今月の「永遠の英語学習者の仕事録」では、プレスリリース文とその英訳を通じて、この魅力的なキットをご紹介する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000809.000012754.html
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/fd/62075074d12d71c7f2b606a270ceb6d2.png)
【「ハリー‧ポッターシリーズ」日本語版刊行から25周 年!】家のキッチンが魔法の空間に。『ハリー‧ポッター公 式 魔法のカエルチョコレートキット』、2025年2月発売。数量限定。
[25th Anniversary of the Japanese Publication of the Harry Potter Series!]
Transform your kitchen into a magical space with the Harry Potter Official Magical Chocolate Frog Kit, scheduled for release in February 2025. Limited quantities available.
映画「ハリー‧ポッターシリーズ」でもおなじみの、人気のカエルチョコレートが簡単に作れるファン待望、夢のキット!
The dream kit that lets you make those iconic Chocolate Frogs from the Harry Potter films is almost here!
ハリー‧ポッターファンならだれもが知る「カエルチョコレート」が家で作れる夢のキット『ハリー‧ポッター公式 魔法のカエルチョコレートキット』かが誕生します。美しい包装箱からカエルの造形、付録の魔法使いカードまで、映画に登場するものとまったく同じ、ファン待望のオフィシャルキットです。
Introducing the Harry Potter Official Magical Chocolate Frog Kit, a dream kit that lets all Harry Potter fans make the iconic "Chocolate Frogs" at home. From the beautiful packaging to the silicone frog mold and lenticular wizard cards, this long-awaited official kit replicates exactly what appears in the movies.
カエルチョコレートは、記念すべきシリーズ第1作『ハリー・ポッターと賢者の石』で、主人公のハリーがホグワーツ魔法魔術学校に向かう電車のなかで食べるチョコレートであり、とても有名なお菓子です。物語ではボックスを開けた途端に、チョコでできたカエルは跳んで逃げ去ってしまいます。
The Chocolate Frog is a famous treat that first appears in the memorable Harry Potter and the Philosopher's Stone, the first book of the series. It’s the magical chocolate that Harry eats on the train to Hogwarts School of Witchcraft and Wizardry. In the story, the chocolate frog leaps from its box and escapes as soon as Harry opens it.
本キットでは、映画版の「カエルチョコレート」を忠実に再現。映画でおなじみのカエルチョコレートが作れるシリコン製の安全な流し型に、できあがったチョコレートを入れるギフトボックスと「動く魔法使いカード」をセットにしました。最高に仕上げるための作り方を記したレシピブックもついていますので、誰でも簡単にハリー・ポッターに登場する魔法のカエルチョコレートを作ることができます。This kit faithfully recreates the "Chocolate Frogs" from the movie. It includes a safe silicone mold to make the Chocolate Frogs seen in the film, foil gift boxes to hold the finished chocolates, and “3D lenticular wizard cards.” With the included recipe book detailing how to make them perfectly, anyone can easily create the magical Chocolate Frogs that appear in Harry Potter.
カエルチョコレートは、洗ったシリコン製の型に溶かしたチョコレートを流し込み、固めるだけでできあがります。簡単に組み立てることができるおしゃれなギフトボックスも8箱入っています。映画に登場するものとまったく同じデザインのギフトボックスにできあがったカエルチョコレートと「動く魔法使いカード」を入れれば、ハリー・ポッター・ファンへの素敵なプレゼントが完成です。
To make the Chocolate Frogs, simply pour melted chocolate into the washed silicone mold and let it set. The kit also includes eight stylish, easy-to-assemble foil gift boxes. Place the finished Chocolate Frogs and “3D lenticular wizard cards” into the gift boxes, which are designed to look exactly like those in the movie, and you’ll have the perfect gift for any Harry Potter fan.
■キット内容
★シリコン製のカエルの形をしたチョコレートの安全な流し型
★詳細な作り方&アレンジレシピも入ったレシピブック(12頁)
★簡単に組み立てられるおしゃれなギフトボックス(8箱)&「動く」魔法使いカード(8枚/3D)
*本製品は日本の食品衛生法の基準をクリアしています。 主素材/シリコン
*チョコレートは付属していません。
■ Kit Contents
★ Safe silicone mold to create frog-shaped chocolates
★ Recipe book (12 pages) with detailed instructions and creative variations
★ Eight stylish, easy-to-assemble foil gift boxes
★ Eight “3D lenticular wizard cards”
This product meets Japanese food safety standards.
Main material: Silicone
Chocolate is not included.
今年、2024年はJ・K・ローリングによるシリーズ第1作『ハリー・ポッターと賢者の石』の日本語版刊行(1999年12月刊)からちょうど25周年の節目。全7巻まで刊行された「ハリー・ポッター」シリーズは、誰もが知る子ども向けの、大人気ファンタジー小説です。シリーズ累計発行部数は、世界では6億部、日本では3000万部以上と言われています。
■ The Beloved Harry Potter Series!
This year, 2024, marks the 25th anniversary of the Japanese publication of Harry Potter and the Sorcerer’s Stone, first released in Japan in December 1999. J.K. Rowling’s beloved seven-book series has become a global phenomenon, captivating readers of all ages with its magical world and unforgettable characters. With over 600 million copies sold worldwide and over 30 million in Japan alone, the Harry Potter series continues to enchant readers around the globe.
また、「ハリー・ポッター」シリーズは2001年より映画化も進み8作が公開。さらに、2016年よりスピンオフ作品の「ファンタスティック・ビースト」シリーズも3作が続いて映画化。これらは総称して「魔法ワールド」シリーズと呼ばれており、2018年の段階で全世界累計興行収入が1兆円を突破したと発表されています。
Beginning in 2001, the Harry Potter series was also adapted into a wildly successful film franchise, with eight movies released in total. Since 2016, the magical world has expanded even further with three spin-off films in the “Fantastic Beasts” series. Collectively known as the Wizarding World franchise, these films surpassed 1 trillion yen in global box office revenue by 2018.
(https://wwws.warnerbros.co.jp/fantasticbeasts/2/news/1207_01.html)
小説や映画以外でも「ハリー・ポッター」は抜群の人気を博しており、2023年6月には、アジア初、世界では2番目となるスタジオツアー施設「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 – メイキング・オブ・ハリー・ポッター」がとしまえん跡地に開業。また、2022年7月からスタートした日本版の舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』は、現在も無期限ロングラン上演中で総観客数は100万人を突破するなど、日本でもますます人気・知名度ともに高まっています。
The magic of Harry Potter extends far beyond the novels and films. In June 2023, “Warner Bros. Studio Tour Tokyo – The Making of Harry Potter” opened on the former site of Toshimaen amusement park, becoming the first Harry Potter studio tour in Asia and only the second in the world. The magic continues on stage with the Japanese production of Harry Potter and the Cursed Child. Since its debut in July 2022, the play has captivated audiences, surpassing one million attendees during its ongoing run. Clearly, the popularity of Harry Potter in Japan shows no signs of slowing down.
河出書房新社のご厚意により、この魅力的なキットを本紙読者にプレゼントする(詳細は後日、本紙でお知らせします)。バレンタインデーにぴったりの1冊。奮って応募ください!
ハリー・ポッター公式 魔法のカエルチョコレートキット
インサイト・エディションズ[編]、上杉隼人[訳]
出版社:河出書房新社
上杉隼人(うえすぎはやと)
編集者、翻訳者(英日、日英)、英文ライター・インタビュアー、英語・翻訳講師。桐生高校卒業、早稲田大学教育学部英語英文学科卒業、同専攻科(現在の大学院の前身)修了。訳書にマーク・トウェーン『ハックルベリー・フィンの冒険』(上・下、講談社)、ジョリー・フレミング『「普通」ってなんなのかな 自閉症の僕が案内するこの世界の歩き方』(文芸春秋)など多数。2025年には日英翻訳をあわせて翻訳書数は100以上になる予定。
2024年もムスタファ・スレイマン『THE COMING WAVE AIを封じ込めよ DeepMind創業者の警告』(日経BP/日本経済新聞出版、「永遠の英語学習者の仕事録」第42回、43回[2024年9月、10月]で紹介)、マシュー・ラインハートほか『ディズニーランド・パーク ポップアップ・パークツアー』(河出書房新社、同第44回[2024年11月]で紹介)などの話題書を翻訳刊行することができた。
本年最後の「英語学習者の仕事録」では、2025年の刊行予定翻訳書を紹介したい。
25th Anniversary of the Japanese Publication of the Harry Potter Series!
Harry Potter Official Magical Chocolate Frog Kit
映画でもおなじみの人気のカエルチョコレートが簡単に作れる
ファン待望、夢のキット!
The dream kit that lets you make those iconic Chocolate Frogs from the Harry Potter films is almost here!
この出版物の内容は以下のサイトにくわしくまとめられている。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000809.000012754.html
ハリー・ポッターファンの待望のキットで、B4変型判セット箱に、シリコン製カエルチョコレート流し型、ギフトボックス8箱、動く魔法使いカード8枚のほか、12頁レシピブックが収録される。
発売前にもかかわらず、オンライン書店のデザート・スイーツ部門で第1位にランキングされた。
3月には、ウォルト・ディズニー・ジャパン『Marvel Anatomy 超人ヒーロー解体図鑑』(KADOKAWA)を刊行予定。こちらは本欄第35回(2024年2月)で紹介した。
絵本の翻訳は本当に久しぶりなので、とても楽しみだ。
大変な情報量で、訳者の詳細な注や索引も加えるので、おそらく800ページはいってしまうだろうが、マーベルとアメリカン・コミックスのすべてがわかる1冊になると思う。著者にインタビューして、新しい情報も聞き出したい。
同じく4月か5月頃に建築家のフランク・ロイド・ライトが書き残した浮世絵の随筆集を翻訳刊行する。1世紀以上前に書かれた随筆を含めて本邦初訳の歴史的にも非常な重要な1冊になる。
★ ★ ★
そのほか、まだ情報は公開できないが、以下の3冊も刊行予定だ。
3月には、2023年のブッカー賞候補になった女流作家の小説を刊行する。主人公は娘を持つ自閉スペクトラム症(ASD)の女性で、彼女の心の声が美しい文章でつづられる。1月からゲラ校正が始まる。自身も自閉スペクトラム症である著者に、ぜひインタビューしたい。
マーベル社刊行のスパイダーマンの小説も2冊(5月、7月刊行予定)予定している。どちらも分厚いので上下巻になるかもしれない。この2冊以外はすべて訳稿を担当編集者に提出しているので、こちらも早めに訳了したい。大変うれしいことに、わたしの担当編集者は皆さん優秀で、非常に親切に対応してくれる。
以上、今のところ、2025年前半に9冊の英日翻訳書を刊行予定だ。
さらに日本映画の脚本と字幕の英訳も担当する予定。海外向けの各種メディアのPRリリースの英訳もできる限り対応したい。
★ ★ ★
私はそのころ太陽というものに生命を感じていた。私はふりそそぐ陽射しの中に無数の光りかがやく泡、エーテルの波を見ることができたものだ。私は青空と光を眺めるだけで、もう幸福であった。麦畑を渡る風と光の香気の中で、私は至高の歓喜を感じていた。(坂口安吾「風と光と二十の私と」)
四十歳の坂口安吾は二十歳の自分を回想してこの言葉を残しているが、2025年10月に還暦を迎えるわたしは、「英文を眺めて英語の音声を聞くだけで、もう幸福だ。英語を読んで、聞いて、書いて、話していると、至高の歓喜を感じる」。
いくつになっても、「永遠の英語学習者」でありたい。
上杉隼人(うえすぎはやと)
編集者、翻訳者(英日、日英)、英文ライター・インタビュアー、英語・翻訳講師。桐生高校卒業、早稲田大学教育学部英語英文学科卒業、同専攻科(現在の大学院の前身)修了。訳書にマーク・トウェーン『ハックルベリー・フィンの冒険』(上・下、講談社)、ジョリー・フレミング『「普通」ってなんなのかな 自閉症の僕が案内するこの世界の歩き方』(文芸春秋)など多数。2025年には日英翻訳をあわせて翻訳書数は100以上になる予定。
ディズニーランド・パーク ポップアップ・パークツアー
Disneyland: Pop-Up Park Tour
「夢と魔法の世界」があなたの家にやってくる!
"World of Dreams and Magic" is now at your fingertips!
今月の「永遠の英語学習者の仕事録」は、前回、前々回のムスタファ・スレイマン『THE COMING WAVE AIを封じ込めよ DeepMind創業者の警告』で論じたシリアスなテーマから大きく変わり、夢と希望があふれる『ディズニーランド・パーク ポップアップ・パークツアー』をご紹介する。
★ ★ ★
12月3日、河出書房新社から、『ディズニーランド・パーク ポップアップ・パークツアー』がついに発売される。
これは驚くべき1冊だ。海外印刷だったので、翻訳、編集作業は5月くらいに終了したが、そこから河出書房新社のイカしたプロモーションチームと、PR動画など、魅力的なセールスツール制作を精力的に進めた。
これはディズニー公式製品であるため、日本語版制作にあたっては、原書にはない注などを入れた場合、すべて英語にして許可をとらなければならないし、プロモーション素材についても同様のことが求められる。
まだ発売前で本書についている豪華ブックレットの内容はご紹介できないので、本欄ではPR動画やチラシに使った宣伝文を英訳とともに紹介する。
PR動画は、河出書房新社のプロモーションチームが、信じられないような魅力的なものを作り上げてくれた。ぜひこちらをご覧いただきたい。
https://www.youtube.com/shorts/cIOuXqdsdBU
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7b/e2/1a5346dd4e1a337482cdbd2a7686118d.png)
最近の販売戦略では、スマートフォンに対応した動画を作るのが効果的なので、今回は縦型のShort動画を制作した。最初から、
ディズニーランド・パーク開園70周年!
と実に魅力的な言葉が目に飛び込んでくるが、こちらは
Celebrating 70 magical years of Disneyland in California!
といった英語で表現すればよい。そうだ、ウォルト・ディズニー(1901-1966)がカリフォルニアのアナハイムに世界初のディズニー・テーマパークを開園したのは1955年7月17日で、2025年に開園70周年を迎えるのだ。
以下、動画に流れる文字を英訳とともに紹介する。あわせてPR動画もぜひご覧いただきたい。
カリフォルニア、ディズニーランド・パークを立体的に再現!
Experience a stunningly realistic 3D pop-up recreation of California's iconic Disneyland Park with the Disneyland: Pop-Up Park Tour.
ウォルト・ディズニーの「夢と魔法の世界」があなたの家にやってくる!
Walt Disney's "World of Dreams and Magic" is now at your fingertips!
メインストリートUSA
アドベンチャーランド
ニューオリンズ・スクエア
クリッターカントリー
スターウォーズ:ギャラクシーズ・エッジ
フロンティアランド
ファンタジーランド
ミッキーのトゥーンタウン
トゥモローランド
Main Street USA
Adventureland
New Orleans Square
Critter Country
Star Wars: Galaxy's Edge
Frontierland
Fantasyland
Mickey's Toontown
Tomorrowland
ブックレット付き!
Includes a special booklet!
人気アトラクションの
興味深い歴史や
楽しいトリビア満載
Packed with fascinating histories and fun trivia about popular attractions.
この幸せな場所を訪れた
すべての人たちへ、ようこそ
――ウォルト・ディズニー
“To all who come to this happy place: Welcome.” —Walt Disney
初版限定生産
11月下旬発売!
Limited First Edition.
On sale in late November.
驚くほど精巧な
ポップアップ・ディスプレイ
本を開けば、そこはもう
ディズニーランド!
Stunningly realistic 3D pop-up display.
Open the book, and you’re already at Disneyland!
ディズニーランド・パーク
ポップアップ・パークツアー
Disneyland: Pop-Up Park Tour
本体価格7500円(税別)
2024年11月下旬発売
ご予約はお早めに!
Price: 8,250 yen (including tax) [7,500 yen base price]
Release Date: Late November 2024
Book now before it's too late!
河出書房新社
Kawade Shobo Shinsha Co., Ltd.
今回は英語オタクの余計は英語の講釈は不要だ。ぜひディズニーの夢あふれる1冊を心ゆくまでお楽しみいただきたい。(Enjoy this enchanting Disney book, filled with dreams and magic, to your heart's content!)
★ ★ ★
そしてなんと河出書房新社のご厚意により、この超豪華な1冊を本紙読者にプレゼントする(詳細は後日、本紙でお知らせします)。クリスマスにぴったりの1冊。奮って応募ください!
『ディズニーランド・パーク ポップアップ・パークツアー』(マシュー・ラインハート[作]、上杉隼人[訳]、チャーリー・プライス[文]、ルイ・リカルド[イラスト]、)
河出書房新社
上杉隼人(うえすぎはやと)
編集者、翻訳者(英日、日英)、英文ライター・インタビュアー、英語・翻訳講師。桐生高校卒業、早稲田大学教育学部英語英文学科卒業、同専攻科(現在の大学院の前身)修了。訳書にマーク・トウェーン『ハックルベリー・フィンの冒険』(上・下、講談社)、ジョリー・フレミング『「普通」ってなんなのかな 自閉症の僕が案内するこの世界の歩き方』、ムスタファ・スレイマン『THE COMING WAVE AIを封じ込めよ DeepMind創業者の警告』(日経BP/日本経済新聞出版)多数(日英翻訳をあわせて90冊以上)。
来年2025年には3月に『Marvel Anatomy 超人ヒーロー解体図鑑』(KADOKAWA)のほか、現時点で7冊の刊行が予定されている。
編集者としても翻訳者としてもすでに30年以上近く仕事をしているし、翻訳者としては翻訳書出版点数が100冊を超えつつあるが(名前も出ていないものも数えればすでに超えている)、代表作にはならなかったかもしれないが、忘れがたい本、忘れがたい仕事がある。
今月の「永遠の英語学習者の仕事録」は、その1冊を紹介したい。
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To all of you who have known and loved Bob,
I am terribly sad to say that Bob left us Saturday morning.
He was a great source of love, comfort and laughs to many of us.
He should serve as a powerful remainder to us all that wounded hearts can, and do, heal.
ボブと知り合って、彼を愛してくれたすべてのひとたちへ。
すごく悲しい報告をしなければならないけど、土曜日の朝、ボブはぼくらのもとを離れていった。
ボブはぼくらみんなにとてもやさしくしてくれたし、安らぎや笑いもたくさん与えてくれた。
ボブは、傷ついた心も、いつかかならず癒えるよ、ということをいつもぼくらに強く思い出させてくれる。
[訳者注]wounded hearts can, and do, healは、wounded hearts can heal and do healで、「傷ついた心も癒えるし、実際そうなる」ということだが、「いつかかならず癒える」で、その意味が出る。
トム・コーウィンの『ぼくのだいじなボブ』は、講談社から2007年に刊行された。
隣の家で飼われているゴールデンレトリーバーがひどい扱いを受けているのを見て、「ぼく」(コーウィン)は心を痛めていたが、ある日その犬「ボブ」が家の庭にやってきた。
そこからぼくとボブの友情が始まる。「生まれてから誰にも愛されたことのない犬」ボブは、初めてぼくに心から愛されて、ぼくと楽しい日々を過ごす。
隣の家の飼い主に隠れて、ぼくはボブと一緒に家で過ごしたり、どこかに出かけたりするようになる。
ぼくはボブと離れられなくなり、意を決して隣人の飼い主に、ボブを引き取りたい、と伝える。
「マーク、レッドのことで話がしたいんだ」(ボブはじつはレッドという名前だった)
(……)
それに対して、マークは
「ああ、トム、ぼくはもう1年前にわかっていたよ。レッドは君の犬になるって決めたんだよ」
だが、楽しいことには必ず終わりがある。
I lay on the floor with Bob and cuddled him for over an hour
and then I held him as he left his beautiful body.
What mattered most was for him to feel the depth of my love until the last second of his life.
I know he did
- I still feel his.
ぼくは床の上にボブと横になって、そのからだを長いことなでていた。
そしてボブがその美しいからだから離れていくときは、彼をしっかり抱きしめた。
ボブが何より望んでいたのは、自分はほんとうに最後の最後の瞬間までぼくにすごく愛されていた、と感じられることだったろう。
ボブはそう感じてくれたと思う。
――ぼくはまだボブのからだのぬくもりを感じるから。
[訳者注]I still feel his.のhisはhe(Bob)の所有代名詞でhis life(彼の生命)を意味するので、「彼がまだ生きている」状態を示す日本語を充てるのがよい。
これは本当にあった話だ。著者は「おわりに」に書いている。
……ボブの物語と、そして悲しいことにすでに彼が旅立ってしまったことを、彼と触れ合った人たちにどうしても知らせなければならない、と思った。(……)
手紙をメールで発信してから数カ月のうちに、それはまるで生命を得たかのようにあちこち自由に動きまわった。メールを受け取ったひとたちの多くが、それを読んだあと、それぞれの知り合いに転送してくれたのだ。
そのうちにぼくのところにまったく知らない人たちからメールが届くようになった。そこには、あなたの物語にわたしもとても心が動かされました、というメッセージが書かれていた。
それから親しい友人で「こいぬのタッカー」シリーズで知られる絵本作家のレスリー・マクガークが、君の手紙は本にして出版するべきだ、と熱心にすすめてくれた。それがどんなものになるかすぐにわかったから、ぼくは出版に向かって夢中で動き出した。
こうしてぼくは、自分が最初に書いた手紙をそのまま本にして刊行することになった。
著者トム・コーウィンにはインタビューもしている。ぜひこちらもご覧いただきたい。
https://blog.goo.ne.jp/getupenglish/e/4105f21569d7b8d72499e079aebec7af
★ ★ ★
トム・コーウィンの『ぼくのだいじなボブ』は非常に思い出深い本だし、実際この本を訳してから各出版社から様々な仕事をいただくことになった。担当編集者の堀沢加奈さんにはひとかたならぬお世話になった。17年も経ってしまったが、この場を借りて、厚くお礼を申し上げる。そして本書を読んでくださった皆さんに、心より感謝したい。
本書は今は絶版で手に入らないが、いつの日か復刊されることを祈っている。
上杉隼人(うえすぎはやと)
編集者、翻訳者(英日、日英)、英文ライター・インタビュアー、英語・翻訳講師。桐生高校卒業、早稲田大学教育学部英語英文学科卒業、同専攻科(現在の大学院の前身)修了。訳書にマーク・トウェーン『ハックルベリー・フィンの冒険』(上・下、講談社)、ジョリー・フレミング『「普通」ってなんなのかな 自閉症の僕が案内するこの世界の歩き方』(文芸春秋)など多数(日英翻訳をあわせて90冊以上)。2024年後半に、話題書を含めて英日翻訳を6冊刊行予定。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/c7/23c33abc3edca6a112e9a50f5c8f93c4.png)
a little favorのlittleは、日本語の「ちょっと」とか「小さな」とか「ささやかな」と同じような意味で用いられる。実際、それはまったく「ちょっと」でも「小さな」で「ささやかな」お願いではなかったりする。
“Can I ask you a little favor? Lend me 2 million yen. I promise to pay you back someday.”
「ちょっとお願いがあります。200万円ほど貸していただけないでしょうか? いつか必ずお返ししますから」
このsomeday(いつか)とは一体いつのことか? これを明確に定義できる言語はまず存在しない。(2006/04/01)
prodigiousは、「巨大な, 莫大な」「感嘆すべき、驚異的な」。
“His novel achieved prodigious success worldwide.”
「彼の小説は世界中で驚異的な成功を収めた」(2023/10/12)
do byは「…に対して尽くす、…を遇する」。
“He didn't feel the company did right by him, so he decided to look for a new job.”
「彼は会社に正当に扱われていないと感じたので、新しい仕事を探すことにした」(2023/11/17)
scarcely(やっと、かろうじて)がcouldなどの「推量の助動詞」と比較級と合わせて使われる時には注意すること。
“There could scarcely be a better opportunity to showcase your talent than this upcoming audition.”
「今度のオーディション以上に、あなたの才能を披露するよい機会はあり得ない」(2023/07/09)
Man's youth is a wonderful thing: It is so full of anguish and of magic and he never comes to know it as it is, until it has gone from him forever. It is the thing he cannot bear to lose, it is the thing whose passing he watches with infinite sorrow and regret, it is the thing whose loss he must lament forever, and it is the thing whose loss he really welcomes with a sad and secret joy, the thing he would never willingly relive again, could it be restored to him by any magic. ―― Thomas Wolfe, Of Time and the River
人間の若さはすばらしい。たいへんな苦悩と魔法にあふれていて、自分から永遠に離れてしまうまで、人はその通りに理解できない。失うことが耐えられないものであり、自分から過ぎ去っていくのを測り知れない悲しみと後悔の念をもって見つめるものであり、その喪失を永遠に嘆き悲しむものであり、失うことを悲しみと密かな喜びをもって実際に受け入れるものであり、魔法をもってすれば再生が可能だとしても、ふたたびよみがえらせたいとは決して思わないものである。―― トマス・ウルフ『時と河について』
日本語の慣用句に「取りつく島がない」がある。さて、これはどんな英語にしたらよいだろう。
wouldn't (even) give someone the time of day(今何時かということさえ教えてくれない)という表現が使える。
共同事業をやらないかと彼にもちかけたが、取りつく島もない。
I approached him about the possibility of a joint venture, but he wouldn't even give me the time of day.
「生殺与奪の権を他人に握らせるな!!」(富岡義勇)
“Don't take from me the power to spare or take the lives and property of the people.”(2023/05/01)
俺は俺の責務を全うする!! ここにいる者は誰も死なせない!!(煉獄杏寿郎)
“I will fulfill my duty!! I won’t let anyone here die!”(2020/12/31)
"Following to a courtesy call on Midori City’s mayor in March, I am paying an official visit to Kiryu City’smayor today."
「3月はみどり市の市長に表敬訪問したが、本日は桐生市の市長に表敬訪問する」(2023/09/29)