私が中学生の時に谷崎潤一郎にはまるきっかけとなったのが大映の“谷崎物”である。となれば『瘋癲老人日記』『卍』『刺青』などの若尾文子ということになる。監督といえば市川崑も良かったが、なんといっても増村保造である。スピーデイーな展開や、主役の、下手でもいいからセリフをハッキリ的な演出は、おそらくその後の大映テレビのドラマにも影響を及ぼしたことであろう。東大の同窓生、主演の三島由紀夫をしごきまくったという『からっ風野郎』も印象深い。 今日は『浮草』の前に若尾文子が登場する。以前、母から若尾文子の舞台を誘われたことがあったが、イメージが壊れても、と拒否してしまったが、今回は見られる物はいまのうちに、と写真家白石“雑巾がけ”ちえこさんを誘って出かけた。結果、独特の声もそのままで若尾文子のイメージが損なわれることはなかった。小津安二郎を男性としても好きだったといっていた。 古石場文化センターでは映写機を購入したということで、フィルム上映である。何故か映写室でなく、むき出しに置かれていたのでフィルムチェンジの音が多少やかましかったが、色にこだわった小津映画の、こってりした天然色が堪能できた。この作品はDVDで何度も観たが、フィルムで観るのは格別である。中村鴈治郎は子供の私にはその顔が恐かったが、何ともいえない味がある。杉村春子はさすがに上手く、京マチ子の浴衣姿は色っぽい。十代の若尾文子はいうまでもなし。 その後近所の店で暖まり、2件目の立ち飲みには『貝の穴に河童の居る事』に笛吹きの芸人役で登場してくれたMさんも合流して盛り上がった。
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インキング映像↓
http://youtu.be/kZozcEqgKsE
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