pairはもちろん「二人組、二人連れ」。しかし、pairは多くの意味がある。まずは、この「二人組、二人連れ」、あるいは「ひと組の男女」の意味の用例を紹介する。
○Practical Example
“Midori and Uozumi are a funny pair. I don’t know why she likes him.”
“It’s hard to explain why people are attracted to other people.”
「美登里と魚住はおかしなカップルだ。どうして美登里は魚住が好きなんだ?」
「人がどうして人を好きになるか、説明するのはむずかしいよ」
●Extra Point
「一対、ひと組」の意味でも使われる。
◎Extra Example
“This is my only pair of glasses. If I break these, I’m in real trouble.”
“And this is my only pair of pants. If these get dirty, I have nothing else to wear.”
「わたしは眼鏡はこれしかない。だからこれが壊れちゃうと、ほんとに困っちゃう」
「ぼくはズボンはこれしかない。だからこれが汚れちゃうと、何もはくものがない」
生活する上で、誰もが何かの保険(insurance)に入らないといけない。
○Practical Example
“What kind of insurance do you have, Marco?”
“I have car insurance, home insurance, life insurance and travel insurance. I’m fully insured.”
「マルコ、どんな保険に入っている」
「自動車保険、住宅保険、生命保険、旅行損害保険をかけている。保険はいっぱいかけてる」
●Extra Point
insuranceは文字通りの意味以外でも、すなわち「保証手段、備え」「だめ押し」といった意味でも使われる。
◎Extra Example
“I’ve got 50 liters of water and lots of food in my closest as insurance against an earthquake.”
“That’s the right thing to do, Pedro. At least you’ll be prepared if an earthquake comes.”
「地震に備えて、収納に水を50リットルと食べ物をたくさん備えてある」
「ペドロ、それはいい。地震が来ても、君は大丈夫だな」
to releaseは「(……を)釈放する、自由にする」。
○Practical Example
“Release me. Let go of my hand, Nick!”
“No, I won’t, Mayumi. Not until you say you’ll marry me.”
「放してよ。ニック、手を放してちょうだい!」
「だめだよ、真由美。ぼくと結婚すると言ってくれるまで、この手を放さない」
●Extra Point
to be released from jailは、「(監獄や拘置所から)釈放される」の意味でよく使われる。
◎Extra Example
“The so-called terrorists were released from jail yesterday.”
“They weren’t terrorists at all. They were opponents of the government.”
「テロリストと呼ばれている人たちが昨日釈放された」
「彼らはテロリストなんかじゃなかった。政府に反対しただけだ」
2007年7月31日のGetUpEnglishで、to calm downという表現を紹介した。
http://blog.goo.ne.jp/getupenglish/d/20070731
calmは形容詞としても使われる。
○Practical Example
“You should be more calm, Howard. Stop shouting.”
“I am cool, calm and collected, Ross. You’re the one who’s shouting.”
「ハワード、落ちつけよ。そんな大声を出すな」
「ロス、ぼくはまったく冷静だよ。大きな声を出しているのは、そっちじゃないか」
cool, calm and collectedはよく使われる表現。「落ち着き払って、冷静で」という意味で使われる。
●Extra Point
calmingもcalmとほとんど同じ意味で使われる。
◎Extra Example
“This tea has a real calming effect. I feel very relaxed.”
“It’s chamomile tea. It helps people sleep.”
「このお茶を飲むと、とっても心が落ち着く。ほんとうに平静でいられるわ」
「それはカモミール茶よ。それを飲めば、寝付きもいいのよ」
『日めくり現代英語帳』下巻8月8日のレッスンで、to take a showerという表現を紹介した。showerは「にわか雨、聚雨、夕立」の意味でも使われる。
○Practical Example
“What’s it doing outside, Midori?”
“A light shower. It should be over in a minute.”
「美登里、外はどう?」
「にわか雨が降ってる。すぐにやむわよ」
“What’s it doing outside?”は、天気について尋ねる時によく使われる表現。
●Extra Point
複数形のshowersもよく使われる。
◎Extra Example
“What’s the weather going to be like tonight, Midori?”
“They’re predicting showers, so we should drive to the station and park our car there.”
「美登里、今夜の天気は?」
「ちょっと雨がふりそうね。だから駅まで車で行って、駐車しましょう」
さて、「雨ニモマケズ」はどんな英語にしたらいいでしょうか。『英語で読み解く賢治の世界』をぜひご覧ください!
このfraction(分数)は、誰もが学校で学ぶ。しかし、fractionは、「(全体の)小部分、断片、ほんの少し」の意味もある。
○Practical Example
“There is so much crime reported in the newspapers these days.”
“That’s only a fraction of what really occurs, Ivan.”
「最近、新聞ですごくたくさん犯罪が報道されているね」
「アイヴァン、それはごく一部だよ」
●Extra Point
強調の意味で、a small fractionという言い方もする。意味は「ほんの一部、ほんの少数」。
◎Extra Example
“The crime we hear about is only a small fraction of what really occurs.”
“If they reported it all, there would be no room in the newspaper for other news.”
「われわれに聞こえてくる犯罪は、実際に起こっているもののごく一部にしか過ぎない」
「もし全部報道すれば、新聞はほかの記事を載せることができない」
pornographyは日本語ではポルノと呼ばれる。「ポルノ」はpornから来た。
○Practical Example
“A lot of what is called art today was once called pornography.”
“Well, attitudes and laws change, Ms. Green.”
「今日の芸術と呼ばれる多くのものは、かつてはポルノと呼ばれていた」
「グリーンさん、物事に対する気持ち、そして法律は変わるのです」
●Extra Point
形容詞はpornographic.
◎Extra Example
“That photo is pornographic. It shouldn’t be in a magazine.”
“I agree. Sometimes magazines publish porn just to increase sales.”
「この写真はポルノだ。雑誌に掲載されるべきではない」
「そう思う。雑誌は売上を伸ばすためにポルノを掲載することもある」
この接尾辞は「……全体にわたる[わたって]」の意味の形容詞や副詞を作る。ハイフンが省略されることもある。
○Practical Example
“Drugs are a worldwide problem. It has to be approached globally.”
“That’s right, Mr. Crabtree. It calls for worldwide solutions.”
「ドラッグが世界中で問題になっている。地球規模で対応しなければならない」
「その通りです、クラブトゥリーさん。全世界で問題解決に当たらないといけません」
●Extra Point
nationwide(全国的な)もstatewide(州全体の)もよく使われる。
◎Extra Example
“There is going to be a nationwide contest to see who is best at math.”
“First let’s join the statewide contest. If we win that, we have a chance.”
「数学が一番できる学生を決める全国的なコンテストがある」
「まず、州全体のコンテストに参加しよう。そこで勝てば、チャンスがある」
『英語で読み解く賢治の世界』の目次はこちらをご覧ください。
http://www.iwanami.co.jp/hensyu/jr/toku/0806/500598.html
担当編集者の堀内まゆみさんには、大変お世話になりました。
to sweatが「汗をかく、汗ばむ」の意味で使われることは誰もが知っている。しかし、to sweatは、「(……を)心配する、不安に思う」の意味でも使われる。
○Practical Example
“Don’t sweat the exam, Sumiyoshi. I’m sure you’ll do okay.”
“I am sweating the exam. If I don’t get into medical school, my dad will kill me.”
「住吉君、試験のことは心配するな。きっと大丈夫だよ」
「試験が心配です。もし医大に入れなかったら、父さんに殺されます」
●Extra Point
no sweatはアメリカの口語表現で、no problem(問題ない)の意味で使われる。
◎Extra Example
“Zelda says she hates you, Scott, and will never go out with you.”
“No sweat, Tom. Once she realizes how fantastic I am, she’ll fall in love with me for sure.”
「スコット、ゼルダは君のことが嫌いだし、君とはデートしないと言っている」
「トム、問題ないさ。ぼくがどれだけすばらしいかわかれば、彼女はぼくにゾッコンになる」
grantは「与える」の意味でも使われるが、「(…を)(願いを聞き入れて正式に)与える、(正式に)授与する」「(財産などを)譲渡[譲与]する」といったもっと狭い意味で用いられる。
○Practical Example
“The government granted Prof. Denton a million dollars for his diabetes project.”
“That’s great news. Prof. Denton may be able to find a way to help people with diabetes.”
「政府はデントン教授に糖尿病の研究費として100万ドル授与した」
「それはすばらしい。デントン教授はそれで糖尿病に苦しむ人たちを救うことができるだろう」
●Extra Point
to grantは、「(……を)認める」の意味でも使われる。
◎Extra Example
“Look, Ashihara, I grant that the Japanese soccer team is strong, but that doesn’t mean it will win the World Cup.”
“It will win! We are the best team in the whole world.”
「芦原君、日本のサッカーが強いことは認める。しかし、だからといってワールドカップで優勝することはないだろう」
「日本のチームは優勝します。日本のサッカーは世界一です」
『英語で読み解く賢治の世界』、本日発売です!
「まえがき」をUPします。
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まえがき
ぼくは1967年に初めて日本の土を踏み、以来40年以上、この国とかかわりつづけています。ぼくがこの国とこの国のことばの虜になってしまったのはどうしてかといえば、一つには宮沢賢治の詩や小説に出会ったからです。ぼくは宮沢賢治の書き残したものを通じて、日本語を勉強し、日本人の心を知りました。さらには小説や詩の書き方も学びました。宮沢賢治と出会わなければ、ぼくの人生はまったく違うものになっていたかもしれません。
ぼくはかなり早い段階から、宮沢賢治の作品を英語にして、世界中の人たちに読んでもらいたい、と考えていました。そしてこれまでに「銀河鉄道の夜」や「注文の多い料理店」や「セロ弾きのゴーシュ」などの物語だけでなく、賢治の詩もたくさん英語に翻訳しました。2007年にはイギリスの詩の専門出版社Bloodaxe Booksから賢治の詩集Strong in the Rainも刊行することができました。この詩集は大変好評で、“Roger Pulvers has provided this 20th-century genius with an international audience.”(ロジャー・パルバースはこの20世紀の天才を世界の読者に届けてくれた)と書いてくれた人もいます。
本書『英語で読み解く賢治の世界』のなかで何度も書いていますが、宮沢賢治が残した詩や物語は、日本人に対してだけではなく、世界の人々にも強く訴えるものを持っています。賢治の文学は、もはや日本人だけのものではありません。今や世界中の人たちが、日本のみなさんと同じように、賢治の作品を愛し始めています。日本の若い読者の方には、宮沢賢治の詩を英語で読むことで、世界の人たちがそれをどんなふうに味わっているか、ぜひ知っていただきたいと願っています。賢治の詩は疑いなく世界的なものです。ですから、それを世界文学の財産の一つとして、世界中の若い人たちとともに、じっくり味わっていただきたいと祈っております。ぼくはそんな思いを込めてこの『英語で読み解く賢治の世界』を編纂しました。
本書編纂にあたって、世界文明センター特任教授の高橋世織さんと同フェローの吉田弘さんに、貴重なアドバイスと暖かい励ましを賜りました。また、宮沢賢治記念館の牛崎敏哉さんは、校正刷りを念入りに読んでくださり、賢治の生涯に関する事実を一つひとつ確認してくださいました。そして岩波書店ジュニア新書編集部の堀内まゆみさんには、企画段階から編集作業まで、ほんとうに大変お世話になりました。
みなさん、ありがとうございました。
宮沢賢治は彼が生きた時代の人たちに十分理解されていたとは言えないかもしれません。しかし、その生き方とメッセージは、死後75年経った今、日本だけでなく、世界中の人たちに影響を与えています。宮沢賢治の旅は、21世紀もつづいています。
日本の若い読者が、本書を手に取っていただき、宮沢賢治の詩を英語でも楽しんでいただけますことを、願っております。そしていつの日か、みなさんが同じ世代の外国人と宮沢賢治の生涯と作品について仲良く語り合っていただけますことを、心から祈っております。
世界中の若い人たちが、同じことについて、仲良く語り合う。
ぼくだけでなく、宮沢賢治も、何よりこのことを望んでいるでしょう。
2008年5月4日 64回目の誕生日に
ロジャー・パルバース(Roger Pulvers)
これは英語でも日本語でも「選ばれた者、精鋭、エリート」の意味で使われる。名詞としても形容詞としても用いられる。まずは名詞の用例から。
○Practical Example
“Sumiyoshi says that he is a member of the elite.”
“His father’s rich, that’s all. Anybody who’s rich can be elite.”
「住吉は、自分はエリートの一人だと言っている」
「あの親父は金持ちだからな。金さえあれば、誰でもエリートになれる」
●Extra Point
続いて形容詞の用例を。
◎Extra Example
“Sumiyoshi says he wants to go to an elite medical school.”
“Is that why his father is donating millions of yen to that medical school?”
「住吉はエリートの行く医大に進学したいと言っている」
「だからあいつの親父はその医大に多額の献金をしているんじゃないか?」
『英語で読み解く賢治の世界』(岩波ジュニア新書)、いよいよ6月20日発売です!
to grinは、「[喜び・満足などで](歯を見せて)にこっと笑う」。以下の用例も、その意味で使われている(だといいのですが……)。
○Practical Example
“Dee, did you see how big Bea was grinning at her wedding?”
“Of course, I did, Kay. She’s the happiest woman alive today.”
「ディー、ビーが結婚式で満面の笑みを浮かべてたのを見た?」
「見たよ、ケイ。ビーは今日世界でいちばん幸せな女性よ」
●Extra Point
to grin and bear itは「(不愉快なことを)笑って我慢する」「やせ我慢する」の意味で使われる。の意味で使われる。
◎Extra Example
“I’m afraid Jay appears to be a lousy husband.”
“Well, Bea will just have to grin and bear it for the time being. She can’t get a divorce a week after the wedding.”
「ジェイはあまりいい旦那さんじゃないみたいね」
「でも、ビーはしばらく我慢するしかないでしょう。結婚して1週間で離婚ってわけにはいかないでしょう」