「楽焼創成 楽ってなんだろう」
楽 吉左衛門著 淡交社
今から400年前、侘茶の茶の湯をかたちづくった千利休が、彼の目指す理想の茶碗を作らせた。利休の意を汲み、楽焼茶碗を作ったのが陶工長次郎。楽焼の始まりである。長次郎は中国からの渡来人の息子。長次郎といっしょに窯をやっていたのは田中宗慶。その息子の常慶が2代目となる。そして今の吉左衛門は15代になる。
黒楽、赤楽、茶碗にこめられた利休の理想とは、この本を読んでいてかなり分かる。利休の精神に呼応した長次郎の茶碗。楽茶碗は手の形である。手にすっぽり包み込む。茶碗は小さな宇宙である。
15代の作品はよく見に行く。大自然を茶碗に見ることが出来るからである。
それと楽家、代々の時代にかなった作品の解説とあいまって、実におもしろかった。もちろん感じるところは多かった。
楽茶碗は茶の湯のために作られた茶碗。楽茶碗は好きである。作り方焼き方は丁寧なテレビの映像で見ている。
文中にはふんだんに写真が使われておる。見ているだけでもいいが、触ってみたい。末尾に楽美術館の案内が載っていて、毎月第一土、日曜日、手にとって鑑賞できると書いてあった。これはいい、是非と行って触って見たい。