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イソヒヨドリ

2011-03-28 15:07:26 | 動物記

Isohiyo

ここから直線にして100mぐらいあるだろうか。町民センターの屋根やエレベーター塔にイソヒヨドリの姿が小さく見える。私に見えるのだから、目のいい鳥に私が見えないわけはない。窓を開けて、手を振るとそれを見た鳥が一直線にこちらへ飛んできて、下の家の瓦屋根に止まる。一直線にここに来たいのだが、ヒヨドリのバリアに引っかかってしまうのだ。ヒヨドリは一つがいがいて、餌をもらっていたのだが、いつしかに数が増えて十数羽にふくれあがってしまった。春になればこの鳥たちは山に帰る。今年は餌がないのか、餌をもらえるから集まっているのか、私が窓を開けるのを察知してぐるっとバリアを作ってしまうのだ。

イソヒヨドリはヒヨドリよりひとまわり小さい。群れをなしているヒヨドリには押され気味なのである。仕方がないので、まずヒヨドリたちに大きめに切ったシフォンを投げてやる。ヒヨドリの取り合いは羽音をたててぶつかりあってと、すさまじい。イソヒヨドリはそのヒヨドリの合間をぬすんで、窓の傍のイヌビワの枝にとまる。すかさず、はいよ、と声をかけてやや大きめのシフォンを投げる。それを受け取るや「ヒッ、ヒッ」と礼を言って、また一直線に町民センターの屋根に飛んでいく。せっかく受け取れても、時には大きなシフォンは落としてしまうこともある。またシフォンは黄色くて目立つので、ヒヨドリに追いかけられて取り上げられてしまうこともたびたびだ。ハシボソカラスに取られてしまうこともある。ハシボソカラスはイソヒヨドリが優遇されているのを知っているから、イソヒヨドリが持ってくるのを狙っている。時にはトビも狙う。エコヒイキが罪悪かなとも思うこともあるが、それでもイソヒヨドリは毎日数回やってきては顔を覗き込んでシフォンをもらっていく。イソヒヨドリの巣がどこにあるか知っているから、外敵に追いかけられるとひやひやする。

屋根に止まったイソヒヨドリに「ここにおいで」と窓をたたく。鳥はどういうルートを作っているのかわからないが、屋根越しに反対側に飛んでいく。反対側から回り込んでくるのかもしれない。「呼べば来るんだからかわいいね。まさにペットだねぇ」とPapasanが感心している。「ローレンツ博士には足元にも及ばないけど、鳥とのコミュニケイションはとれているよ」

裏窓からは、枝にヒヨドリのシルエットが並ぶので、鳥に詳しくないPapasanがそれを見ては「イソヒヨが来ている」と、私を呼ぶ。「シルエットは似て いるけど、イソヒヨドリは尾を前後に振るからそれで判断して!」と教えた。ついでにヒヨドリの飛び方とイソヒヨドリの飛び方の違いも教えた。ヒヨドリは独特の飛び方、波状形に飛ぶのだ。

イソヒヨドリは真鶴の町の鳥である。どこでも海岸近くでよく見かける。ここでは街中はもちろんだが、意外と丁場で見かける。東南アジアにもいると聞いているが、九州では見たが、東南アジアでまだ見かけたことはない。ヒヨドリだって、日本では珍しくはないが、ユーラシア大陸に仲間(bulbul)はいるが、このヒヨドリ(同じ種)はみたことがない。イソヒヨドリもヒヨドリとはついているが、ヒヨドリよりツグミの仲間。真鶴の古い人は「イソッツグ」と呼んでいた。磯のツグミということらしいが、いつまでこの方言がのこるだろうか。♂は写真のようなきれいなツートンカラー、地鳴きはヒッヒッと金属的な高い音だが、さえずりの声はまことにきれいだ。♀は黒っぽい鮫小紋。我が家には、最近は♀より♂が来ることが多い。

コメント
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