
ウクライナ戦争の隙を突いたアゼルバイジャン
アルメニア軍が窮地。そして次はコソボではないか?
9月13日、ナゴルノカラバフの停戦ラインを超えて、アゼルバイジャン軍が発砲し、アルメニア軍兵士59名が死亡した。ロシア軍は「停戦監視団」を置いているが、ウクライナ戦争で、手薄になった隙を突かれた格好だ。
他方、アゼルバイジャン国防省は、アルメニア軍が「停戦に違反し、迫撃砲と大砲でケルバハルとラチン近くのアゼルバイジャン陣地を砲撃した」と発表した。
トルコの報道に拠れば、双方で百名前後の死者かでたとしている。
2020年の戦闘ではイスラム圏からの武器輸入によって軍事力を増強させていたアゼルバイジャンが「アルメニアに奪われた聖域」を恢復し、ロシアが停戦 に介入して暫時の均衡状態があった。ロシアとしてはアルメニアが東方正教会であり、防衛同盟の紐帯のために軍事的に介入したのも当然の帰結だった。
その後、EUが交渉に乗り出し、以後の平和の回復を図ろうとしたが、「ブリュッセル合意」は事実上無効になった。
この春にブリュッセルで開催の、EUが仲介した交渉ではアゼルバイジャンのイルハム・アリエフとアルメニアのニコル・パシニャンが会談し、ともかく「議論を進める」という条項のみ合意した。
EU、米国、ロシア、イラン、そしてトルコ紛争の拡大に懸念を表明し、戦闘行為の即時終結を求めたものの、ロシアの「平和維持軍」が、ウクライナ戦争で削減された情報があり、ロシアの衰退を目撃したアゼルバイジャンが一気に攻勢に出た。
拙著『ウクライナ危機後に、中国とロシアは破局を迎える』(宝島社)のなかでも、この事態を予測したが、次はコソボだろう。
セルビアは中国から空輸した兵器で軍事力を充実させており、ロシアの支援がなくとも、NATOが介入してこないと判断すれば、アルバニアに奪われたコソボの恢復に挑む可能性が高い。
それにしてもあの当たりは余程仲が悪いようです。やはり他民族が犇めく地区は紛争が収まらないようです。
紛争が拡大して究極まで行かないことを願うしかなさそうです。