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ジャガイモ

2010-02-09 13:30:03 | 

昨日は眼科に行った。眼科の待合室は私には図書室である、な~んて、待ち時間が長いから、どうしても本を読むことになるだけのこと。昨日は月曜日だからか、いつもより長く2時間近く待った。診察はいつもと変わらないから、5程度なのだが。おかげで岩波新書「ジャガイモがきた道」(山本紀夫著)を読み終えた。

                                                          期待していたほどのことはなかった。この先生、トウモロコシ、小麦、米といった穀物とそれを主食にして発展した文化論、これがお気に召さぬようだ。要するにジャガイモが主食として文化に貢献してきたことを、文化論者たちは無視している、と指摘したいのだろう。たしかにジャガイモをないがしろにしている文化論はよろしくない。人類はジャガイモにどんなに恩恵を蒙っているかいまさら言うまでもない。原産地のアンデスから、はるばる海を渡り、全世界に伝播し、今でこそ世界中で栽培され、だれからも愛され、食されている事実は、ジャガイモの力だと思っている。北の国ではジャガイモは昔からある植物のように使われている。ネパールの高地でも、特にシェルパの人々が栽培している。                                                           

                                                         

聖書に書かれていない植物だからと、ヨーロッパでは受け入れられなかったこともある。また毒があると敬遠されたこともある。一方、北部では飢饉を救ったのはジャガイモであった。もっともそのジャガイモに病気が発生して、アイルランドでは飢饉が起きた。この飢饉は当時の支配国イギリスの政策によるところが大であり、ジャガイモだけのせいはなかったが、多くの人がアイルランドを捨てたことも事実である。世界にはイモを主食にしている民族は多々ある。またデンプンを取り出して食しているところも多々ある。

                                                         

アンデスを旅したとき、どこの農家の貯蔵庫にも、いろんな種類のジャガイモが蓄えられていた。チューニョも見た。チューニョは収穫したジャガイモを自然に凍らせ、乾かし、水分を抜いて貯蔵に役立つようにしてあるものだ。チューニョは貯蔵にためばかりだと思っていたら、これはジャガイモの毒抜き作業という人間の知恵だったわけだ。それに加え、輸送にも軽くて便利だ。

                                                      

以前、リマの天野博物館でいっしょになった旅行者が、ジャガイモの見学に行って来たばかりだと言って、原種が4500種あると言った。栽培種かと聞きなおしと、栽培種ではなく原種だと答えた。ジャガイモやトマトの原産地はアンデス、そのジャガイモやトマトの原種を追って、テレビで特集していたのを見たことがある。何種類かあることは知っていたが、そんなに原種が多いんだろうか、疑っていた。この本で見ると、数の表記はないが、かなりの数があることは書かれている。それに引き換え、栽培され、改良されたのは7種、しかも私たちが食べているジャガイモはすべて1種類のジャガイモ4倍体のソラヌム・トゥベローサムに由来している。これはちょっと驚きだった。

                                                           

日本に入ってきたのはオランダ人かららしい。ロシア経由で北海道に入ったという説もある。馬鈴薯という言葉があるが、馬鈴薯とジャガイモが同一のものであるかどうか、まだ論争中だという。日本人には聖書になくても関係ないし、イモ類は食していたから、すんなりと受け入れられたようだ。もう少し、日本におけるイモの歴史とイモと人間の関係が明らかにされたら、おもしろいのだが。イモといっても、ジャガイモとサツマイモだけでもいい。「イモ男」とか「このイモ」という卑語はジャガイモではなくサツマイモをさしていたのではないか、と思うからだ。

コメント
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