受験生のバイブル 赤本
秋も深まりつつあり、いよいよ受験シーズン到来といった感じです。
この時期、「赤本(過去問)はいつ解き始めたらいいですか」という質問をよく受けます。
結論から言うと、「遅すぎる!まだ解いていないの?」
高3生には、受験勉強を本格的に始める前、つまり遅くても3年生になる直前の春休みまでには、第一志望の大学の1年分は解いておくように指示するのですが、それを実行に移す生徒は少ないのです。
なぜ、受験勉強を始める前に過去問を解くか?答えは簡単。志望校に合格するために、志望校の傾向を知り、その傾向にあわせた勉強方法を組み立てるためです。
極端な例を挙げると、慶應義塾大学経済学部では長文しか出題されません。それなのに、いつまでも文法問題演習中心の勉強をしてても、受かるものも受かりません。
そのように利用すべき過去問を、ほとんどの受験生が力試しとして、年が明けて入試直前に手をつけるのです。もし、正答率が低かったらどうするのでしょう(まあ、ほとんどがそうなるのですが・・・)。入試が直前に迫っているのに自信を失うだけです。
受験勉強を本格的に始める2年次の終わりぐらいに第一志望の過去問を解き、「1年後にはこの問題に対応できる力をつけよう」という決意のもと、出題傾向に沿った勉強方法を確立していくのです。
私は、浪人したときの4月中に第一志望である早稲田大学政治経済学部の3年分を解き、英語に関しては全て音読を完了していました。自分の母校となるべき大学で出題された英文。暗記してしまおうという意気込みで取り組んだのを覚えています。
「私の志望校の赤本は10月発売予定なのでどうしたらいいでしょう」という相談も受けます。しかし、様々な方法を使えば、一昨年度の過去問は手に入ります。大切なのはどのくらい本気で第一志望に合格したいかです。
私の赤本利用法は上記の用途だけにはとどまりません。現代文に関しては、解答・解説で出典まで明示されています。そこで、早稲田大学政治経済学部入学後は、その原書を購入し、読みあさったものです。
具体的には、森本哲郎『日本語 表と裏』、板坂元『日本人の論理構造』、佐伯啓思『時間の身振り学』、安楽庵策伝『醒睡笑』などを渉猟した覚えがあります。「早稲田政経の教授達はこういった本を読んで問題を作成するのか」と、真剣に考えました。
もはや、ここまで行くと学問探究です。
難関大学の過去問研究は、英検準1級以上の対策にも有効です。難関大学の英文は抽象度および専門性が高いため、英検準1級以上の筆記対策にはもってこいです。私も、大学卒業後英検1級を目指していたときは、早稲田大学・慶應義塾大学・東京大学・上智大学・青山学院大学といった英語難関大学の過去問を日課として解いていました。
このように、赤本は受験生のみならず、向学心の高い大人にも役立つと確信します。生涯教育が叫ばれる昨今、赤本の利用価値はますます高まっていると思うのです。