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時代の証言

2005-06-28 11:28:35 | 日記・エッセイ・コラム
ノンフィクションを読む、と帯につけられた岩波文庫を数冊買って来た。

①「インディアスの破壊についての簡素な報告」
            ラス・カサス著  染田秀藤訳

ラス・カサスは司教。この書は1542年、スペイン王カルロス一世に、キリスト教と文明の名の下に、新世界に乗り込んだ征服者(スペイン人) たちがいかに搾取と殺戮を日常化していたか、その実態を簡素な報告にして、提出したものである。
非道極まりない仕打ちが簡素に書かれている。簡素とはいうもののそこに書かれた実態は、凄惨で人の行いは、いまでさえ読んでいて気分が悪くなってしまった。

「カステーリャの国王が神とその教会からあの大きな数々の王国、すなわちインディアスという広大無辺な新世界を委せ与えられたのは、その地に住む人びとを導き、治め、改宗させ、現世においても来世イにおいても彼らに幸福な生活を送らせるためにほかなりません。しかるに、それらの王国に住む人々は同じ人間が手を下したとは想像もつかないような悪事、圧迫、搾取、虐待を蒙ってまいりました。いと強き主君、私は50年以上にわたり、その地で実際にそれらを目撃してまいりました。・・・・」
そして数々の無法が各地でなされたことが報告されている。

アンデスに行ってきたばかり。1532年から始まるピサロの侵略の歴史は見てきたばかり。
征服者のスペイン人たちが新大陸を欲望のほしいままに蹂躙した歴史は知っている。コーヒーのブルーマウンテンで有名なジャマイカも先住民たちも圧制と伝染病で絶滅してしまったことも知っている。1492年、コロンブスの新大陸到着後(発見と書くのはよそう)から始まる惨禍。ただ1542年にこういう報告が国王に提出されていたこととこういう本が出ていることは知らなかった。

司教は50年にわたり、スペイン人たちの行いを見て、そして現実に現地人たちを助けてもいる。死ぬまでインディオを野蛮人と言ったり、差別したりしないようにローマ法王に訴えている。

伝道と言う目的が侵略の尖兵となったことは確かである。しかし、あの時代、こういう司教がいたことは救いでもあったろう。

②「忘れられた日本人」 宮本常一著


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