GetUpEnglish

日常よく使われる英語表現を毎日紹介します。毎日日本時間の午前9時までに更新します。英文執筆・翻訳・構成・管理:上杉隼人

GetUpEnglishについて

毎日更新! GetUpEnglish Updates Every Day! Since April 1, 2006 (c) 2006-2024 Uesugi Hayato(上杉隼人)

It will inspire any reader weighing what it means to be human in a troubled world.

2022-12-14 08:31:51 | How to Be Human

『「普通」ってなんなのかな 自閉症の僕が案内するこの世界の歩き方』

ジョリー・フレミング リリック・ウィニック 上杉隼人 

が来年1月に発売になる。

https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163916538

ウォルター・アイザックソン(『スティーブ・ジョブズ』『コード・ブレーカー』著者)にも激賞の1冊、

「美しく、驚くべき若者による、美しく、驚くべき本だ。本書はあなたをインスパイアし、あなた自身と周りの人々の精神をより深く省みさせてくれるだろう」

本日のGetUpEnglishではそれ以外の推薦文も紹介したい。

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"This tremendous work should be savored; every clearly written chapter offers fresh insight into how to shape a life from the inchoate matter of consciousness. Fleming’s extraordinary journey will inspire any reader weighing what it means to be human in a troubled world." — Kirkus Review (starred review)

この大変な仕事を噛みしめてほしい。どの章も明確に書かれていて、意識したこともないことからどうやって人生を作り上げたらいいか、新鮮な見方が得られる。ジョリー・フレミングが歩んできた大変な人生を知れば、多難な世界で人間として生きるのはどういうことかよくわかる。

『カーカス・レビュー』

"How to Be Human is a profound and thought-provoking work that deepens our understanding of neurodiversity. The autism revolution has been fueled by the voices of “actually autistic” people sharing their experiences and self-reflections, and now, up steps Jory Fleming, who contributes a significant narrative to this burgeoning genre. Jory’s story is set apart by his unique ability to describe his cognitive-emotional processes and relationships in a manner that illuminates the gifts and challenges of being neurodivergent. By doing so, Jory invites each of us to contemplate the uniqueness of our own minds, leading to greater compassion, respect and appreciation for those whose humanity is grounded in a different, but equally authentic reality. A timely and important contribution." —Barry M. Prizant, Ph.D., author of Uniquely Human

『「普通」ってなんなのかな』は深くいろんなことを考えさせてくれるし、ニューロダイバーシティ(神経多様性)について幅広い知識を与えてくれる。自閉症の研究は、「実際に自閉症である」人たちが自身の経験や心の中で感じることを話してもらうことで、革命的発展が期待できる。研究進展が著しいこの分野で、ジョリー・フレミングが今貴重な話を聞かせてくれる。本書が際立っているのは、ジョリーはニューロダイバージェントであることの特権とむずかしさを明らかにしながら、彼自身の言葉で認知感情のプロセスと関係を説明していることだ。ジョリーの話を聞けば、わたしたちの心は一人ひとり異なると認識できる。人間性は異なるが、確かにいろんな人がいると、誰もが思いやりと敬意や感謝の気持ちを示すことができる。時代が求める重要な1冊。

バリー・M・プリザント(『自閉症 もうひとつの見方 「自分自身」になるために』著者)

"Two choices drive this narrative forward— the curious honesty of Jory Fleming, so remarkably willing to share his innermost thoughts, dreams, worries and challenges,  and the honest curiosity of Lyric Winik, who nudges forward the conversation with sensitivity and respect. What emerges from How To Be Human is a conversation about one autistic mind that ends up revealing much about the universal experience of being a person." — John Donvan, New York Times bestselling co-author with Caren Zucker of In a Different Key

本書はふたつの選択によって物語が進行する。ひとつはジョリー・フレミングの好奇心あふれる誠実さだ。これを通じて、ジョリーは心の奥深くにある思いや夢や不安や挑戦したいことを話してくれる。もうひとつはリリック・ウィニックの正直な好奇心だ。ウィニックは細心の注意と敬意を払いつつ、ジョリーとの対話を進める。『「普通」ってなんなのかな』でふたりはひとりの自閉症の人の心について語りあうことで、人間であるために最終的にどんな経験を積まなければならないか、はっきり示してくれる。

ジョン・ドンバン(『同じじゃない――自閉症の物語』著者)

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日本版のために、著者にオンラインインタビューを行い、本人の近況から、『自閉症の僕が飛びはねる理由』の東田直樹氏へのメッセージや、やまゆり園事件までを語る附章を特別収録。

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『桐生タイムス』の連載に書いたが、

https://blog.goo.ne.jp/getupenglish/e/ec35fd89e8a363dd6b5e04df54067a75

https://blog.goo.ne.jp/getupenglish/e/37713fd0fd05ca2966e7971cb0530991

日本版には著者ジョリー・インタビューにオンラインして附章としてまとめた。

https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163916538

障がい者を理解できるラブ&ケアの社会が実現できることを祈りつつ。

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「普通」ってなんなのかな 自閉症の僕が案内するこの世界の歩き方

2022-12-14 07:07:14 | How to Be Human

「普通」ってなんなのかな

自閉症の僕が案内するこの世界の歩き方

ジョリー・フレミング リリック・ウィニック 上杉隼人

定価:2,750円(税込)

発売日:2023年01月25日

ジャンル:ノンフィクション

https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163916538

作品紹介

ウォルター・アイザックソン(『スティーブ・ジョブズ』『コード・ブレーカー』著者)激賞!

「美しく、驚くべき若者による、美しく、驚くべき本だ。本書はあなたをインスパイアし、あなた自身と周りの人々の精神をより深く省みさせてくれるだろう」

ジョリーは自閉症。

ずっと、みんなとうまくやれなかった。

普通の小学校にも入れなかった。

でも彼は自分なりに世界と、人間と向き合った。

そして気づけば高校を卒業し、大学も出て、イギリスのオックスフォード大学院に進み、修士号を取って、研究者になった。

本書はそんなジョリー・フレミングが世界と人間をどう見て、どう考えて、どうつきあっているかを語る本だ。

「自閉症でない人が、自閉症について理解できるとは思えない。僕も、自閉症でない人たちのことがわからない。お互い一生懸命説明しても、『わからないよ』って肩をすくめるだけじゃないかな」

そう苦笑するジョリーは、立派な研究者になった今も、自閉症でない「普通」の人=「定型発達者」と同じ思考法をマスターしたわけではない。言葉の使い方は苦手だ。みんなの感情もよくわからない。毎日大変な苦労をしているし、周囲とうまくやっていくために精神エネルギーを使い果たしてしまうこともある。

だからジョリーは本書で自閉症の人たちを代弁しようとか、自閉症を克服できるようアドバイスしようとか、自閉症を一言で説明しようとか、そういうことはしていない。

ただ彼は、自閉症でない「普通」の人たちのためにつくられた世界で、自閉症の頭脳をもつ人がどうやって思考し、生きているのかを少しだけ見せてくれる。

われわれが「人間らしい」「普通」と思いこんでいる精神とちょっと違う精神や考え方がどんなものかをのぞかせてくれるのだ。

そこには意外な気づきや発見や、もしかしたらちょっとした救いがあるかもしれない。

われわれが行き詰まっているこの世界を軌道修正するための、ちょっとしたヒントもあるかもしれない。

ダイバーシティがあたりまえになった今だから読みたい一冊。

日本版のために、著者にオンラインインタビューを行い、本人の近況から、『自閉症の僕が飛びはねる理由』の東田直樹氏へのメッセージや、やまゆり園事件までを語る附章を特別収録。

商品情報

書名(カナ)       フツウッテナンナノカナ ジヘイショウノボクガアンナイスルコノセカイノアルキカタ

ページ数              296ページ

判型・造本・装丁              四六判 上製 上製カバー装

初版奥付日           2023年01月30日

ISBN      978-4-16-391653-8

Cコード 0098

著者

ジョリー・フレミング

リリック・ウィニック

上杉 隼人翻訳

https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163916538

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An Interview with Jory Fleming(2)

2022-07-17 08:09:15 | How to Be Human

 ジョリー・フレミング、リリック・ウィニック著『人間になる方法 自閉症の人生を生きる』(仮題)は文藝春秋より、2022年刊行予定だ。編集部の高橋夏樹さんのご指導のもと、ゲラ校正も始まった。

 日本語版には、ジョリーにインタビューして、1章書き足すことにした(第10章「日本語版特別記事『ジョリーは今』」)。

 https://blog.goo.ne.jp/getupenglish/c/be8609a439799c48ee0f0a12f603c06d

 インタビューではやさしく、力強いことをいくつも話してくれているが、特にこのむずかしい質問に対する返答に、強い感動を覚えた。

In July 2016, a terrible incident happened in Sagamihara, Kanagawa in this country. Nineteen people were killed and twenty-six others were injured, thirteen severely, at a care home for disabled people including people with autism.  The suspect was a 26-year-old man, a former employee of the care facility.  The criminal was sentenced to death in March 2020. We were overcome with profound sorrow and anger after hearing his terrible comments like “People with severe disabilities should be euthanized.,” “I did it for the sake of Japan and world peace.," and “killing them will decrease our misfortune.”

Although I know, just like us, how hard for you to accept the fact, it would be appreciated if you could comment on the horrible unacceptable incident. Your comments will help ease the victims and their families.

2016年7月、神奈川県相模原市でおそろしい事件が発生しました。 自閉症の人を含む障害者の介護施設で、19人が死亡し、26人が負傷し、13人が重傷を負ったのです。容疑者は26歳の男性で、この介護施設の元従業員でした。容疑者は2020年3月に死刑判決を受けました。わたしたちは容疑者の「意思疎通のとれない障害者は安楽死させるべきだ」「日本と世界平和のためにやった」「重複障害者が生きていくのは不幸だ。不幸を減らすためにやった」などというおそろしい発言の数々に、深い悲しみと怒りを覚えました。

わたしたちと同じように、ジョリーがこの事件が起こってしまったという事実を受け入れるのがどれほどむずしいかわかります。でも、この決して容認できないおそろしい事件について、何かコメントしていただけますでしょうか? ジョリーの言葉が犠牲者と家族の気持ちを和らげます。

 ジョリー・フレミング、リリック・ウィニック著『人間になる方法 自閉症の人生を生きる』(仮題)は文藝春秋より、2022年刊行予定。

 How to Be Human: An Autistic Man's Guide to Life

 By Jory Fleming With Lyric Winik

 https://www.simonandschuster.com/books/How-to-Be-Human/Jory-Fleming/9781501180507

 https://blog.goo.ne.jp/getupenglish/e/37713fd0fd05ca2966e7971cb0530991

 https://blog.goo.ne.jp/getupenglish/e/ec35fd89e8a363dd6b5e04df54067a75

 インタビューはその前にYouTubeでも公開する予定。

 https://www.youtube.com/channel/UCvTyZ_Qj2Uc-A8Q646ckU2Q

 

 

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An Interview with Jory Fleming(1)

2022-07-16 08:33:57 | How to Be Human

 重度の自閉症を抱えながら、ふたつの大きな奨学金を得て、オックスフォード大学大学院で修士課程も修了したJory Flemingさん。

 フレミングさんのこのすばらしい本を翻訳刊行できるという信じられない幸運にめぐまれた。

 How to Be Human: An Autistic Man's Guide to Life

 By Jory Fleming With Lyric Winik

 https://www.simonandschuster.com/books/How-to-Be-Human/Jory-Fleming/9781501180507

 訳了後、フレミングさんにいくつか聞いてみたいことがあって、文藝春秋の編集者を通じて、インタビューを依頼した。

 https://blog.goo.ne.jp/getupenglish/e/5821b2df6241ab7289edccb2deae53fc

 すると、すぐにインタビューに答えてくれると返事をもらい、先日インタビューを行うことができた。

 インタビューでは、次の質問を含めて、いろんなことを聞いている。

In Japan, we have Naoki Higashida, who is a person with autism, published books on him and his life. One of them, The Reason I Jump: The Inner Voice of a Thirteen-Year-Old Boy with Autism became a world bestseller thanks to Ireland based British writer David Michell’s superb translation. The world-famous author whose son also has autism decided to translate Higashida's book with his Japanese wife, because they wanted to know what their son is thinking and feeling. I believe both people with and without autism are always cured by words and life of people like Naoki Higashida and David Mitchell, just like you are doing with How to Be Human. I can say that there are many people who got a firm resolution or hope to live from your words and a way of life. Could you give us a comment on that?

 日本では東田直樹さんがいて、自閉症であるご自身の人生について本を書いています。その1冊『自閉症の僕が跳びはねる理由―会話のできない中学生がつづる内なる心』は、アイルランド在住のイギリス作家、デイヴィッド・ミッチェルのすぐれた翻訳により、世界的ベストセラーになりました。

 お子さんも自閉症で、この男の子が何を考え、感じているのかを知りたいと考えたミッチェルさんは、日本人の奥さんケイコ・ヨシダさんと一緒に東田さんの本を翻訳することにしました。

 自閉症である人だけでなく、定型発達者も、東田直樹さんやデイヴィッド・ミッチェルさんのような人たちの言葉や生き方に、まさにジョリーが『人間になる方法』(仮題)で話してくれているのと同じように、常に癒されています。

 あなたたちの言葉や生き方から、気持ちをしっかり持って生きていきたいと思う人はたくさんいます。それについてコメントいただけますか?

 この返答を含めて、ジョリーはインタビューでたくさん話してくれている。現在、音声お越しをしているが、ジョリーのやさしい、力強い言葉の数々に癒される。

 ジョリー・フレミング、リリック・ウィニック著『人間になる方法 自閉症の人生を生きる』(仮題、文藝春秋より、2022年刊行)には、このインタビューをもとに1章書き足す(第10章「日本版特別記事「ジョリーは今」)。 

 https://blog.goo.ne.jp/getupenglish/e/37713fd0fd05ca2966e7971cb0530991

 https://blog.goo.ne.jp/getupenglish/e/ec35fd89e8a363dd6b5e04df54067a75

 インタビューはその前にYouTubeでも公開する予定。

 https://www.youtube.com/channel/UCvTyZ_Qj2Uc-A8Q646ckU2Q

 明日のGetUpEnglishでも、ジョリー・フレミングさんのインタビューについて書いてみたい。

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Dear Mr. Fleming and Ms. Winik

2022-05-16 07:21:43 | How to Be Human

 重度の自閉症を抱えながら、ふたつの大きな奨学金を得て、オックスフォード大学大学院で修士課程も修了したJory Flemingさん。

 フレミングさんのこのすばらしい本を翻訳刊行できるという信じられない幸運にめぐまれた。

 How to Be Human: An Autistic Man's Guide to Life

 By Jory Fleming With Lyric Winik

 https://www.simonandschuster.com/books/How-to-Be-Human/Jory-Fleming/9781501180507

『桐生タイムス』のこちらの記事もご覧いただきたい。

 https://blog.goo.ne.jp/getupenglish/c/be8609a439799c48ee0f0a12f603c06d

 訳し終えて、どうしてもジョリーさんに聞いてみたいことがあって、この本を担当してくださっている文藝春秋のTさんとNさんを通じて、ジョリーさんに以下のメールを送ってもらった。

Dear Mr. Fleming and Ms. Winik,

 I am happy to inform you that I have already finished translating the text and forwarded my draft to the expert editors Mr. Shuniciro(Shun) Nagashima and Natsuki Takahashi at Bungei Shunju, which is one of the leading publishers in Japan.

 After having discussed with Shun and Natsuki in detail how to compile and market our translated book, I’d like to consult with you two matters. 

1. If possible, I would like to introduce both of you to your Japanese audience through a modern media tool. The interview would be uploaded to YouTube. My editors and I would like to use our interview in various media to draw our readers in.

 Here's an example of how I envision your interview:

 Daniel Wallace

 https://youtu.be/mv2-WficH_s

 William C. Rempel

 https://youtu.be/V809w-WpgeE

 Charlie Wetzel

 https://youtu.be/MLjgOSpda4w

 Matt Taddy

 https://youtu.be/Nky7ZeCU72A

 Ben Lewis

 https://youtu.be/twcSPSvkXWA

 もうひとつお願いしたいことがあるのだが、その詳細は後日お知らせする。

 そして本日、ジョリーさんからインタビューを受けますというメールをいただいた!

 すっごくうれしい!

 すごく緊張するでしょうけど、絶対いいお話が聞けると思う。がんばります!

 

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How to Be Human: An Autistic Man's Guide to Life(4)

2022-02-13 08:41:39 | How to Be Human

 重度の自閉症を抱えながら、ふたつの大きな奨学金を得て、オックスフォード大学大学院で修士課程も修了したJory Flemingさん。

 フレミングさんのこのすばらしい本を昨年からずっと読んでいる。

 How to Be Human: An Autistic Man's Guide to Life

 By Jory Fleming With Lyric Winik

 https://www.simonandschuster.com/books/How-to-Be-Human/Jory-Fleming/9781501180507

 本日のGetUpEnglishもジョリーさんの言葉を紹介する。

 ジョリーの話の前に、Lyric Winikさんのイントロが効果的に挟まれる。

A key component in how Jory interacts with the world is through personality. But he views personality in a very different way from most neurotypical people. Most people tend to view personality as something innate, which we are largely born with. Jory, however, views personality as a choice.

 He describes it as a feature that he has worked to construct internally, in order to relate better to the neurotypical people around him. His personality of choice may surprise you. He has chosen Ruthless Optimism.

 世界と接する上での重要要素は、ジョリーの場合、個性を通じてもたらされる。だが、彼の個性に対する見方は、多くの定型健常者の見方と異なる。個性は生まれつき備わっていると思う者がほとんどだが、個性は選ぶことができるとジョリーは考えているのだ。

 周りの定型発達者とよりよい関係を築くために、内部で構築しようとしたことが自分の個性に現れているとジョリーは言う。そのようにして彼が選択した個性に、読者は驚くかもしれない。ジョリーは「徹底的に楽観主義でいく」ことを選んだのだ。

 このRuthless Optimismについて、ジョリーが話してくれる。以下、翻訳で紹介する。

ジョリー ほとんどの人の自己アイデンティティは、周りの環境と文化によって構成要素が形成されます。人が世界を形作るように、物事が人を形成します。でも、僕の場合、そうじゃない。何もかもつながっていないんです。僕の世界に対する反応は僕の知性が考えて調整するけど、世界と交流する場合はまったくうまいかない。だって、世界が僕の知性が考えるように設定されてないんだから。でも、世界が僕を迎え入れるようにできてないなら、ぼくはなんでもしたいことをしていいということにもなるかな?

どのように生きるか? それについては僕の知性がどう判断するかによって決めています。僕を表現するには徹底的に楽観主義を取るのがいいと思っています。

多くの人はそれはおかしな生き方だと思うかもしれない。いつもそうだけど、障がいのある多くの人たちはやっぱり肉体的に苦しい状況に置かれてしまうだろうから。僕はそれと正反対の立場をとることにしたんです。変だと思われちゃうかもしれないけど、常に陽気でいようとしているんです。でも、僕の知性がそう判断したんです。僕らはみんないつまでも生きられるわけでじゃないし、特に僕の人生は限られている。そんな中、どこまでも楽観主義でいることで、すごくうまくいっています。

僕は陽気で、まったく「ストレスがない」ように見えるとみんなに言われるかもしれない。でも、人の人格や性格は感情にすごくかかわると思う。僕は特に感情を出すことはないし、出したとしてもほとんどまれで、抑えることもできるから、人格や性格を変えるんです。いつでもそれができるようにしています。こんなふうに説明すると、なんだか嘘くさく聞こえて、おかしなふうに思われてしまうこともわかっている。でも、ほかの人は人格や性格を最初から持っているけど、僕はそれを作らないといけない。もともと僕はドライで、動揺することはないし、頭を使うタイプだと思う。でも、特に友達なんかといると、楽しく、陽気にすごせる。だからだいたいいつも笑ってるじゃないかな。脳がいつも笑うように伝えるのです。外に行くのが好きで、ユーモアもしゃれもうまく言えない。人前まで話す人格があって、話しているとみんなが話を聞いてくれる。マスクをかぶっているみたい。だって、それは本当の僕じゃないから。マスクをかぶってるんだ。

 ジョリーさんの言葉はどこまでもやさしいし、あらゆる人に元気を与えてくれる。

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How to Be Human: An Autistic Man's Guide to Life(3)

2022-02-05 08:16:01 | How to Be Human

 重度の自閉症を抱えながら、ふたつの大きな奨学金を得て、現在はオックスフォード大学大学院で学ぶJory Flemingさん。

 フレミングさんのこのすばらしい本を昨年からずっと読んでいる。

 How to Be Human: An Autistic Man's Guide to Life

 By Jory Fleming With Lyric Winik

 https://www.simonandschuster.com/books/How-to-Be-Human/Jory-Fleming/9781501180507

 ジョリー・フレミングさんの言葉はいつもやさしい。

Jory does not experience “hurt feelings” in the traditional way most neurotypical people do. He discusses what happens when other people make cutting or hurtful remarks to him and his responses.

ジョリーはいわゆる定型発達者の「心の痛み」というものは感じない。自分や自分の反応に対して辛辣で身を切られるような言い方をされたらどうか、ジョリーは話してくれる。

JORY: What stops someone with autism, like me, is stimuli—the number of people, noise, lighting and so on. But if somebody tries to stop me from doing something by hurting my feelings or making me feel bad, I keep powering through. It’s not because I feel those hurts and then ignore them or shunt them away or overcome them. They are just not there.

ジョリー 何が僕のような自閉症の人たちを苦しめるかと言えば、人がたくさんいることであり、音や光などです。でも、僕の気持ちを傷つけたり気分を悪くしたりするようなことを言って僕を苦しめようとしても、全然堪えないんじゃないかな。そんな言葉に痛みを感じて、それを無視したり、脇にやったり、踏みつぶしたりするからじゃない。そうした痛みは最初から存在しないから。

 以下、翻訳で紹介する。

オックスフォードのある授業で、省エネルギーについてディスカッションしました。僕は医療器具を使っているし、それらがどれだけエネルギーを消費するか強い関心があるから、エネルギー税は一律であるべきだと発言しました。すると、ひとりの学生が明らかに僕の考えは取るに値にしないというようなことを言ったみたいです。次の週、みんなに「ねえ、大丈夫?」みたいなことを言ってもらったけど、何のことかわからなかった。その学生の言ったことが問題であると僕は認識しなかったんです。

ノースキャロライナ大学にいた時、動物保護に関心があるらしい男性が近づいてきて、補助犬は動物への残虐行為の一形態と見なされるから、僕の補助犬は奴隷のように使われるべきではないと言いました。かなり強い口調で、僕の補助犬デイジーはここにいたくないはずだ、家に置いてきたほうがずっとうれしいだろうと言い出したのです。僕はその人と話をするつもりでしたが、その人はなぜか急いでその場から離れていきました。人と話すことには興味がなかったようです。僕は「いや、それは間違っています。デイジーはここに僕といたいのです。もし家に置いてきてしまえば、すごく悲しくなります」と言おうとしました。

周りにたくさん人がいたと思うけど、みんなその人の言葉を恐ろしく思ったんじゃないかな。僕は教室に向かって歩いていたけど、みんな僕はすごいショックを受けて、逃げ出そうとしていると思ったかも。でも、僕はショックも受けなかったし、逃げ出そうとも思わなかった。ただ、その人にこんなふうに言いたかった。ああ、それはとても失礼な言い方ですね。

侮辱されたりひどいことを言われたりしても、僕はまったく反応しなかったと思う。何の効果もないから。僕がそれを重要だと思わなかったからじゃない。それが僕にとって重要じゃなかったんです。

もしデイジーに対して今そんなことを言われたら、たぶんこう答えるんじゃないかな。

「障がいのある人に対してそんな言い方は許されません。僕は構わないけど、僕以外の補助犬を連れている人に対してそんなこと言うべきじゃない。そんな言い方をされたら、その人たちはその週ずっと悲しい思いをしなくちゃいけない」

 特に声の感じと言い方に注意したいですね。あとになってほかの人たちと話してみて、その大切さがわかりました。僕には影響ないかもしれませんけど、ほかの人たちは心がくじかれてしまうかもしれないから。

 ジョリーさんの言葉はどこまでもやさしい。

 ジョリーさんのHow to Be Human: An Autistic Man's Guide to Life, 早めに刊行したい。

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How to Be Human: An Autistic Man's Guide to Life(2)

2022-01-15 08:01:41 | How to Be Human

 重度の自閉症を抱えながら、ふたつの大きな奨学金を得て、現在はオックスフォード大学大学院で学ぶJory Flemingさん。

 フレミングさんのこのすばらしい本を昨年からずっと読んでいる。

 How to Be Human: An Autistic Man's Guide to Life

 By Jory Fleming With Lyric Winik

 https://www.simonandschuster.com/books/How-to-Be-Human/Jory-Fleming/9781501180507

 この本はリリック・ウィニックさんとの対話でつづられている。

 自閉症の中でもサヴァン症候群の人たちは音楽や美術や数学でものすごい才能を発揮することがあるし、それによって世間に広く認められて、称賛されることもある。

 だが、この本がすごいのは、ジョリー・フレミングさんがサヴァン症候群でない自閉症の人たちも同じように生きる価値はあるし、自分たちは何かできるし、定型発達者とともに何かしたいと思っているということを、以下のように自分の言葉で伝えていることだ。

LW: How do you perceive autism in terms of both yourself as an individual and in terms of the larger stereotypes that exist?

JORY: Finishing college and going to Oxford brought me to a realization that I’m not ever going to let myself be defined by other people because I have autism or any other disability. It’s not arrogant to me. I already know who I am. It’s just, you don’t understand some things about me in the same way that I don’t understand things about you. But that also doesn’t mean that we can’t have a shared vision or act collectively toward a goal.

リリック ジョリー個人の考えのほかに、自閉症に対する固定化されたイメージが広く存在すると思うけど、このふたつの観点から自閉症をどのようにとらえている?

ジョリー ノースカロライナ大学を卒業して、オックスフォードの大学院に進学することになった時、僕は自閉症で、ほかの障がいもあるからといって、僕はこうだとほかの人たちに決めつけられないようにしようと思いました。傲慢ではないと思うんです。僕は自分が誰か最初からわかっている。僕が僕はこうだと決めつける人を知らないのと同じように、その人だって僕について知らないことはある。でも、だからと言って、僕たちが同じヴィジョンを持つことができないと言いたいわけじゃないし、団結して同じ目標に向かって突き進むことができないと言うつもりもない。

It’s a good thing to recognize people for their talents, and I definitely think that in many cases the people called autistic savants are amazing by any measure at what they do—piano or math or whatever it is. That’s something unique and really nice to value. I feel like as long as it doesn’t become “Oh, this autistic person isn’t a savant, therefore they’re less valuable,” it’s fine.

才能がある人を認めるのはいいことだと思う。自閉症でもサヴァン症候群の人たちの中には、ピアノや数学なんかで驚くべき才能を発揮する人たちがたくさんいるから。すごいことだし、評価に値します。「ああ、この自閉症の人はサヴァンじゃないねね、だから生きる価値はないよ」なんてことにならない限り、問題ないと思う。

I’m not at an extra level in any one particular thing like that. But that doesn’t mean that I think of myself as having a less talented version of autism or I’m not as smart, right?

僕は何かそんな特別な才能があるわけじゃない。でも、だからといって、自分が才能のない自閉症だなんて思わないし、それほど頭が悪いとも思わない。 

But “autistic savant” has an almost positive stereotype associated with it. People are witnessing something so magical that the benefits outweigh the differences, whereas when they see other people with autism, they focus on the differences and not the benefits. They don’t see them as easily or maybe don’t consider them to be beneficial.

でも、自閉症でもサヴァン症候群の人たちは、大体肯定的に受けとめられる。サヴァン症候群の人たちの魔法のような才能を目にすると、みんなひたすらすごいと思ってしまい、サヴァンの人たちはほかの自閉症の人たちとは違うということがわからなくなってしまうから。一方でほかの自閉症の人たちを見ると、サヴァンの人たちとの違いばかりが目についてしまう。サヴァンではない自閉症の人たちを普通に見ることができないか、あるいはその人たちの存在価値を考えることができないのかもしれない。

 今までなかった本だと思うし、本書を読んでいただくことで、われわれも考え方が変えられると思う。

 今年早いうちに刊行したい。

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HOW TO BE HUMAN(1)

2022-01-01 08:54:48 | How to Be Human

 重度の自閉症を抱えながら、ふたつの大きな奨学金を得て、現在はオックスフォード大学大学院で学ぶJory Flemingさん。

 フレミングさんのこのすばらしい本を昨年からずっと読んでいる。

 How to Be Human: An Autistic Man's Guide to Life

 By Jory Fleming With Lyric Winik

 https://www.simonandschuster.com/books/How-to-Be-Human/Jory-Fleming/9781501180507

 こんな言い方があった。

 2022年最初のGetUpEnglishは本書の一部を紹介する。

Given that Jory doesn't like language and his brain is not wired for words, how did he develop his language skills? The answer is years of speech therapy and practice. But,s we discussed, using language and being comfortable with using language are two very different things. Fundamental to Jory’s communication with the outside world is his translation process, taking the concepts embedded in his “Jory’s beads" and trying to put them into words that can be understood by everyone else around him. His facility with languages also directly linked to his environment and his amount of mental energy.

 ジョリーは言葉を使うのが好きではなく、一つひとつの語に脳が結びついていることもないとすれば、どうやって言葉を使えるようになったのだろう? 何年も言語セラピーを受けて、訓練を積んだからだ。だが、すでに話した通り、言葉を使うことと、言葉を使って気持ちよくなることは、まったく別のことだ。ジョリーが外の世界とコミュニケーションをはかる上でまずしなければならないのは、イメージを言葉に置き換えることだ。すなわち、「ジョリーのビーズ」に埋め込まれた概念を取り込み、周りの者が全員理解できる言葉に置き換えるのだ。ジョリーがうまく言葉を使えるかどうかも、周りの状況および自身の精神エネルギー量に直接関連する。

 facilityは「容易さ、器用さ」であるが、「名詞」→「名詞」対応で日本語にすると日本語が硬くなることがよくあるので、「言葉をうまくつかえるかどうかは…」くらいに動詞の言い方で「品詞転換」して訳してもいいだろう。ただ、注意しなければいけないのは、語数はなるべく抑えて、説明的な言い方にしないことだ。すると英語は自然なのだが、日本語がやや情報過多で重い印象を与えてしまうことになる。

 自閉症の人の脳がどのように言われたことをとらえ、言語化するか、ずっとわからなかった。だが、フレミングさんは自分の脳の動きを自分の言葉で説明しているのだ。これは非常に画期的なことだ。

 本書にも繰り返し書かれているが、フレミングさんが定型発達者と特に問題なく会話ができるようになったのはフレミングさんがものすごく努力をしたからであり、周りの人たちがそれを温かく支えたからだ。

 そんなフレミングさんの言葉を通じて自閉症の人たちが思っていること、見ていることを理解することで、われわれの自閉症の人たちに対する見方は変わるだろし、そうすればこの人たちの世界も変えることができるはずだ。それによって、わたしたちが共に生活するこの世界も変わる。

 本書に書かれているジョリー・フレミングさんの一言一言が胸に響く。

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