ある高3生から「英文が速く読めない。だから夏休みはセンターの過去問を時間を計って解き、速読力をつけたいのですが・・・」という相談がありました。
彼女の英語の偏差値は50~54です。このレベルの受験生は、長文を読むとなんとなく意味がつかめるが正答率は思わしくなく、解答時間もギリギリで解き終えている人が多いかと思います。よって、センターの過去問を解きまくることでスピードアップを図りたいところだと思うのですが、私の結論は「Emphatic "No!"」です。
私も彼女と同じレベルの時、同じ悩みを持ちました。しかし、速読力をつけるのに時間を計って解くのは、結局は今までと同じことの繰り返しです。出来ていないことを、同じやり方で繰り返す。野球で言えば、バッティングフォームが出来上がってないのに、バッティングセンターでかすりもしない150kmの球を打とうとバットを振り続けるのに似ています。
速読力をつけたいのは分かります。でも、ゆっくりやって出来ないことは、速くやっても出来ません。その人に現在の実力にもよりますが、この時期は、一題20分程度で解かなければいけない長文を、敢えて40分ぐらいかけ、一文一文の英文構造を意識して読むことが大切です。そして、文章同士のつながり、そして、段落同士のつながりを意識して読む訓練を時間をかけてすることです。読み終わったら全訳と照らし合わせて、英文構造を解釈し間違えていないかチェックし、単語熟語等も確認します。
そして、ここからが肝要。そのように時間をかけて読解した英文を
声に出して最低20回音読するのです。これで、英文読解の“型”が出来上がります。
上記のやり方で基本が固まれば、後は量をこなすだけ。スピードも自ずとついてくるのです。
私は、代々木ゼミナールで浪人した時、4月の最初の授業で宮尾慈良先生の長文読解の読み方に魅了されました。それは、長文の接続詞等に注目して英文全体を理解する読み方です。今でいうディスコース・マーカーとかパラグラフリーディングの走りだったのです。(当時はそのような用語は世間に知られていませんでした。)そして、宮尾先生の『宮尾の「アッと驚く長文読解ルール」』という参考書も買いましたが、結局のところ、英文一文一文の構造を瞬時に正しくとらえる力がなかったため、英文が読めた気になっただけでした。
↑懐かしい!
①しっかりと英文構造を捉えられる英語力をつける。
②時間をかけて解釈した長文を何度も声に出して音読する。
③過去問を解いて演習を積む。
この①→②→③のプロセスを踏むことで、英文を読むスピードは上がります。英語力は一朝一夕では身につきません。センター試験まで189日。今は慌てずに、足元をしっかりと固める勉強をしなければなりません。