無いものが撮れないのが写真ならば、撮れるように作らねばならない。これがあるとイメージ通りの作品が作れる、という物を思い付いた。ただ作るのには手間がかかるし、少々材料費もかかる。それにあわせて人物を作るわけだから、多少アングルを変えたところで撮れるのは1、2カットであろう。一応ためらってみるのだが、多くの場合、結局作ることになる。 写真を撮るようになり、おかげで思いも寄らないものを作るハメになった。 人は思い付いた物を作るようにできている、といったのは養老孟司だったか。思い付きというのは、だいたい棚からボタモチのように落ちてくるが、そんな時、私はいかにも思い付いた。という顔をするらしい。かつて漫画では、頭上に白熱電球が点いたものである。 子供が口を開けたままボーッと遠くを見ていたら、ロクなことは考えていないので、頭をはハタいて我に返らせるべきであろう。状況と関係なく、必要とされていない事や物に嬉しそうに没頭していると、周囲の人はイライラし、時に怒り出すことを子供の頃から身をもって経験している。よって思い付いたからといって、ハシャグことは慎まなければならない。 K本で飲んでいると、職人と作家はどう違うんだと訊かれたりする。需要が有る無しに関係なく、作り続けているのが作家であろう。もちろん需要があるにこしたことはないが、そんなことにお構いなしに白熱電球は点くわけで、実にやっかいなことではある。
過去の雑記
HOME