明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



二・二・六事件当時の戒厳司令官、皇道派の香椎浩平中将の色紙が届く。決起した青年将校に同情的で、事件後裁判にかけられている。そんな日に雪が降る。 このまま積もれば三島由紀夫で二・二・六の戒厳令下の朝でいきたい。午後一時からモツ鍋を誘われていたのだが、明日のロケ場所を考えるためパス。都内で3ヶ所目星を付ける。TVで『沈まぬ太陽』を見るが全くつまらなくて途中でやめる。サラリーマンの社内事情など眺めている気分ではない。 雪といえば『乱歩 夜の夢こそまこと』(パロル舎)の中で『盲獣』を制作したとき、切断された脚をぶら下げた風船が浅草寺上空を浮かんでいるシーン、湯船に浮かぶ沢山の切断死体、“鎌倉ハム”のこれも切断された女性の手首、などとともに、雪の中から覗く足首を撮影したかったが、その年、東京に雪は少なく、たしか掲示板で情報を求め、東武線に乗って鬼怒川方面に、電車から地面に積もる雪をチェックしながら川治温泉まで行った。2某日5 アダージョの樋口一葉の時は薄っすら積もる雪をでっち上げたが、大雪となると難しい。独裁者ムバラクを倒し盛り上がるエジプトのニュースに、明日を期待したが、どうもボタ雪で戒厳令の朝は無理の様子。盲獣の時と違って、雪が積もっていれば良いわけではないので諦める。せっかく頭の中にイメージがあっても、無い物は撮れないのが写真。眉間にレンズを向ける念写が理想なのでイライラする。

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