英語道(トラスト英語学院のブログ)

トラスト英語学院(長野県伊那市)塾長。英語指導や自身の英語学習雑感、趣味のランニングと筋トレについて綴ります(^^)

批判するのは簡単だが・・・

2007年09月01日 | 指導現場にて
2005年新潟大学(前期日程)の長文読解問題で出題された英文では、丸暗記を中心とした詰め込み教育とそれを助長する大学入試制度をとりあげ、日本の教育制度を非難しています。

しかも、塾や予備校までも
These schools were the notorious yobiko, “cram schools,” where rote memorization took on new meaning for millions of elementary- and middle-school students.
(これらの学校が悪名高い詰め込みの「予備校」であり、そこでは、丸暗記が何百万人もの小・中高生にとって新しい意義を持つようになった。)
とまで揶揄しています。

そして、この英文は 最後を次のように締めくくっています。
It seems now that the only way these special cram schools could wither away would be for the Ministry of Education to greatly reform Japan's educational and entrance examination systems, changing their focus from memorizing facts to independent thinking and other skills.
(これらの特別な詰め込み学校(=塾・予備校)が衰退する唯一の手立ては文部省が日本の教育制度と入試制度を抜本的に見直し、事実を暗記する学習法から独立思考とその他の技能へ、その焦点を移すことのように思われる。)
この英文の筆者は、塾・予備校を悪者扱いし、それらを潰すことを前提に、この文章を書いているのです。

それにしても、弱い論理ですね。しかも具体性がありません。“independent thinking and other skills” って何なんでしょう?こういう抽象的な言葉を使って非難しても、文章は何の説得力も持ちません。また、非難の矛先を最終的には文部省(=現文部科学省)に向けてしまった時点で、御破算です。親方日の丸に任せた結果が、現在の日本の教育制度でしょうが。

ゆとり教育の名のもと、学力低下が叫ばれている昨今の状況を考えると、詰め込み教育・丸暗記の時代の方が、明らかに学力はあったはず。それなのに、「思考力」という美辞麗句をもちだし、詰め込み型の教育を全否定するやり方はいかがなものか。基本的な事項を暗記し、論理的思考の土台となるものが無ければ、思考力は養えないはずです。


批判するだけなら誰にでもできます。もっと論理的で具体性をもった文章を、日本語でも英語でも書きたいものです。
コメント
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